seen4-管理人1

まだ暗い朝5時、家を出て仕事場へ向かう正弘は新聞配達と並走するように自転車で車道を走っていた。慣れた道なので信号のタイミングもバッチリだけれど、そもそも車はまだ多く走っていない。白い家族用の自転車はギアもなく、ちょっとした坂道も息が上っていた。最初は職場に着く頃には肩で息をしていたが、体力が付いてきたのか20分の通勤は苦にならない。


マンションに着くと、自転車を駐輪場に停めオートロックを共有キーで解錠し10キーを0613に合わせノブをひねり管理人室に入る。好きな番号に変えて良いと言われ妻の誕生日にした。うっかり誕生日を忘れないためだ。

この4畳ほどの空間が私の職場だ。冷蔵庫、電子レンジ、監視用モニター、テレビ。日中はマンション内で掃除やゴミ出し、その他諸々をしているので設備はこれで充分だ。夏などはシャワーも欲しい所だがそれは何とかなっている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る