第4話:魔法書

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 名前:佐藤徹夜(17) Lv.101

 ジョブ:魔法剣士

 スキル:『火球Lv.1』


 ◆能力値

 HP:1120(+1000)※残り0時間21分38秒

 MP:1114(+1000)※残り0時間21分38秒

 攻撃力:1007(+1000)※残り0時間21分38秒

 防御力:1005(+1000)※残り0時間21分38秒

 攻撃速度:1006(+1000)※残り0時間21分38秒

 移動速度:1004(+1000)※残り0時間21分38秒

 魔法攻撃力:1007(+1000)※残り0時間21分38秒

 魔法抵抗力:1005(+1000)※残り0時間21分38秒

 精神力:1010(+1000)※残り0時間21分38秒

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 ケロベロスを倒したことでまた一気にレベルが上がり、101になった。


 これにより素のステータスがポーションを飲み前から1000アップしたので、今後はかなり楽になりそうだ。


「テツヤすっご〜い!」


 金のニワトリはケロベロスの亡骸を見て驚いているようだった。


 俺も内心かなり驚いている。


 周りの魔物が逃げていくほどの魔物となると強かったはずだ。


 二時間半の地道なレベルアップとポーションのおかげだろう。


「って、あと二十分か……」


 気付けば、ポーションの持続時間が残り二十分ほどになっていた。


 時間いっぱいまでレベル上げに励むつもりだったのだがケルベロスのせいで周りにいた魔物がいなくなってしまった。


 これでは効率が悪いな。


 どうせなら移動速度の上昇が残っているうちに近くの街まで移動した方が良いかも知れない。


「近そうなのは……向こうか」


 目視でギリギリ見えるくらいの距離に小さな人口の建造物が見えた。


 おそらく距離としては二十キロくらいだろう。


 まずはあの場所を目指そう。


「テツヤ、魔物持って帰らないの〜?」


 歩き始めると、金のニワトリがそんなことを言ってきた。


 二時間四十分の間に倒した魔物の亡骸が大量に散乱しているので、確かに気になってはいた。


 おそらく部位によっては売ることもできるだろうし、俺としても持ち帰れるものなら持ち帰りたいと思っていたが……。


「この量じゃ無理だろ? 一部だけ切り取るにしても、どの部分が売れるのかすらもさっぱりだしな」


「んー、でもこんなのドロップしたよ?」


 トコトコと歩いて魔物の亡骸に近づく金のニワトリ。


 いつの間にか落ちていた一冊の本を拾って俺に渡してきた。


 五センチほどの厚みがあるなかなかのボリュームだ。


「……本?」


 タイトルには『魔法書EX:アイテムスロット』と書かれている。


「ケルベロスが落としたやつ。魔法を覚えられる」


「じゃあ、それだけ持って帰るか」


「ここで覚えたらいいのに」


「……と言われてもな」


 これだけの厚さだと読むだけでも何時間かかるかわからない。


 と思っていたのだが——


 本を開いた瞬間。


 魔法書は光の粒子となって霧散し、俺の体の中に吸い込まれた。


「え?」


 そして、ステータスを確認すると——


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 名前:佐藤徹夜(17) Lv.101

 ジョブ:魔法剣士

 スキル:『火球Lv.1』

 EXスキル:『アイテムスロット』


 ◆能力値

 HP:1120(+1000)※残り0時間20分11秒

 MP:1114(+1000)※残り0時間20分11秒

 攻撃力:1007(+1000)※残り0時間20分11秒

 防御力:1005(+1000)※残り0時間20分11秒

 攻撃速度:1006(+1000)※残り0時間20分11秒

 移動速度:1004(+1000)※残り0時間20分11秒

 魔法攻撃力:1007(+1000)※残り0時間20分11秒

 魔法抵抗力:1005(+1000)※残り0時間20分11秒

 精神力:1010(+1000)※残り0時間20分11秒

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 新たに『EXスキル』という項目が追加されており、そこには『アイテムスロット』の表記があった。


 どうやら、魔法書から魔法を覚えるには必死で本を読む必要はなく開くだけで良かったらしい。


 ちょっとお手軽すぎないか?


 まあ、入手するまでのハードルが高いしこの感じだと複製は出来なさそうなので釣り合いは取れているのかも知れない。


 さっき火球を使った要領でアイテムスロットを使ってみる。


「なんだこれ?」


 まるでAR映像。


 ゲームの空白アイコンのようなものが大量に現れた。


 ブラックドッグの亡骸を拾って空白アイコンの中に投げ込んでみる。


 俺が投げ入れた魔物は吸い込まれ、空白アイコンが黒い犬のアイコンに切り替わった。


 逆にアイコンを触りながら引き出す仕草をしてみると、収納したものを取り出すことができた。


「なるほど、こうやって使うのか」


 二匹目、三匹目、更にはケルベロスまで投げ込んだ後に確認してみる。


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 ・ブラックドッグの亡骸×150

 ・ケルベロスの亡骸×1

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 問題なく全てを収納できたらしい。


 いくつまで収納できるのかわからないが、合計で151体の魔物が軽々入ってしまったことを考えると容量はかなり大きそうだ。


「これ、便利だな」


「でしょ〜」


 金のニワトリが得意気に鼻を鳴らした。


 いや、べつにお前の手柄というわけではないのだが。


 とはいえ魔法書の存在を教えてくれたおかげで使えるようになったのは事実なので優しく撫でておいた。


 コケコケとくすぐったそうに鳴く金のニワトリ。


 そんな金のニワトリを見ていると、俺の頭に一つ疑問が浮かんだ。


「そういや、お前名前なんて言うんだ?」


「名前はない〜」


「不便じゃないのか?」


「う〜ん、確かに?」


 まあ、他に言葉を話せるニワトリなんていないだろうしこいつ自身が困ったことはなかったのかもしれない。


 だが、俺の立場としては困る。


「じゃあ、テツヤがつけてよ。ワレの名前」


「え、俺が?」


「うん。飼い主だし」


「構わないが……あまりセンスに期待するなよ?」


 気の利いた名前を考えられる自信がないので一応予防線を張っておく。


「お前、ニワトリだしな。コケコッコーって鳴くから『コッコ』でどうだ?」


「コッコ……?」


 さすがに安直すぎたか?


 と心配したが——


「コッコいい! ワレ、コッコ!」


 喜んでくれたようなので良しとしよう。


「じゃ、そろそろ移動するか」


 俺はコッコを肩に乗せ、近くの街へ足を進めた。

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