第25話 ネタばらしと・・・いちゃいちゃ?


「お世話になりました」


 朝日が昇り出した時間帯になってしまったが、無事優愛を家に送り届けたオジサンに、優愛は深々と頭を下げた。


「いえいえ、大変だったのは優愛さんの方なのですから本日はゆっくりお休みください。学校の方には・・・こちらから事情をお話しましょうか?」

「いえ、人の口に戸は立てられないといいますので、風邪と言うことにして私から連絡させてください」

「確かに女性にとってあまり吹聴されたくない事ではありますからね。わかりました。ではこちらから連絡することは止めておきましょう。それと後で彼等の処遇についてのご報告や慰謝料などは・・・」

「どちらもいりません。もう関わり合いになりたくありません。もう・・・なにもなかったことにして忘れたいです」

「承りました。ではこちらで内々に処理させて頂きますね」

「はい、お願いします」


 本来被害者が訴えないと言われると、警察側は動きにくくなるのですが、まぁこちらは警察ではありませんのでどうとでもなります。

 警察うんぬんの作り話は女王さんが勝手に作った設定ですからね。


「では私達はこれで失礼致しますね。どうぞお大事に」

「はい・・・・・・・・・あの!」

「はい、どうしました?」


 なすべきことは成したので、お送り中にお眠りになってしまった女王さんを送るために車に戻ろうとした所、呼び止められました。

 何やらモゴモゴと口を動かして、言いづらそうにしておりますね。


「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・すみませんでした」

「・・・・・・・・・」


 いったい何に対しての謝罪なのか、などと呆けるつもりはございません。

 彼女が犯した罪。

 私に痴漢冤罪を掛けた謝罪なのでしょうね。


「・・・・・はい、許します。今後は間違ったことをしてはいけませんよ」

「はい」


 ちゃんと反省しているようですし、今後憂さ晴らしに他の方々に迷惑をかけることはないでしょう。

 私はそう判断し謝罪を受け入れると、女王さんをお家に届けるために車を走らせた。






「それで? どこからどこまでが作り話で、何でこんな事したのかしら?」


 しばらく車を走らせていると、すぐ後ろから女王さんの声聞こえてきた。

 先程までとても幸せそうに寝息を立てていたのですけれどねぇ。


「おはようございます。女王さん。お家は遠いのでまだお休みになられていては如何ですか?」

「あからさまに話を逸らそうとしないの。いいから私の質問に答えなさいよ。この嘘つきオジ」

「おやおや、困りましたねぇ。あまり人様の過去は語りたくないのですけどねぇ」

「語りたくなくとも語りなさいよ。上に報告する書類作成に必要なんだから。それにさっきの児童養護施設って、どう見ても未使用じゃない」

「そのような事はないと思いますよ?」

「しらばっくれるんじゃないわよ。建物は新築並みに新しいし、子供達が集まったときの特有の匂いもしない。あなた知ってる? 保育園や幼稚園って独特な匂いがするのよ。小さな子達の汗なんかの体臭のせいで」

