第3話殺人鬼・ネクター博士

椛山かばやまは、ベッドに横になりながら、殺し屋リストのページを捲っていた。

そこに、指名手配犯の殺し屋の名があった。

カンニバル・ネクター。

彼は3人の一般人と、4人の警察官を殺害した殺人鬼であった。

彼に手を出したものは、様々な手段で殺し、知り合いに殺害した死体の内臓で手料理を獣の肉だと言いながら振る舞うのが趣味であった。

読み込むと、精神科医で博士課程を卒業している。

FBIでは、彼を『ネクター博士』と呼んでいるらしい。

この殺人鬼に決めた。

でも、日本語が通じるだろうか?

椛山は、公衆電話に向かった。

「もしもし、ネクター博士のお電話で宜しかったでしょうか?」

「君は誰だ?」

「椛山と申します。実は博士に殺してもらいたい老夫婦がいるんですが?」

「あいにく、私は左手を中華包丁で切り落としてね。殺しはずいぶん長いことやってないんだ」

椛山は話しを聞き、諦めようとした。

「カバヤマ君。君が殺してもらいたい、老夫婦は認知症でないのかい?」

「全くの健康体です。今は悠々自適の生活をしています。じいさんは元刑事です。ばあさんは看護師でした」

「では、その老夫婦の脳ミソをソテーして食べてみたい。君もどうだ?」

「い、いえ。僕は食べません。褒賞金は5000万円でどうでしょうか?」

「……いいだろう」

「後で、住所と老夫婦の画像をメールします。パソコンありますよね?」

「もちろんだ」

「では、ネクター博士、宜しくお願いします」

「私に任せるがよい」


ガチャン。


「殺人鬼なら成功するだろう」

椛山は、1回に下りて権蔵の肩を揉んだ。

「ありがたや、先生」

「いえいえ、日頃の感謝を伝えたくて」

「……う~ん、気持ちいい」

「結構、肩が凝ってますね」

「さっきまで、業者と一緒に防犯カメラをセッティングしたからの。この家には3億以上の金品が眠っているでのぅ」

椛山は必死に金庫以外の金品の場所が知りたくて、肩を揉んだ。


「さぁ~て、久し振りの脳ミソだ。それにしても、日本の岩牡蠣いわがきは、最高に旨い。10個全部食べてしまえ。この、肉切り包丁で老夫婦の喉をかっ切るまでよ。あの、カバヤマと言う男も死んでもらおう。私にわざわざ殺害の依頼をした罰だ!誰だ、殺し屋リストに私の名を載せたヤツは」

ネクター博士は、岩牡蠣を食べながら白ワインを飲んだ。

5時間後。23時。


グルグル。ブッ!プス~


「し、しまった。岩牡蠣が当たったのか?下痢が止まらん!慌てるな、5分もあれば3人殺せる」

ネクター博士は、食あたりを起こした。


オロロロッ!


大量にリバースし、下痢も続く。

「じ、時間だ」

ネクター博士は、ホンダのカブで現場に向かった。

ウッッ!

「まただ、漏れそうだ。コンビニのトイレに行こう」

博士はアクセルを全開にした。


ウーウー。


「前のカブに乗っている方、減速して左に停車しなさい」

博士は、パトカーの声を無視した。

「こらっ、逃げるな!止まれ!」

バイクは細い道に逃げようと、強引に対向車線にはみ出し、右折しようとした。


バンッ!ドゴッ!ズズズ~


ネクター博士は、対向車線を走る大型トラックと衝突事故を起こし、全身を強く打ち即死した。


翌朝、椛山は新聞を読んだ。

新聞には見出しがあり、

『連続殺人鬼、カンニバル・ネクター事故で死亡』

椛山は、苦いホットコーヒーを飲んだ。

悪運の強い、資産家だな。

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