第6話 尋問されました
「くそっ!? なんでだよ!?」
「固有魔法を解体した? いや、今はいい……その二人を拘束しろ」
「はい!」
帝国魔法学園生徒会執行部の下部組織である帝国魔法学園風紀委員会によって、俺とルドラは簡単に拘束された。ルドラは固有魔法を解体された隙を突かれ、俺は抵抗することがなかったからである。
拘束されたまま空き教室に叩き込まれた俺は、風紀委員の女子生徒に睨まれながら椅子に座った。
「詳しい話を聞かせて貰おうか?」
「それはいいんですけど、傷を治してもいいですか?」
「……許可しよう」
ルドラの放った『風の刃』は一度も受けていないが、その前に複数人の生徒に囲んで蹴られていた傷が痛むため、治療していいか聞けば訝しげにしながら許可してもらえた。
許可がもらえたので自らの覚醒したばかりの固有魔法を発動する。思い浮かべるのはアーノルドが使っていた『自然治癒促進』の魔法。
「君の固有魔法はその回復なのか?」
「いえ、そんなことありませんよ」
嘘は、ついていない。これはアーノルドの持つ固有魔法であり、俺の持つ固有魔法ではない。
「まぁいい。君の名前を教えてもらおう」
「ライト・リースター」
「リースター? 王国子爵家か……いや、廃嫡された長男が近い年齢だった気が……すまない」
「構いません」
帝国の人間が王国子爵家の事情まで知っていることに驚いただけで、さほど気にしている訳ではない。
廃嫡されて追い出された過去は当然割り切れていないが、今はそんなことよりも生まれてずっと欲しがっていた才能がようやく、現れたのだ。興奮の方が勝っている。
「私は帝国魔法学園、生徒会執行部会計、兼、風紀委員会、副委員長のマリス・カエキスだ」
「……長いですね」
「仕方あるまい」
いや、絶対に本人の性格の問題だと思うのだが、言うと面倒そうだから黙っておこう。
ザ・堅物と言った感じの人物だが、俺とルドラの件を公平に見てくれるのならば誰でもいい。
転生する前からこのような事件に巻き込まれれば、必ず俺が悪いことになってばかりだったが、こんな堅物なら家の格なんて気にせずに判断してくれそうだ。
「今回の固有魔法を用いた戦闘行為、君も固有魔法を使用したか?」
「はい。それは間違いないです」
「む……そうか」
片方だけが固有魔法を使ったという話ならば、片方が悪いで済む話だが、今回は俺も固有魔法を無意識的にとは言え発動し、その後も意図的に数回発動させた。それは紛れもない事実だ。
「ならば、事件の経緯を全て聞かせてもらおうか」
簡単に判断できる話ではないと思ったのか、マリス先輩は何処からともなく紙とペンを取り出し、しっかりと話を聞く態勢に変わった。
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