第27話 男達は今どうしてる?
≪オカマ様に連れていかれた男達≫
とても綺麗なオカマ達に連れられた男達。
彼等は今ある海外の真っ暗な地下室に閉じ込められ色々な体験をさせられていた。
彼等自身が女性に強制した行為は勿論の事、その行為を映像として残し、裏物としてひそかに売り出されていた。
勿論その映像を見たあとお客が行為を望めばそれが可能となる様になっていた。
男性と男性が絡み合う映像は一般的に吐き気を催すものであるが、世の中にはそんな映像を好む人も確かに存在するのだ。
それなりに顔の整った男性が泣き叫ぶ様を見て性癖の持ち主も確かに存在するのだ。
そして幅広い性癖の方々を喜ばすために男達への要求は増えていった。
男性同士の絡みは勿論の事、男が女へと変わる途中で壊れるくらい絡み合って欲しいと、絡み合わせて欲しいと、男が女へと完全に変わった後子供ができる程絡み合って欲しいと、絡み合わせて欲しいと・・・。
異常者共の要求は留まることはなく、男達を連れて来た綺麗なオカマ達はできるだけ顧客が喜ばせるために要求に答えて行った。
「もう、やめて・・・・ください」
「ごめんなさい。ごめんなさい。助けて、助けて、助けてください」
多くの異常者達に弄ばれ、身体を作り替えられながら弄ばれ、作り替えられても弄ばれ続けた男達であったが心が完全に壊れてはいなかった。
その理由は綺麗なオカマ達が発した脅しのおかげと言えよう。
「あらぁん。そろそろダメになっちゃうのぉん? ならそろそろバラバラになるぅん?」
綺麗なオカマ達は言った。
貴方達が身体でお金を稼ぐ限り生かしてあげると。
生きたまま目玉を繰りぬかれることもなく、臓器を取られることなく、死ぬことなく生かし続けてあげると。
そう言った。
「い、いやだ。おねがいします。死にたくない・・家に・・・帰りたい」
「お金なら用意します。親にお願いしていくらでも用意します。だから、助けてください」
「残念だけどそれはダメよぉん。貴方達は自分のやってきたことの対価を自分で払ってもらわないといけないのぉん」
苦しませて殺すと言う脅迫が真実だと知らせるために、男達の中から比較的売り上げの悪い者が連れていかれ、目の前で解体ショーが行われるだけではなく、売買も見せられることとなった。
人体で売れる臓器などは丁寧に解体され、人の皮や髪などは頭の可笑しな芸術家や収集家が購入していった。
人の皮を購入した頭の可笑しい人は、それを使ってバックなどを作るそうだ。
そして髪を購入した人はペットである子猫の猫じゃらしの素材にするとか言っていた。
あまりにも理解できないその発想に、男達は死んでもこの異常者達のオモチャになることがわかり絶望した。
それでも生き続ければ、生き残りさえすればいつか自分の親が助けに来てくれる。
だって仲間が解体されてそれを買っていった異常者達は皆金持ちだったのだ。
自分達を弄ぶ者達は皆権力者たちだったのだ。
ならば両親がいつかここに来てくれるはずだ。
金持ちである両親ならばここに訪れるはずだ。そして助かるはずだと・・・・・・・・・そう思って耐えているのに両親は来ない。
同じ人種である日本人を見かけることもできなかった。
「貴方達は皆自分が行ってきた罪の精算を自分で精算しなくちゃいけないのよぉん。それでやっと罪無き女の子達の魂が浮かばれる・・・ってオジサマアンが言っていたのよぉん」
「死んだ女・・死んだ・・・そんな女共のことなんか知るかっ! いいから家に帰せ! 帰してっ!・・・帰らせてくれよ」
「帰りたい、がえりたい、あぁぁ、がえりだいッ!!」
反抗するもすぐに懇願に変わる。
今まで何度もこんなやり取りをしていると言うのに、本当にこの男は変わらない。
いい加減うんざりするほどに・・・けれど客には受けがいい。
中々壊れないオモチャと言うのはとても受けがいいのだ。
最近では、誰が、いつ、どこで、どんなふうに、壊すのかを賭けするほどである。
面倒ではあるが、稼がせてもらえているので無下に扱うことはしない。
「大丈夫よ。罪さえ償えばすぐに解放してあげるわ。それに貴方達はここまで来たじゃない。後もう少し、後もう少しで貴方の罪は許されるわ」
