第6話 気持ち悪いオジサンはお出かけする


「それでは行ってきますねぇ。鍵はちゃんと閉めていきますが、万が一も考えてお部屋の鍵も閉めるようにしておいてくださいねぇ」

「・・・・・はぃ」


 一緒にいて欲しいと願われた次の日の夜に、気持ち悪いオジサンはお仕事へと出かけることにした。

 僅か一日でお留守番が耐えられるだけ心が決まったことは少々寂しくもあるが、それだけ幸さんが強い子だと言うことで納得した。


 そうして気持ち悪いオジサンは車庫からワゴンタイプの車を走らせ、仕事場へと移動する。

 真っ暗な山道走らせながら、街へと降りていき、ある場所へとたどり着いた。


 そこは古びた集合住宅。

 その集合住宅のある一室の前まで来ると、気持ち悪いオジサンはぼそぼそと呟く。

 すると部屋の鍵が勝手に開けられた。

 そのことに気持ち悪いオジサンは疑問を浮かべることなく、部屋に入る。


 ゴミが溢れ、満足な掃除もしていない汚い部屋に土足のまま足を踏み入れると、部屋の真ん中で高いびきをかいている男を発見し、その男の元まで静かに歩み寄ると、クロロホルムをたっぷりしみこませた布で優しく男の口を塞ぎ、深い眠りへと誘った。

 そして、深い眠りに落ちたことを確認したのちに、気持ち悪いオジサンは軽々と男を持ち上げ部屋を出て行った。

 静かに閉められた扉は勝手に鍵がかかり、部屋に付けたはずの気持ち悪いオジサンの足跡や痕跡は全て綺麗に消え去っていた。



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