001ある少年の目覚め/記憶が欠けた転生者



◇◇◇




遡ること6年前、星歴767年


「……え、てんせー……何それ…知らん…」


  空中に浮かぶステータス画面(という物らしい)とともに、横から文字の波が襲い掛かってくる。あわあわと手を動かしていると、文字が俺に話しかけてきた。


〇猫ですよ❘異世界転生、ご存じでない?

「いせかい…てんせー…」

〇猫ですよ❘前世で何かしら不幸があって転生するやつ

〇わんわん❘あー、もしかして自分の死因も知らない感じ?

「えっ、死んじゃったの俺!?」


  ステータス画面を両手で掴んで揺さぶる。死んだの!?噓でしょ、何で死んじゃったの!?


〇わんわん❘画面酔いするから止めろぉ!!

「えっ、あ、ごめん…」

〇七つの子❘いつもの暴走トラックじゃないの?

〇猫ですよ❘トラックの運ちゃん可哀そうだろ

〇お揚げ君❘そろそろトラックの運ちゃん解放したげて

〇ぴょん吉❘異世界転生ラッシュで流通業が可哀そうだろ

〇七つの子❘俺に当たるなよぉ!!!!

〇わんわん❘ちょい待ち…あー、事故死じゃ無いわ

「ねえ、ちょっと俺を置いてかないで」


  滝のように文字の羅列が流れていく。ダメだ、目が追い付けない。


「俺の死因、何だったの」

〇わんわん❘すまん、規約に引っ掛かるから言えない

「なんでぇ!?」

〇猫ですよ❘転生システムが変わった影響でね

〇七つの子❘前世の情報は秘匿される仕様に変わったんだよ

「なんで…?」

〇七つの子❘それはオイオイネー


  うーん、よく分からないが…事故死じゃないのは確定か。


「じゃあ、俺自身の記憶が無いのも仕様?」

〇お揚げ君❘は?

〇わんわん❘は?

〇七つの子❘え?

〇猫ですよ❘は?

〇ぴょん吉❘おいコラ此処の管理テメーだろ何すっとぼけてんだ

〇わんわん❘ちょっ待て調べっから待って


  何、何なの俺何かマズいこと言った!?


〇わんわん❘えーっと…確認なんだが

「あ、はい」

〇わんわん❘前世の名前は?

「…わからない」

〇わんわん❘前世の性別は?

「……わからない」

〇わんわん❘前世の年齢は?

「………わかんねえ…!」

〇お揚げ君❘ちょっと管理人ー

〇猫ですよ❘転生者くん泣いちゃったじゃーん

〇ぴょん吉❘お前本当マジふざけんなよ

〇わんわん❘俺悪くねえええええええええええ


  勝手に涙が零れていく。自分の名前が思い出せない、何処で生まれたのかも分からない。今まで俺はどんな生活を送ってきたのか、誰と一緒に暮らしていたのかも。何も思い出せない。自分は本当に自分なのか。それすらも分からなくて、不安が一気に押し寄せてきて怖い。今の俺は幼いこどもだ。前世の俺が何歳だったのかは思い出せないが、感情のコントロールが上手くいかず泣き出したら止まらなくなる。俺が分からなくて、こわい。


〇猫ですよ❘マジ?転生途中でデータ欠けたとか?

〇お揚げ君❘いや転生先で事故った可能性もある

〇七つの子❘事故ったって…例えば?

〇お揚げ君❘送信途中でネット回線切断、てきな

〇七つの子❘突然の落雷でデータがお亡くなりか

〇ぴょん吉❘目覚めるタイミングで何かあったか

〇ぴょん吉❘この様子だと1割か2割DLした感じ?

〇猫ですよ❘まあ、とにかく。あんちゃん

「……俺?」

〇猫ですよ❘そそ。ステータス画面、そこ触ってみて



_________________

▽caution

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〖A5Cα〗 Age:10

Class : Slave

_________________


〇猫ですよ❘あんちゃん日本人だよな?