「もう少しっていつだよ! いつまで、俺は、こんな・・・」
「もう嫌なんだ。もう、ダメなんだよ・・・・・」
「本当にもう少しよ。やっと貴方達のご両親が貴方達のためにお金を用意したところなのよ。そのおかげで貴方達の罪は僅かに清算できた。だから後一週間。一週間で自由になれるわ」
「「いっしゅうかん・・・」」
「ええそうよ。後一週間頑張ればいいの。それでもうこんな世界とはおさらばできるわ」
「「いっしゅうかん・・・いっしゅうかん・・・」
ただ彼等を使って賭け事が起こっている時点で、彼等の命はそう長くないだろう。
大勢のお客様が、彼等が壊れるのを、壊すのを望んでいるのだから。
「ええそうよ。だからかんばりましょ。ファイトよ」
そして途中からまともな口調で話し始めた綺麗なオカマの変化に男達は気付くことはなく、ただ一週間頑張れば解放されると言う希望に縋りつくのだった。
その後、一週間以内に心が壊れるよりも先に命が尽きたのは言うまでもない。
≪筋肉さんに連れていかれた男達≫
オカマ様達に連れていかれた男達とは違い、筋肉さんに運ばれた男達は比較的人としての生活を送っていた。
とはいえ今までのような裕福な生活ではなく、どん底の生活を送ることになった。
「貴様のせいで! 貴様のせいで! 貴様が馬鹿な真似をしたせいで!」
それも親兄弟から冷遇される生活を送っていた。
どん底の生活を送るきっかけを作ったのは確かに、罪なき女性達を弄び、売り払っていた男達に罪はある。
だが、どん底まで落ちる原因になったのは後ろ暗い事を数えられないほどやっていた親達なのだが、残念なことに彼等は自分が悪いとは思ってはいなかった。
いや、悪い事だとは理解しているのだろう。
ただこんな生活を送る羽目になり、弱い者にあたらなければやっていけないだけだ。
男達は家族の元に送られたときには手足の健を切られ、か弱い女性並みの力しか出せなくなっていた。
重い物など持つことなどできず、歩くことはできても走ることはできなくなっていたのだ。
階段を上るにも一段一段ゆっくりと登らなければいけないほどとても弱弱しい身体になっていた。
更に男性として失いたくないアレを切り落とされてしまったがために、日がな一日部屋に閉じこもり、布団の中からでてこないことなどざらであった。
故に心までも弱く、卑屈になってしまった彼等が標的となるのは当然と言えよう。
「・・・・なんで・・・こんな・・目に」
唾が飛ぶほど怒鳴られ、馬鹿者だと殴られる。
家族から向けられる視線は冷たく、あれほど甘やかしてくれた母の目でさえも凍えてしまいそうなほど冷めていた。
ただ少し遊んだだけなのに。
ただ少し弱い者で遊んだだけなのに。
「・・・・なんで・・・俺が・・・・」
男達は己がやった罪を理解し、反省することはない。
強者が弱者をいたぶるのは当然の事であり、あの時の自分達は強者だった。
だから別に反省する必要などない。
そう考えているから。
「くそ・・・くそくそ・・・・クソ」
彼等は死ぬまでそれを理解することはないだろう。
理解できずに家族のお荷物として扱われ続ける。
その命が尽きるまでただみじめに生きながらえるだけ。
彼等の人生はただそれだけだった。
「もしも改心していれば違う未来もあったでしょうに・・・残念ですね」
そんな彼等の様子を気持ち悪いオジサンは遠くから眺めていたのだが、それに気付く者はいなかった。
「死後の世界でも情状酌量の余地なしと判断されましたし・・・・彼女達の怨念も許可されましたか・・・致し方ありませんね」
そして煙のように白くて半透明の何かが飛んでいくことも、彼等は気付くことはなかった。
飛んでいった白くて半透明の何かは、反省の色が見られない男達やその家族の周りに漂い続ける。
決して離れぬように、絞め殺すように、交わる様に、溶かすように、決して彼等から離れることはなかった。
その数年後、纏わりついていた男達やその家族が、奇妙な変死で発見されたとか、されなかったとか。
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