第3話

あれから三年がたち、俺は七歳になった。


この三年間は、魔法の他にも、剣の訓練も初めた。前世では主に魔法がメインだったため、剣を使う事は滅多になかったが、この世界では、剣もある程度は使える様になろうと思い始めた。


剣の知識はなかったが、こんな屋敷には書斎があり、そこの本を読み漁った。そのお陰で、剣だけの勝負の場合、上級剣士に勝てるか勝てないかぐらいまでには、成長したと思う。


実際上級剣士がどれくらいの、強さかは知らないが、本を読む限りでは、ぎり勝てると確信している。


剣士や騎士にも階級が存在しており、四級剣士、三級剣士、二級剣士、一級剣士、剣豪、剣聖となっている。騎士の場合は、剣豪が副団長で、剣聖が団長と呼び方が違うだけだ。


団長が剣聖と互角なら、この世界には剣聖で溢れかえってると思うのだが、実際どうなのかは確かめれば分かることだが。


また剣神と呼ばれる者も存在しており、これは魔術師と一緒の立ち位置らしい。


魔法の方は、基本属性の最上位魔法までは、使えるようになり、特殊属性の方は、上級魔法まで使えるようになった。


前世の俺からしたら遅い方だが、オリジナル属性の方を極める方に集中しすぎて、あまり基本属性や、特殊属性には手をつけてなかったからだろう。


魔法の方は後数年あれば、神級魔法まで使えるようになるだろう。オリジナル属性の方もかなり順調で、此方も後数年すれば極めれるはずだ。


一般では、オリジナル属性を極めるのは人生を掛けても、難しいと言われているが、俺からしたら、出来ない方が難しいくらいだ。


「さて・・・・・そろほろ昼飯にするか」


俺は着替えて、食卓へと向かう。別邸だが、流石貴族。普通の家よりは何倍も広い。


食卓のある部屋へ行くと、料理が既に並べられていた。毎日決まった時間帯に食べているので、それに合わせて準備しているのだ。


「ふむ・・・今日は肉の日か」


メインにステーキ、前菜にはスープとサラダとら貴族では普通の料理である。たまに、メインが魚になる事もあるが、それ以外はほぼ肉だ。


肉を一口食べる。


「・・・・相変わらず硬い肉だ」


もう何年も別邸の料理を食べているが、不味すぎる。これがこの世界の、一般的な味なのだろうかは知らないが、あまりに不味すぎる。


「おい。料理長を呼んでこい」

「か、かしこまりました」


待機していたメイドは、部屋を出ていき、料理長を呼んでくる。


「・・・・・お呼びでしょうか」


現れたのは、四十代程のハゲたおっさんだった。此方に視線を送る料理長は、不満気な表情をしている。


「わざわざ来てもらって悪いな。だが・・・あまりに料理が不味過ぎたので、我慢ならなかった」

「・・・・・」


料理長は何も言わずに此方を見ている。


「・・・・もう何年も我慢していたんだが・・・そろそろ限界だ。誰にこの料理を出しているか理解しているか?」

「・・・・エンド様でございます」

「そう俺にだ・・・・だと言うのに、この不味さはどういうことだ?」

「・・・・どういうことだと言われても・・・今お出しさせていただいている料理が、私の最高の料理でござます」

「そうか」


だとしたらこんな料理が、この世界の常識だと言うことか?そうだとしたら、期待外れもいいものだな。


「もうよい下がれ」

「・・・・失礼いたします」


料理長は出て行き、この部屋には俺とメイドの二人だけだ。


「さて・・・・時にメイドよ。この紙に見覚えはあるかな?」

「!?」


メイドの表情が変わる。


「これは今朝、飛んでいた鳥に着いていたものなのだが・・・・何が書いてあったか分かるか?」

「・・・・」


何も言わず黙っているだけのメイド。


「俺は黙れとは言ってないぞ?」

「ガハァ!?」


床に膝を付き、口から血を流すメイド。少し魔力を込めた威圧をしただけなのだが、やはり脆いな人間は。


「それでどうなんだ?」

「わ、分かりま・・せん」

「そうか。なら・・・・・死ね」


メイドに手をかざす・・・


「や、やめ」

「圧縮」


そう言うとメイドの空間が、圧縮し始め段々と潰していく。


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」


最後は何も無かったかの様に、メイドがいた場所には、大量の血だけが残った。


「な、何かございましたか!?」


叫び声を聞いて、駆け付けたであろうメイドが三人ほどいた。


『!?』


そして血溜まりを見て息を飲む。


「なぁに。スパイを始末しただけだ」

「ス・スパイですか?」

「あぁ。今始末したメイドが、今朝鳥に、この紙を付けて誰かに送ろうとしていたから、問い詰めていたのだが、クククッ俺とした事が殺してしまってな」

「そ、そんな・・・」


駆け付けたメイド達の、俺を見る目は恐怖に支配されている。


「まさか・・・・お前達もスパイではあるまいな?」

「そ、そんな訳ありません!?」

「わ、私もです!」

「・・・・私もエンド様に忠誠を誓います」


最初の二人は、恐怖しかないようだが・・・

最後の奴は、俺への憎しみを抱いているな。忠誠を誓うと言っていながら フっ・・・面白い


「そうか・・・これまで通り励めよ。下がってよい」

『失礼します』


ドアを開け出ていくメイド達。


「さて・・・・『妾の子供は魔法や、剣術の訓練をしている。恐ろしい才能です。早急に始末するべきかと』か。ククククククククッ一体誰が黒幕なろだろうか」


連絡が来なくなれば怪しむだろうが・・・・殺してしまったから仕方がない。


「まぁ何とかなるか」


誰かが暗殺者を寄越してきたなら、そいつを殺せばいいだけだ。来なければそれでいい。


「さて・・・訓練に戻るとするか」


そう言って椅子から立ち部屋を出て行くのだった。

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