〇猫ですよ❘言語表記いじるか、そこ右下押してー



_________________

▽言語表記を変更しました

▽アイテム『隷属の首輪』の効果により

 対象のステータスを全て表示できません


〖A5Cα〗 年齢:10

クラス:奴隷

_________________


「えっ」


  俺の目に飛び込んで来た文字に、文字の人達がざわめく。


〇ぴょん吉❘おい

〇七つの子❘ハードモードじゃん

〇猫ですよ❘うわ

「このクラスって…」

〇お揚げ君❘原作だと兵種枠。普通なら村人なんだけど

〇ぴょん吉❘おい

〇わんわん❘転生先は完全ランダム制なの!!!!

「俺が……奴隷…わ、本当だ。何か首とか足に鎖とか付いてる」


  異世界転生とか前世とかワードが飛び交ったから、そっちに気を取られ過ぎて全然気が付かなかった。よく見れば服は粗末でボロボロだし、体中あちこちに傷跡と痣が目立つ。両手首に填められた枷。足首に重く纏わりつく枷。それらを確認して恐る恐る首輪に触れる。まるで冬の冷気に晒されたように、俺の掌に非情な冷たさが伝わって来た。試しにさ/外そうとすればバチ!っと音が鳴る。電流が体中に流れていき、一瞬だけ誰かの記憶が流れた。これは…転生者と自覚する前の…俺…?


〇七つの子❘マジか…マジか…

〇お揚げ君❘スタートから鬼畜すぎる

〇猫ですよ❘記憶なし・奴隷スタート…うーん、この

〇ぴょん吉❘お前さあ

〇わんわん❘俺のせいじゃねえええええええええええ


  また凄い勢いで文字が流れてく…


「このアルファベット?と数字のとこ、何?」

〇七つの子❘あんちゃんの名前だよ

〇猫ですよ❘正確に言えば奴隷番号

〇わんわん❘A5地区のC、αタイプ。

「A5地区?」

〇お揚げ君❘裏世界での表記だよ

〇ぴょん吉❘実在する地名じゃないからな

〇わんわん❘人身売買で使われる

〇わんわん❘後半はChildの略で、αはランク

〇七つの子❘ランクは魔力保有量だよ

〇お揚げ君❘魔力↑ならイケそうだな

「奴隷…奴隷かぁ…」


  第二の人生が奴隷スタート。前世が恵まれていたのかは知らないが、ちょっと…いや、かなり悲しい。さっきの電流で脳裏に流れた記憶を引っ張る。断片的でノイズが走っているから鮮明に思い出せないが、太ったおっさんに暴力を振るわれているシーンだった。どうしよう、あれ絶対に俺の主だよな?あの健康診断に引っ掛かりそうなオッサンに見付かったら、このまま奴隷として一生を終えるのかな…


〇猫ですよ❘あんちゃん、そう悲観になるな

〇わんわん❘クラスチェンジがあるだろ?

「えっと…?」

〇七つの子❘奴隷から変われるってこと

「そうなの!?」

〇お揚げ君❘上げて落としてスマンが、

〇お揚げ君❘その拘束具って確か

〇猫ですよ❘…あー

〇ぴょん吉❘耐魔B級か…厳しいな

「? ??」

〇七つの子❘今すぐには無理ってこと

〇猫ですよ❘大丈夫大丈夫、何とかなるって

〇ぴょん吉❘いくらでも助言すっからな


  文字の人?達が言うには、特別製の拘束具が取れない限り奴隷のままらしい。転生先が奴隷の子どもだったのか、運悪く奴隷になってしまった後に魂が繋がってしまったのか。議論を交わす文字の洪水を眺めていくと、だんだん冷静になってきた。もしかして精神年齢、結構高い方なのかな?


「ていうか…ここ、何処?異世界ってことは”前世の俺”が居た世界じゃ、無いんだよな…?」


  ゴツゴツとした岩肌が四方を取り囲む。空を見上げれば夕陽が差し掛かっているのか、真っ赤に染まっている。しかし此処からじゃ、町なんて何処にも見えない。文字の人達から推定日本人と認識された俺。前世の記憶に関して欠けているのは俺自身だ。日本に関する知識は失われていない。もし異世界の家屋を見られたら、前世の知識と比較できる。その違いを見れば本当に此処が異世界なのだと、改めて受け入れるだろう。


