第31話 学園祭の話を聞きました
「クラス単位で集まること、あるんだ」
てっきりクラスなんてただの都合のいい纏め方としか思っていなかったが、現在30名のクラスメイトと共に、講義室へと集められていた。
アリスティナは違うクラスなので友達なんて一人もいないが、周囲からすごい視線を感じる。十中八九ルドラとの決闘のせいだろうけど。
「揃ったな。じゃあ連絡事項だからしっかり聞けよ」
担任とは名ばかりの、特に責任もない教師がやってきた。彼らはフリム教授のような研究室を持っている訳ではなく、半分事務員として雇われている魔法師である。
「知ってる奴も多いと思うが、帝国魔法学園はもうしばらくすると学園祭を執り行う。その中で最も注目度が高いのが、帝国魔法祭だ」
これは知っている。と言うか、帝国魔法学園に所属していて知らない人は殆どいないだろう。
帝国魔法学園は元々、戦時中の魔法師育成のために作られている。随分と昔のことらしいが、その名残で今も学園祭では固有魔法もありの戦いが繰り広げられる。その中でも帝国魔法祭は、その時の皇帝が自ら見に来ることが伝統になっている、生徒同士による戦争だ。前世風に言うと、タッグマッチでの乱戦だ。実戦を考えて作られたルールらしく、相手を殺さなければなんでもありという、野蛮人が大興奮のイベントだ。
戦闘行為が苦手な生徒も、この帝国魔法祭には参加したがることが多い。何故ならば、この帝国魔法祭は最後まで勝ち抜くだけで宮廷魔法師の椅子が確約されるのだ。
「やっぱり出なきゃだよな!」
「よーし、絶対優勝して宮廷魔法師になってやる!」
「……いいなぁ、盛り上がれて」
正直、俺はあまり宮廷魔法師という職業に魅力を感じない。皇帝の威光を笠に、宮廷で偉ぶっているだけで、碌に自らの研究もしない戦闘ができるだけの野蛮人が集まる場所なのだ。将来は安定するだろうが、正直乗り気にはならない。
ここまで宮廷魔法師を馬鹿にしておいて、俺は帝国魔法祭には参加するつもりである。何故ならば、合法的に他人の固有魔法の構築式を覗いても許される場所などここぐらいしかないからだ。
フリム教授も『模倣』の性質上参加しておいた方がいいだろうことは認めていた。
「ペアかぁ……」
教授にも背中を押されているのに、イマイチ気持ちが盛り上がらない理由はここにある。単純に、得体の知れない俺とペアを組んでくれる生徒など全く思いつかないのだ。一応、研究室仲間のアリスティナを誘ったが、戦闘行為が苦手なので嫌だと直球で断られている。
ルドラを一方的に打ちのめしたせいで、クラスメイトからも避けられているので出たくても出れない可能性が高いのだ。
ついつい溜息が口から零れてしまい、隣の席の女子生徒と被った。
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