第64話 自己紹介です
とりあえず納得してもらい、席についた俺は、向けられる周囲からの視線の中心にいる。
帝国冒険者協会の5等級の冒険者全員に連絡が言っているはずなのに、広い会議室には俺を含めて6人の冒険者しかいなかった。
「まずは自己紹介から始めようか。僕はスケール・ギルバート……一応3等級の冒険者だよ」
「ガルデン・オゴリアル。4等級の冒険者だ」
「アタシはキーニー、本名じゃないよ? 等級は4!」
「……アルベルトだ。2等級冒険者」
「私が最後かな? バーンズ侯爵の騎士をやっているスイッチ・モーリス。これでも1等級冒険者だよ」
はい違った。5等級冒険者どころから、全員俺より遥かに格上の冒険者さんたちでした。5等級冒険者の会合だって聞いたのに、なんでもっと格上の冒険者ばっかりなの?
順番に糸目、ごついおっさん、ギャルみたいな女、騎士みたいな男、本物の騎士。個性派ばかりだと思ったら、全員実力者だった。
「驚いたかもしれないけど、この会合は殆ど人が来ないんだ。だから、等級関係なく会議室に入るのが定番みたいになっちゃっててね。だから、今日来た5等級冒険者は君だけ」
無情にもスイッチさんが解説してくれた。そんな集まりの悪さで、よく国家公務員みたいな職業の上位等級冒険者やってられるな。どうりで個性派しか集まらない訳だよ。そもそも個性派しか出ないだろこの会合。
「アタシはリリアナ様の恋人がどんな人なのか知りたかっただけだし。てかみんなそうでしょ?」
「僕は一応、会合目的で来たんだけどね」
キーニーとかいう謎の女が適当なことを言っているが、スケールさんは苦笑しながら否定していた。スケールさんとスイッチさんはこの会合の良心のようだ。ガルデンさんとアルベルトさんは会話に加わるつもりはないみたいだし。
てか、童貞臭いとか失礼なこと言ったキーニーは内心でも呼び捨てでいいだろう。うん。
「まぁ、会合って言ってもみんなで近況報告したり、国からの任務がどんな内容だったのかみたいな情報交換会みたいなもんなんだけどね」
それは人も集まりませんわ。
というかもうこの会合無くせよ。
「あ、ライト・リースターです。5等級から冒険者になりました」
「特例だっけ? 良いなぁ……アタシも面倒くさいとか思わず、帝国魔法学園入っとけばよかった」
キーニーの言葉を聞く限り、やはり冒険者が5等級を超えるのはかなりの苦労があるらしい。実力主義の帝国が優遇措置を取るくらいには、圧倒的な戦闘力を持つ者たちなのだろう。ちょっと実力見てみたいな。
「ライト君の固有魔法はどんなものなのかな?」
突然スケールさんが意味不明なことを言い始めた。
「教えてくれないかい? 将来的に一緒に任務受けるかもしれないんだから、さ?」
ニヤニヤと口元に笑みを作りながら言うスケールさんの顔を見て、何がしたいのか察してしまった俺は、露骨に溜息を吐いてみせた。
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