〇わんわん❘其処はゲーム『ドラグーンズ アクシアⅦ』

〇ぴょん吉❘君が前世で沢山プレイしていたゲームの世界

「マジかー…ちょっと待って、何も思い出せない」


  沢山遊んだのなら風景に見覚えあるはずなのに…何か、こう…脳に引っ掛からないというか…


〇猫ですよ❘の、リメイク版

「りめいく…?」

〇猫ですよ❘大幅に改造されて古参ユーザーに不評

〇ぴょん吉❘原作知識が全く役に立たないほど

〇七つの子❘元のシナリオ見る影も無いレベル

〇わんわん❘あんちゃんの死後にリメイク版が発売

「それ前世の記憶があっても意味ねーじゃん!?」

〇猫ですよ❘草

〇お揚げ君❘草

〇七つの子❘草

「………何で急に単語だけ流れ始めたの…?」

〇七つの子❘それは置いておいて、とりあえず歩こうか


 生前の自分に関する記憶なし。転生先は大好きなゲーム…の、死後発売されたリメイク版。第二の人生は奴隷スタート。こうして良いこと無しな異世界転生ライフがはじまってしまった。


___________________________________________

▽実績『チュートリアル開始』により、

 対象者の前世情報が一部公開されました。




リメイク版『ドラグーンズ アクシアⅦ』 とは


 『Re:turn of DRAGOON'S AXIA Ⅶ』(リターン オブ ドラグーンズ アクシア セブン)とは、オーテ・ボーシャより202X年XX月XX日に発売された戦略RPGで、『ドラグーンズ アクシアⅦ』のリメイク版である。リメイク版シリーズタイトルは全て『Re:~』から始めるのは変わらない。

 原作『ドラグーンズ アクシアⅦ』(略称:ドラアクⅦ、DA7など)、『ドラグーンズ アクシア シリーズ』の7作品目であり、トウサン社より199X年XX月XX日に発売された戦略RPGゲームである。(中略)原作・リメイク版ともに作中に登場するドラグーンは■■■■■■■■■■■を指す。


【概要】

 198X年XX月に発売された、『ドラグーンズ アクシア』(略称:ドラアク無印、初代など)から始まる『ドラグーンズ アクシア シリーズ』の7作品目。200X年にトウサン社が倒産しオーテ・ボーシャに吸収された経緯から、当時の開発スタッフを集め最新技術を導入、復活を望むファンの声に応えて企画されたリメイク作である。


【ストーリー】

 傭兵団の見習いである主人公ロラン(男主人公選択時のデフォルトネーム)は、公国が集う地方、浮島連合の辺境地にある”ナヴィガトリア アカデミー”に入学。そこで出会う■■■■王国の王子、■■■■帝国の竜騎士たちと交流し、やがて様々な事件に巻き込まれていく。(中略)傭兵団に戻るか、ギルドに加入して学友とともに旅立つか。主人公は選択の時に迫られる。※gamikipediaより一部抜粋

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「そもそも、異世界転生って何?」


  移動しはじめた俺は情報を求める。何も知らないまま歩くのは、ちょっと…かなり危険だ。少しでも異世界で役に立ちそうな情報が欲しい。当たり障りのない話題から少しずつ…少しずつ。神様たちから話を引き出そう。


〇ぴょん吉❘死後、その魂が別次元に飛ばされることだな

〇ぴょん吉❘ポイントは別の世界線に飛ばされること

〇ぴょん吉❘もといた世界と同じじゃ、ただの転生

「へー…」

〇お揚げ君❘もしかして転生モノに詳しくない?

〇お揚げ君❘生前ラノベとか読んでないの?

「どうだろ…わかんないや」

〇お揚げ君❘まあ異世界転生者のやることといえば

〇お揚げ君❘生前やれなかったことやったり、

〇お揚げ君❘人によって悪逆非道に生きる転生者もいる

「ええ…何で悪いことすんの?理解できん」

〇お揚げ君❘人間、理性的とはいえ欲に素直だからな

〇わんわん❘修学旅行先ではっちゃけるような?

〇お揚げ君❘海外旅行で人目も気にせず騒ぐ的な

「なる…ほど…?」


  ”生前の俺”に関する記憶が抜けてるから分からん


「みんな同じ異世界に飛ばされるのか?」

〇ぴょん吉❘いやランダム制

〇お揚げ君❘他の世界線は乙女ゲームだったり

〇七つの子❘小説だったり色々あるよ

〇七つの子❘ここではゲーム世界に飛ばされやすい

「どういう、こと…よいしょっと」


  大きな岩が転がる道に差し掛かり、それによじ登りながら進む。


〇わんわん❘マルチバースって知ってる?

