第17話 ラブラブご旅行に・・・なんかいる


 今日は待ちに待った彼氏との旅行の日。

 彼氏のゆ~君がわざわざ家に迎えに行くかと聞いてくれたけど、それはお断りしている。

 だってご近所の方に見られたら社会人であるゆ~君が困るだろうから。

 だからいつも通りちょっと離れた場所で待ち合わせして、ゆ~君の車に乗って草津まで来た。


「わぁ~! ゆ~君! 見て見て! すごいよ! まっしろだよ!」


 モクモクと真っ直ぐ空に向かって立ち上る湯けむり。

 まるで霧が立ち込めているかのようだ。


「ほら、あっちに足湯があるぞ」

「あ、本当だ!」


 足湯がそこまでテンション高くなる所では無いのだが、大好きな人と一緒にいられることが嬉しいのか優愛は終始楽しそうにしていた。


 トテテッと足湯の場所まで駆けていくと、優愛は素足になり湯に浸かる。


「ふわぁ~、お風呂に入っている訳じゃないのに身体がポカポカしてくるね」


 ニコニコと笑みを浮かべ問いかける優愛。

 本当にとても幸せそうであるのだが、


「ええそうですね。汗がだくだく出てきます」

「あはは、流石にそんなにはでない・・・よ?」

「あ。どうも。お久しぶりです」

「な、な、な、な、なんであなたがいるのぉぉぉぉっ!?」


 残念なことにその幸せの時間は長く続くことはなかった。

 先日痴漢容疑で捕まった気持ち悪いオジサンが、なぜかここにいるのだから。


「なんでも何も、元々ここが目的地でしたので、はい」


 そう言うと、周りの人達に迷惑がかかると思ったのか、オジサンは重い腰を上げて軽く会釈すると足湯から上がるのだった。


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