「匂いは業者が入って大掃除した後なのでしょう。建物が綺麗なのも大人しい子達が集まっていたのでしょうね」

「誤魔化そうとするな」

「うぐっ、女王さん。いまは運転中ですので首を締めないでください」


 事故ってしまうかもしれないのに、女王さんは躊躇することなく私のぶっとい首を絞めてきます。

 厚い脂肪で守られていて、どこが首なのかと問われるほどの私の首を。


「次誤魔化そうとしたら踏むからそのつもりで返答なさい」

「けほけほ・・・はぁ、仕方ありませんねぇ。わかりました。いったい何をお話すればよろしいですか?」

「全部よ。全部」

「全部と申されましても」

「あなたがなぜあんな施設を用意したのか、何故三文芝居をしたのか、あの子の何を知っているのか、何であの子が痴漢冤罪なんておバカな事をしていたのか色々よ」

「ホントに全部ですねぇ」

「そうよ。だから洗いざらい話なさい。私は下手な隠し事されるとは面白くないのよ」

「そうは言われましてもですねぇ。一応個人情報でもありますので・・・」

「なに? 私の命令が聞けないの? 鞭で叩かれたいの?」

「御遠慮させて頂きます」


 流石女王と呼ばれるだけはあります。

 逆らうのがとても怖いですねぇ。


「・・・仕方ありませんねぇ。あまり面白い話ではありませんし、長くなりますが宜しいですか?」

「ええ、存分に語って聞かせなさい。家に着くまで時間かがかかるんだから」

「承りました」


 女王さんのご命令には逆らえないので仕方なく語ることにしました。


「佐川 優愛。彼女と、彼女がお父さんと呼ぶお二方はどちらも児童養護施設で育った方々です」

「は? そんな情報初めて聞いたんだけど」


 それはそうでしょうね

 それを知っているのは優愛さんがお父さんと呼ぶ人と優愛さんのお母さんだけなのですから。


「優愛さんは出産したばかりの様に全身血まみれで、生まれたままの姿で児童養護施設前に捨てられていました。そんな彼女を見つけたのが当時児童養護施設で保護されていた17歳の青年です」


 近年では望まれずに産み落とされた赤子がトイレに流されるなどの事件があります。

 そう考えると血まみれでも段ボールの中に入れ、施設前に捨てたのはまだ良心があると思っていいのですかね。


「青年は面倒見がよく、真面目で聡明なお方でした。頭もとてもよく、手先も器用で女王さんに匹敵するほどにパソコン関係にとても強かったようです。そして高校を卒業後大企業で働けるだけの力もあり孤児とは思えないほど将来有望なお方でした」


 私と違って頭が良く、機械に強い方でした。

 羨ましい限りです。


「そんな彼は施設を卒業するまで赤子であった優愛さんを大層可愛がり、働きに出てもお土産と共に頻繁に施設に顔を出し会いに来たほどです。それほどまでに優愛さんを猫かわいがりしていたのでしょうね」


 青年は親に捨てられたことを知っていたのでしょう。

 それ故に愛情を求めた。

 真っ直ぐ自分だけに向けられる愛情を。

 そして真っ直ぐ愛情を向けてくれたのが赤子である優愛さんだったと言う訳だ。

 恋愛感情ではなく、親愛という感情であって彼にとってはとても大切なモノだったのでしょうね。


「ですがそんな生活も優愛さんが5歳になるころに一変します。世間では児童養護施設で火事が発生し全焼しただけと記録に残っているでしょうが、詳細はその児童養護施設が人身売買の隠し拠点となっていたことで私達が動き、少々ヘマをやらかしてしまい多くの罪なき子供達が命を失うこととなりました。優愛さんはその罪なき子供達の生き残りであり、逃げ出した先で保護したのが日頃から優愛さんを可愛がっていた青年です」


 その後青年は優愛さんを保護すると、そのまま自分の娘として育てることにしました。

 諸々の書類などの手続き等はどうやったかなど彼には造作もなかったとの事。

 なにせ女王さんに匹敵する程にパソコン関係が強く、手先も器用だったようですからね。

 機械の弱い私には理解できませんが国のデータベース辺りをちょこちょこっとやるだけで簡単に身分証なども作れるそうです。

 まったくデジタルはどうにも理解できません。


「その後優愛さんはその青年の娘として育てられながら、娘に危害を与えぬ女性と契約し結婚をしました」

「契約?」

「はい。今優愛さんのお母さん役をしている方と青年の間には恋愛感情は一切存在しません。互いに干渉せず、肉体接触なども行わず、されど世間体などを考えて外では家族のように振舞う。生活費は青年が持ち、もしも離婚が必要な場合は優愛さんの親権だけは何があろうとも青年の者である。などと言う契約なされたのです」