〇猫ですよ❘無数の世界が幾つも同時に存在している、ってやつ

〇七つの子❘縦が世界線、横が時間軸。それが無数に広がる感じ

「……でっかい布、みたいな?」

〇七つの子❘そんな感じ

〇わんわん❘縦線と横線が交差した箇所が現在、

〇わんわん❘それが縦にも横にも無限に広がっている


  現在だったもの、現在、これから現在に位置するもの。過去、今、未来。それは時間の経過とともに変わっていく。そして横に広がるのは無数の分岐点。俺の思考、行動。いくつもの「もしも、違う言動を選んでいたら」が続くifの世界。何を選んだのか、対象者が何処の世界線で生きていたのか。そういった条件で転生先が変わるらしい。


〇猫ですよ❘そもそも転生って言っても、魂の選定だし

「魂の選定…?」

〇わんわん❘本来、対象者の来世は同じ世界線に飛ばすんだか

〇猫ですよ❘善人と悪人の見分け方、難しくてさ

〇七つの子❘だから異世界での活躍…どういう生涯を送ったかで審査するのさ

「えー…それ、ちょっと回りくどくない?」

〇わんわん❘仕方ねえだろ、何処も魂が満員だし

〇お揚げ君❘現世の事故発生件数も自殺率もヤバいから何処も彼処もヤバい

〇七つの子❘賽の河原システムもアプデ来たしな

「いきなりパワーワードぶち込んでこないで」


  賽の河原ってアレだろ?永遠に石を積み上げ続けるやつ。巡回中の鬼が何度も倒しに来るからゴールが遠退き、邪魔されながらも延々と石を積み続けるやつだろ?どういうアップデートされたんだよ…


「…つまり、1人当たりにかける選定の期間を長引かせて…?」

〇ぴょん吉❘そうそう、待機時間を稼いでいる訳

〇わんわん❘ついでに俺らの神々の暇つぶしになる訳


  おい神、おい神様ちょっと


「文字の人達、神様だったの!!?」

〇七つの子❘えっ、今!?

〇猫ですよ❘ただのリスナーだと思ってた?

「神様なら俺の記憶、元に戻せるよな!!?」

〇ぴょん吉❘担当部署が違うんで

〇わんわん❘俺は受け入れ担当だし

〇猫ですよ❘すまん記憶に関しては専門外

〇お揚げ君❘そこになければないですね

〇七つの子❘違う神に言って


  神様って万能じゃないのかよ!!!??


「えー…記憶も戻せないとか…神様って、たいしたことないじゃん」

〇七つの子❘おう、お門違いだぞ

〇わんわん❘あんちゃんが言っているのはな、

〇わんわん❘魚屋にケーキ売れと言ってるような

〇わんわん❘無茶ぶりだからな??

〇お揚げ君❘人間って本当そういうところだぞ

〇お揚げ君❘何でもかんでも神のせいにするなよ

〇お揚げ君❘自業自得の死因を神の手違いとか

〇お揚げ君❘ほざきやがる下等生物どもが

〇ぴょん吉❘こらこら当たるな当たるな

〇猫ですよ❘持ち場の鬱憤ここで発散すんなよ


  う…今のは流石に失言だったか。文字を読んだだけなのに悪寒が酷い。どっと汗が出て足がガクガク震えている。本当に神様なんだ。


「……ごめんなさい」

〇わんわん❘気にすんな

〇わんわん❘記憶喪失で不安なんだから

〇お揚げ君❘こっちも当たって悪かったな

〇猫ですよ❘まあ能力特化すぎなのは事実

〇猫ですよ❘記憶の復元が専門外なんだ


  じゃあ何で俺の記憶は欠けているんだろう…


〇ぴょん吉❘何の記憶が抜けてんだ?

「え?俺に関する記憶だけど…」

〇わんわん❘年齢・性別・死因…普通なら全部覚えてる

〇わんわん❘はずなんだが おかしいな

〇ぴょん吉❘お前の管轄だろうだよぉ?

〇わんわん❘DLした時不具合なかったんだがぁ?

〇ぴょん吉❘そっちの不手際じゃねえのか?あ?

〇わんわん❘なんだとテメー、やんのか?

