第13話 話し合い。誓いと言葉の綾
文字数少なくなります。すみません。
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ついこの前、家に届いたダイニングテーブルに俺と紫都香さん、雪葉が向かい合うようにして座っている。
「単刀直入に聞くけど、もしかして……ストーキングしてる?」
「……ごめんなさい。こんな気持ち、初めてだったから。どうか警察と親には……」
椅子に座っていた雪葉は頭を床に擦り付けて土下座をしている。そこまで家族に連絡が行くのが嫌なのだろうか。
「雪葉、顔を上げて。友だちじゃなかったら通報してたと思うけど、流石に友だちにそこまでするつもりはないから。ただ、俺も紫都香さんもちょっと怖いなって思って、話をする為に呼んだだけだから。だよね紫都香さん」
「そうだけど、そうなんだけどね。……はぁ、悠くんは本当にそこら辺の危機感がないよね。もし本当に危険なストーカーが友だちになってしまって、何かあっても許しちゃうんじゃないかってわたし心配だよ。……でも、この危機感の無さがなければわたしも今みたいに同棲できていないんじゃないかって思うと他の人のことに対して強く言及できない……」
紫都香さんは俺に向かってため息をついたかと思ったが唇を噛んだり目を瞑ったりして何かに耐えているようだった。
今こうして同棲と言われて、ある事を思い出した。
今は同棲のお試し期間で本格的な同棲をどうするかという話し合いをしていないということを……。
最近はお弁当を作って貰ったり、この前は抱き着かれて添い寝をしていたのですっかり本格的な同棲が始動していると思い込んでいた。
でも実際はお試し期間継続中でこれからの事を未だ話し合えていない。
今度必ず話し合わないと……。
「では、これからどうして行けば良いのでしょうか? 近づかないというのは出来れば避けたいです。まだ会って間もないですが、私は悠さんが同年代で仲良くなれそうだと初めて思った友だちですから」
土下座の状態を辞めさせた雪葉が正座のまま顔を上げてこちらを見てくる。
危うくストーカーについての話を放って別の話し合いの事を考えてしまう所だった。
俺も大学で出来た最初の友人を手放したいとは思わない。恐怖を感じたものの何かを傷つけたり、危害を加えられた覚えはない。
となると、節度を守ったストーカーだったということ。つまり、ストーカーではなくなれば、これから良い友だちに発展していけるのではないだろうか。
「ストーカーを辞めて普通の友だちになれたらこれからもっと友人として関係を深めていけると思うんだけど」
「女の子と仲良くなるってのは少し胃が痛いけど、悠くんには大学生活を楽しんで欲しいから友だちが増えて欲しいって言う気持ちがある」
「分かりました。もうストーキングなんてしません。絶対にしないと誓います」
「ごめん、ちょっとトイレに行ってくる。すぐに戻るから」
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残された紫都香と雪葉
「清楚キャラは清楚でお姉さんのわたしが先約していました。二人も清楚キャラはいらないと思います。なので接し方を変えるべきかなってわたしは思います」
「分かりました。どうなっても知りませんよ、ストーキングはしないと私は言いましたけど…………ふふっ。悠には私は帰ったと伝えて下さいね!」
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