小野さんと覗いたパパの部屋には、確かに笑い声が溢れていた。パパと、新ママと、それから帰ってきたハジメ兄さん──

 違う。あれはハジメ兄さんなんかじゃない。

 たくさんの生き物の皮膚と骨を縫い合わせてどうにか人間の形を保っている、頭には髪の毛に模した汚れた布を乗せたあの人形は、

 何。

 瞬間、お酒を手にした新ママが不意にわたしを見て、言った。


「スナオちゃんも一緒においでよ」


 どこへ?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る