「待って待って」

〇猫ですよ❘あんちゃん、分かりやすくいうとな

〇猫ですよ❘魂はデータ、入れ物がUSBみたいなもん

〇猫ですよ❘前世の世界→異世界に魂が移動する時、

〇猫ですよ❘何らかの原因でデータが欠けたっぽいんだ

〇七つの子❘あんちゃんの前世の世界担当から

〇七つの子❘こっちの異世界担当の神が魂の受け入れる

〇七つの子❘多分そのデータ送信中か後で事故ったな


  それ、神同士のやりとりなら。やっぱり神様そっちの不手際じゃね…?


「神様たちって、何してんの?」

〇猫ですよ❘働いてますが?

〇ぴょん吉❘本来の役目は果たせてないけど

〇わんわん❘働いてますが??

「あ、うん。それは分かってる」


  そういうことじゃなくて


〇猫ですよ❘何でリスナーやってるかって?

「そう、それ」

〇猫ですよ❘転生者の行動を記録するためだよ

〇猫ですよ❘さっきも説明されたけど、元の世界線

〇猫ですよ❘つまり前世の世界に転生するまでの間

〇猫ですよ❘異世界での人生で、対象が何をしたのか

〇猫ですよ❘どういう功績を残したでジャッジする

「…?」

〇わんわん❘ちゃんとゲームクリアしたのか

〇猫ですよ❘どれくらい実績を解放したのか

〇七つの子❘どれほど悪行に手を染めたのか

〇ぴょん吉❘総合評価で次回の人生チャートが決まる

〇お揚げ君❘これが新しい転生システム

「へー…ゲームクリアまでの内容で決まるのか」

〇ぴょん吉❘俺らは転生者の行動を監視する仕事

〇お揚げ君❘RTA式で最速クリア目指してもいいし、

〇猫ですよ❘じっくりプレイして天寿全うもOK

「……そこまで教えていいの?」


  公平性が欠けるというか、ズルしてる気分なんだけど


〇お揚げ君❘何が起きるのか分からないのが人生だから

〇わんわん❘あんちゃんも、破滅まっしぐらかもしれないし

〇七つの子❘転落していく様を指さして笑うからな

〇ぴょん吉❘俺らからすれば実況動画みたいなもんだし

〇猫ですよ❘あんちゃんの人生、楽しませてもらうね

「そんな人の一生をスナック感覚で消費するなよ!?」

〇猫ですよ❘神からすればそういうもんだよ

「人の心ぉ!!」

〇わんわん❘神に人の心なんてねえよ

〇わんわん❘まあ転生の不具合に対する詫びだ

〇わんわん❘規定範囲内なら情報を教えてやる


  転生後の人生がゲーム実況動画感覚で見られているとか…何これ…


〇猫ですよ❘という訳で、リアルタイム配信中なんだよ

「え?何が?」

〇猫ですよ❘あんちゃんの転生ライフ

〇わんわん❘ただの異世界転生じゃなくて

〇わんわん❘Re:ドラアクⅦ実況動画の中にいるような

〇ぴょん吉❘ゲームクリアするか、それとも

〇七つの子❘人生がゲームオーバーするまで

〇お揚げ君❘俺ら弱小神様が見ているからな

「プライバシーの侵害では!?」

〇わんわん❘いや24時間まるっと見ねえから

〇猫ですよ❘プライベートな時は配信切ればいいよ


  あ、そういう機能あるんだ…いやでも俺の一生を娯楽として閲覧されるのか……何か嫌だな…


「さっきから気になってたんだけど。文字の神様たち…どれも聞いたことのない名前なんだけど」

〇猫ですよ❘分かってたけど実際に言われると辛い

〇七つの子❘八百万の弱小勢に刺さるぅ

〇わんわん❘いうて俺らマイナー神だしな

〇お揚げ君❘大手に比べて知名度数、低いし

〇ぴょん吉❘やってることも今じゃ下請け…

「…? 大変、そう…なのか?」

〇猫ですよ❘神っても、信仰する人間がいないと死ぬ

〇わんわん❘此処に居るのは忘れられかけマイナー神

〇ぴょん吉❘時代の流れと人口減少で大打撃だしなー

〇お揚げ君❘神なんてな、そういうもんだぞ

〇七つの子❘忘れられたら死ぬんだよ、神様も

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