seen3-私2

週一の洗濯を済ませベランダに干す。以前ハトに荒らされた事があるので、100均で買った網を上から掛け洗濯バサミで留める。この網を使うようになって下着も干せるようになった。見えないし取られづらい。

両隣の住人が女性だと言うのもあってその辺は気が楽だ。


左の部屋のテジマはまだ起きていないのか音がしない。テジマというのは305号室の女子大生。最近映画で見かけた女優さんに似ているので勝手にそう呼んでいる。学生なのにあまりうるさい音も聞こえないし、友達を連れ込んで騒ぐ様子もない。会えば挨拶もするし今どきの若者にしてはよく出来た子だ。私も学生時代は似たような生活だったので共感を持てる。

夜は飲食店でバイトしていると言っていたので、今日はゆっくり起きてバイトだろうか。カフェなどなら一度行ってみたい、今度聞いてみようかな。そんなたわいもない事を考えられる土曜の朝は好きだ。


反対の303号室のお隣さん、アルチューはまた遅くまで呑んでいたようだ。昨夜もうっすらとグラスを置く音や、意味不明な声も聞こえていた。騒音と言うほどではないので放っておいているが、深夜にうわぁ〜っと声がが聞こえた時には流石にドキドキした。翌朝の出勤時に合った時にはにはいつもどおりの挨拶をされたので、ただの酔った奇行だったのだろう。


婚活をしているらしいと前にチラッと壁越しに聞いた(聞こえた)ことがある。

週末にエレベーターで一緒になった時の服装、濃いめの香水、結婚相談所と思われる人との電話のやり取りで確信している。

マッチングアプリなどで相手を探せば見つかりそうな気がするがきっと未だに3Kとか言っていそうだ。あの年代の人は不景気の現代では苦労しそうでちょっとだけ同情する。

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