「・・何でそんな事したのよ」

「青年にとって己にのみ愛情を向けて欲しいとは思っていても、世の女性で青年の願いを聞き届けてくれる女性は早々いらっしゃいません。子ができれば女性は女ではなく母となり子を優先するあまり自分を見てくれなくなりますからね。ですからそうならないように優愛さんだけは自分を愛し、優愛さんには自分だけしか依存できないようにしたのです。構ってくれない母の愛情を父である自分が与えることで、己のみを愛してくれるように仕立てあげたのですよ。優愛さんが大切に持っているあの十字架もイエス様のお顔ではなく、わざわざ自分で削って己の顔を掘ったほどの異常者ですからね」

「は? あの十字架はそんな風に作り替えられてたの?」

「はい、よく見れば女王さんでも気付くことができたと思いますよ」

「私・・・でも?」

「あっ、いえ、別に他意はありません。言葉の綾です。ふぐへ!?」


 本当に他意は無いのですが、女王さんを傷付けてしまいましたね。

 気を付けなければ。


「けほけほ」

「咳き込んでないでさっさと続きを話しなさい」

「・・・理不尽ですねぇ」

「なに?」

「なんでもございませんよ」


 ホントに気を付けなければなりませんね。


「まぁそんな感じで優愛さんは青年を父と仰ぎ、父に酔狂し、父のみに愛情を向けるようになり、いつしか親愛が異性に向ける愛情へと変わっていったのです。ですが、優愛さんが9歳になる頃事態はまたも一変します。異性として愛情を向けていた父である者が交通事故で亡くなることとなったのです」


 青年の予定では優愛さんが大きくなるまで静かに親と子の生活を送り、優愛さんが成人するまで待つつもりだったのでしょうね。

 そして成人後は現在の妻と離婚し、どこか遠く離れた地で優愛さんと第二の人生を歩むつもりだったのでしょう。

 自分好みに育て上げた優愛さんと・・・まるで光源氏計画ですね。


「その後形ばかりとは言え親権を持つ妻が優愛さんを引き取り、そのまま時が流れていき、妻の方は職場の方と恋仲となり再婚したのです。今現在お二人が仕事にかまけてお家になかなか帰らないと優愛さんは思っておいでですが、残念なことに彼等は他の所で家を購入しており、お二人だけで幸せに暮らしているようです。優愛さんをのけ者にして」

「・・・なにそれ。クソムカつくんだけど」


 全く持ってその通りですね。

 とはいえ、彼女達からすれば他人を養ってやっているのだからそれでいいだろと言う感じなのでしょう。

 優愛さんの暮らしている家などは全て異常者ともいえる青年が残した遺産であっても。


「私の方でも何度か親御さんにお話して説得を試みたのですが、どうにも聞き入れてはもらえませんでした」

「なによ。それで泣き寝入りでもしてきたわけ? それなら私が後でアイツ等の口座を弄ってあの子の口座に送金しておいても上げましょうか?」

「それには及びませんよ。こちらの声に耳を傾けなかった時点で報いは受けて頂きましたから。青年が残した資産および、今まで優愛さんに行った精神的苦痛による損害賠償金諸々頂く準備は整っております。拒否するのであれば法的処置以前に社会的に死んで頂くことになるでしょう」

「手が早いわね」


 当たり前ではありませんか。

 相手は物も知らぬ幼子でもなければ、成人していない子供でもありません。

 自立している大人なのですから己が行ったことの責任はとってもらいます。


「ただ優愛さんも痴漢冤罪などを行ったので当初予定していた金額よりもかなり減らさせて頂きましたがね。家庭環境や彼女の境遇を考えるとあまり彼女を責められませんが、やったことの責任は取るべきでしょう。いくら未成年であると言っても」


 そう言いながらもオジサンは少し悲し気に目を細める。

 結局今回オジサンができたことなど何もなかった。

 優愛の家庭環境を改善することも、彼女自身の心を救うこともできなかった。

 できたことは金にモノを言わせて、彼女自身の心を軽くするためにありもしない嘘をつくための舞台を整えただけ。


「なに悲しそうな顔してるのよ」


 ・・・・・・おかしいですねぇ。

 運転していて顔は見えないはずなのですが、何故ばれてしまったのでしょうか。


「今回は私の納得いく結末を迎えられなかったので・・・」

「何事も綺麗に収まるなんてできる訳無いんだし気にするだけ無駄よ。それより彼女に変な心の傷を負わなくてよかったって思うことね。身体も心も綺麗なままでいられることはとても幸せな事よ」

