第19話 優愛さんはご立腹
行く先々で(泊まる場所も一緒の旅館)気持ち悪いオジサンと出会い、なんとも言えない旅行になってしまった。
ほとんど他人だけれど、相手は私のスカートの中に頭を突っ込んで来た痴漢の人で、そんな人がいるとわかると楽しめないのは仕方が無いだろう。
一瞬私を追ってきたストーカーさんなのかと恐怖を感じたが、よくよく考えてみると、あの気持ち悪いオジサンはあらゆる場所で働いているだけであり、何かを食べるときなどは先に席について食事をとっている所に私達が相席してお邪魔しているのだ。
なので、ストーカーと言う後を追いかけるようなことはされていないので、私の思い込みであると思うが。
「けど、なんで泊まるところまで一緒なのぉ。それも隣のお部屋なんて聞いてないよぉ」
温泉でコシコシと身体を洗いながら優愛はそんな事を呟く。
今日は大好きな人と楽しい旅行をして、そして夜は初めてを経験する日だったのだが、残念なことにその予定は無くなってしまった。
なぜかって。
それはあの気持ち悪いオジサンがお部屋まで乱入してきたからだ。
ただ乱入と言っても「意図せずお二人の邪魔をたびたびしてしまったようで申し訳ない」と頭を下げに来ただけで、長々と居座った訳ではなく、粗品を置いてさっさと帰っていったので邪魔だと思う程では無かった。
ただし、その粗品が悪かった。
あの気持ち悪いオジサンが置いて行ったのはとても高価なお酒で、とても純度の高いお酒で、ゆ~君が前から飲みたいと言っていた数量限定のお酒だったのだ。
その為、お酒大好きなゆ~君は味見と称して一口飲み、二口飲み、三口飲み、最終的には用意されたお食事のお刺身を摘まみに酒盛りを始めてしまい、そのまま酔いつぶれてしまった。
せっかく気合を入れてきたのにこんなことになるなんて。
「うぅ、今日は最悪だよ。最悪の日なんだよぉ」
そんな風に不満を漏らしながら、優愛は身体を念入りに洗っていく。
酔いつぶれてしまったとはいえもしかしてが起こるかもしれない。
だから一応念の為己の身体をピカピカに洗っていった。
そしてそんな事をしている間に、
「ちょっと失礼しますよぉ~」
気持ち悪いオジサンが裕也と優愛が泊まる部屋へと侵入し、
「Zzzzzzzz」
「おぉ~おぉ~、良く寝ていますねぇ。そのまま起きないでくださいねぇ。でぇへへへへへへっ」
いびきをかいて酔いつぶれている裕也に近寄っていくのだった。
言っておきますが、変な事は致しておりませんからね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます