第37話 バイトを始める

 そろそろバイトを始めないとお金が只々少なくなっていく日々を過ごすことになってしまう。

 俺はそう思ったのでそれを回避するべくバイトをすることにした。


 大学からは少し遠いが家から近い所にあるファミレスの求人情報を見て応募しようと決めた。

 思い立ったが吉日、バイトの面接をすぐに取り付けることができ、あっさりバイトに受かることが出来た。


 日は少し過ぎて最初の出勤日、俺の先輩となるバイトの人に付き添ってもらいながら仕事を覚えることになっていた。


「今日からここで働くことになりました。上田悠と申します。今日は一人先輩が一日仕事を付き添いで教えて頂けると聞きまして、よろしくお願いします」


 俺は今日出勤した時点で相手が高校生であろうが先輩後輩の関係は成立するので休憩室兼事務所のようなところに顔を出すと敬語で挨拶をした。


「よ、よろしくお願いします。今日はあんまり人も多くなさそうだし、ゆっくりおぼ……」


 俺がよろしくお願いしますと頭を下げていると足元には女性ものの靴と制服を身に纏った人が明らかに女性のものだと分かる声で挨拶を返してくれたのだが……。


「悠、さん……じゃなくって悠」


「星さん?! ここでバイトしていたんですか?」


 目の前に居た女性はサークル(仮)で一緒の星さんだった。


「今日は星さんが付き添って教えてくれるんですか」


「うん、そうだね。今日は道具の使い方とか、スープバーのスープを取り換える基準とかを教えて行こうと思ってる。ボク……えっとわたしからもよろしくお願いします」


 挨拶を終えて俺は制服に着替えに向かう。


 男性従業員が着替える場所だが他の従業員は居ない。

 まだ来ていないのか、さっきの休憩室に居た従業員で今日のシフトに入っている男性は全員なのかを考えながら着替えを終える。


 着替えも済ませ、シフトの時間に近づいた頃。俺のこのファミレスでの最初の仕事が始まった。


「えっと、これがサラダバーで、追加するときはこの線の高さを追加した野菜が超えるギリギリのところまで盛って下さい。次にスープバーだけど、これも一応容器の中に線は付いているけどさっきのサラダバーの時とは補充の仕方が変わります」


 見て聞いて、覚える為に頭の中で何度かシミュレーションを行いつつ星さんに付いてまわる。


「スープは一回厨房に持って来て厨房で作業している人に『スープ空になりました~』って声を掛けてそのスープを入れてもらう。その間にホールのボクたちはお客さんが座っていた席のテーブル拭きとかの作業をしておく。そして、少し経って厨房の方から『スープ入りました』って声が掛かったら取りに行ってスープバーの所に戻す。あ、そうそう。補足なんだけど、このスープの入れ物は各スープにつき三つ用意されていて洗う為にローテーションを組んでるの」


 衛生的な面にも気を遣っているのだと知り、このバイト先で良かったなと思った。


 同じ容器を使わないというのは常識かもしれないが、その常識を当たり前と捉えていない人間も中にはいるので関心してしまった。


 そのまま説明を受けて料理の名前を覚えたり頭を使って色々詰め込んだ。


「お疲れ様。今日はちょっと早めに上がっても良いと思うよ。頭を使って結構疲れたんじゃない、大丈夫?」


 今日一日だけで一緒に遊園地に行った時よりも距離が近くなった気がした。


 やはり二人だけで行動するというのは友人として距離を近づけるには最適かもしれない。


「今日はちょっと疲れてしまったので帰りますね。今日は色々付き添って教えてくれてありがとう。星さん」


「はい、また次のバイトの時か大学で会いましょうね」


 こうして俺のバイト初日は終わった。



――――――――――

ファミレスでのバイト経験が無いので想像で書きました。

今回は短くなってすみません。

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