「・・女王さんのお心もお身体もとても美しく綺麗だと思いますよ」

「あら、ありがとう。けど私は私自身が綺麗だとは思っていないわ」

「そうおっしゃられても私は女王さんがとてもお綺麗に見えているのですよ。あなたは誰よりも気高く美しく強くあろうと努力し続け。誰かを守ろうと歩み続ける姿は見ていて心が温まります。女王さん以上に良き女性を私は見たことがございませんよ」

「な~に? 口説いてるの?」

「口説くなどではなく本心です。私は心から貴方を尊敬しております」


 今女王さん達の生い立ちを説明する気はございませんが、彼女達は彼女達でかなりひどい過去を経験済みです。

 それこそ今回優愛さんに起こり得た最悪な行為など、数えられないほど経験済みでしょう。


「できる事ならば女王さんの様な可愛らしくもお優しい女性が世に溢れてくれればと思う程です。そうなれば世界はもっと優しくなりふぐっ!? な、なにをなさるのですか」

「・・・ぺらぺら無駄口叩いてるから黙らせただけよ」

「けほけほ、申し訳ございません」

「謝るなバカオジ! ふん!」


 お褒めしていたのですがご機嫌を損ねてしまいました。

 やはり女性の、それも若いお方のご機嫌を損ねないようにするのはとても難しいですね。


「まぁ話しを戻しますが。優愛さんの生い立ちはそんな感じです。そして彼女は大好きな父である青年を失ったことで誰からも愛情や関心を向けられなくなり、それが耐えられず痴漢冤罪などと言う行為に及んだのです。お金などを要求しなかったのは、被害者に謝罪させることで自分を見てもらいたいと言う容認欲求を満たすと同時に、周りの者達からも自分はいい子であると認めてもらいたかったのでしょう」

「要するに彼女は元々精神的に病んでいたってことでしょ」

「そう言うことです。できるならば専門医師にカウンセリングを行ってもらいたかったのですが、流石にそこまではお望みでは無かったようですからね」

「??」


 誰が望んでいなかったのかは伝えるつもりはありません。

 ただ今回の仕事では、優愛が秘めている感情を修正することを望んでいる者はいなかったとだけ言っておきます。

 もしもその感情を無理に修正した場合、お祓いをしなくてはいけなくなったとも言っておきます。


「ああそれと話は変わりますが、こちらを先に提出させて頂きますね」

「なによ。USBなんて・・・似合わないの」

「でぇへへへへへへっ、その通りでございますね」

「気持ち悪い笑いしないで」

「これはこれは、申し訳ございません・・・・でぇへへ」


 そして本来オジサンの仕事は優愛が行っていた痴漢冤罪をやめさせることと・・・・ではなく、彼女が持っていたキーホルダーの十字架を使い、彼女の父である隠しデータの回収するのが目的であったのだが、そこはご本人のお力添えもあり、わざわざ十字架を奪うことなくひっそりと回収することに成功した。

 ただデータを得るために優愛の現状を改善することを願われてしまい、今回回りくどい手間がかかったと言う訳だ。

 ちなみにお金も数億程かかっている。


「やめなさいって言ってるじゃないの。たく、普通に笑えばキモオジじゃなくてただのデブオジなのに・・」


 オジサンの笑い方が気にいらない女王さんは文句を吐きながら、オジサンからUSBを受け取る。

 女性を気持ち悪くさせて申し訳なく思いますが、この笑い方はもはや癖になっているので、止めたくとも止められないのでどうにもなりません。

 いつかは治ると思いますが、気長に待ってもらいましょう。


「では話はこれで終わりということで宜しいですよね? ふぐっ!?」


 伝えるべきことは伝え終え、必要な優愛さんに関する情報と、本来の依頼の品をお渡ししました。

 故に話は終わりでいいかと問いかけたのですが、なぜかまたも首を絞められてしまいました。

 運転中は危険だと注意しているのですけどねぇ。


「さっき連れていった施設について何も聞いてないのだけれど?」

「あ、あれは、ただの、演出に、必要だったの、で、ご用意しただけ、です」

「演出ってあの指輪とか、花壇のチューリップとかの小道具を用意したのは貴方なの?」

「は、はい、そのとおり、です。花言葉など、の、お話も、即興で、作らせて、いただ、きました」

「ふ~ん・・・それでいくら使ったのよ。ちゃんと使った分は回収できるのでしょうね?」

「さ、先程の、施設は、児童養護、施設として、ではなく。幼稚園、として、知人に、お売り、する、予定で、す」

「売るのはいいけど赤字じゃないわよね?」

「・・・も、黙秘・・・させて・・・頂きます」

「黙秘じゃない! お金があるからって無駄にばら撒くなっていつも言っているでしょうが!」

「・・・お金は・・・使わねば・・・世は回りま・・せん・・・・あ、あの・・・そろそろ・・・ギブ・・・です」


 流石にいつまでも絞められるのは困ります。

 酸欠でクラクラして今にも事故ってしまいそうです。


「はぁ、貴方のその浪費癖直しなさいよね。いつもいつも赤字じゃない」

「けほけほっ、いつもと言う訳ではないのですけどねぇ。けほけほっ」

「嘘おっしゃい。貴方が今まで安い仕事をこなすたびに、目が飛び出るほどの金額をバラ撒いてるじゃないの。筋肉バカの資料から知ってるんだから」

「・・・そんなことはないのですけどねぇ」

「・・・・・・・・」

「・・・流石にこれ以上はおやめくださいね?」


 またも女王さんが絞めようとしてきましたが、優しく手を掴み止めさせていただきました。

 流石にこれ以上絞められるとホントに事故を起こしかねません。

 女王さんに怪我を負わせたくないですからねぇ。


「ホント。貴方って変わらないわ。ムカつくほどに金遣いが荒いんだから。この成金オジ」

「お金くらいしか私には誇れる武器はありませんからね。まぁ、それも私のご先祖様が優秀であったおかげですが」

「七光りオジ」

「はい、全く持ってその通りでございます」


 いやぁ、とても耳が痛いですね。

 ホントに・・・私にはそれくらいしか誇れるものがありません。

 お恥ずかしい限りです。


「卑屈オジ」

「でぇへへへへへへっ、あまりイジメないでくれると嬉しですねぇ」

「ふん、私貴方のそう言う所嫌いだわ・・・だから直すようにしなさいよ」

「でぇへへへへへへっ、申し訳ございません」

「後笑い方! いい加減それ止めなさい!」

「でぇへ・・・・こほん、努力致します」


 そうよ。努力しなさいよね。と呟いた後、のしりと私の頭に手を置き、潰すように乗っかってくる女王さん。

 運転中で危険なので、ちゃんと座席に座ってシートベルトをして欲しいのですが・・・言っても聞いてくれませんよね。

 なんて言ったって女王さんですから。

 ただできる事ならば、


「お風呂には毎日入って清潔にしておりますが、こんな体のせいで汗っかきなのです。髪も汗や油で汚れているので、触るにしてもタオルか何かを敷いてからにして欲しいですねぇ」


 じかに触れるのは止めて頂きたい。

 私が嫌と言うより、女王さんに嫌な思いをさせたくありませんから。


「この程度慣れているから安心なさい。それに貴方のなら汚いと思っても、嫌いにはならないわよ」

「はぁ、さようですか・・・・」


 汚いと思われること事態が嫌なのですがね。

 そう思いつつも、お願いしても退くことはない事を知っている為、オジサンは女王さんのしたいようにさせながら車を走らせた。



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