第11話
私、イーファです!
今日は、街の中をパトロールしています!
え、イツキさんとは一緒じゃないのかって?
今日は別の人と行動してるんです、別に寂しくはないですよ?
やられちゃったりしないか心配ですけど、ペアの人もいますし!
私は自分の仕事を頑張りますっ!!
「...ねえ、イーファちゃん?あまり食べすぎはよくないと思うのだけれど......。」
「ふぇ?ほんはほほ...ごくん。ないですよ?」
...もぐもぐ。
...サボってるわけじゃないですからね!
「確かにあなたにとっては目新しいものばかりで、楽しいかもしれないけれど...一応仕事よ?」
「ふぇ...ご、ごめんなさい...。」
「いえいえ、わかってくれればいいのよ。」
この人は水魔法使いのエルフィンさんです!
彼女はリムリック?っていう街から来た人らしいです!
コルムさんと同じで、街の救援に来た1人って言ってました!
「今のところ、アンデットはいないみたいだけれど...。アンデットは地面に隠れることもあるから、注意深く見守りましょう。」
「はいっ!」
コノート村から出てきた私にとって、街は学びの場所でもあるんです。
街並みの観察、たくさんの人との関わり、そしてあっちにはいないモンスター...。
アンデットもこっちに来てから初めて知ったモンスターです。
あっちではオークやスライムがほとんどだったので、戦えるか不安ですけど...エルフィンさんがいるので大丈夫だと思います!
「誰かぁぁ!!!」
「早速お仕事ね。行きましょっか。」
*
声の主へ向かうと、そこには剣で応戦しようとしている若い男の人がいました。
その目線の先には、アンデットが5体ほどいるみたいです。
「お兄さん、少し下がってもらえるかしら?」
「み、見回りの人!!助けてくれ!!」
「ええ、大丈夫よ。私が守ってあげる。」
そういうと、エルフィンさんは杖を構えて詠唱を始めました。
魔法は基本、詠唱を行うことで威力を増します。
もちろん、なくても放つことはできるんですけど、その分威力は下がっちゃうんです。
「水の精よ、私に力を与えなさい。射抜く弾となれ。アクアバレット。」
詠唱が完了すると、上の先から水が出てきました。
その水はやがていくつかに集約して、水の弾ける音と共にアンデットを射抜いていました。
「わあ、すごい...」
「うふふ...水は美しいでしょう?戦いの中にも、癒しが生まれて...」
「いや、そこまでは考えてませんでしたけど...」
「...」
*
幸い、お兄さんや周りの人にケガはなく、無事に済みました。
ただ、さっきの戦いを皮切りに、アンデットを何度か倒しているんですけど...。
「...少しレベルが高くなっているわね。体力が増えた...というより、知性があるというか。イーファちゃんも気づいているわよね?」
「はい。さっきからエルフィンさんの魔法を避けるアンデットが何体かいましたし...何か理由があるんでしょうか...」
知性の高いアンデットが出現し始めてきているんです。
もちろん、アンデットは体力もそこまで高くないので、魔法火力が足りなくなることはないのですが...。
私も魔法を使わないと、すぐには倒しきれなくなっています。
まあ、こんな時のために新しい攻撃魔法を習得しておいてよかったです!
「それにしても、イーファちゃんの風魔法、魔力の練り方がとっても上手ね。誰かから教わったの?」
「いえ、自分で研究したんです!お母さんお父さんとか、いなくて...」
「あら、それは悪いこと聞いちゃったかしら...。でも、1人でそこまで極めたの?すごいわね!」
「あ、でも...」
言葉を詰まらせたのには理由がある。
私は1人で魔法を使えるようになったわけじゃない。
教えてくれた人、あの人がいる。
でも、私のせいで、あの人は...。
「...ちょっと、教わったことはあります。」
*
しばらくして、アンデットの発生も少なくなってきました。
現在、ちょうどお昼時。
イツキさんたちに差し入れするご飯を探しています!
...けっして、私が食べたいわけじゃかいですよ?
「あら、コオレンのサンドイッチが安いわね。酸味があるけど、お肉との相性もいいのよ。」
「わあ...!」
新鮮な食べ物を、どれにしようかとワクワクしながら見ていると、魔導具が震えているのに気がつきました。
「あれ、イツキさんからかな?」
魔導具の魔力探知を使い、イツキさんのメッセージを読み取ります。
いつもより魔力反応が弱いのが気になるけど、モンスターとの戦闘でもしたんだと思います。
肝心のメッセージを探知し、読みます。
「しにそ」
....
.............
.........
「あら、連絡?.....何か苦戦しているのかしら。イーファちゃん、こっちは他の人に任せて応援に...」
「イツキさん、しんじゃう...?」
「いえ、単独行動はありえないから単純に苦戦してるだけだと....」
全身から血の気が引く感覚がしました。
イツキさんが大変なことに。
もしかしたら....。
そんなことを思うと居ても立っても居られなくなり、買い物のことなんか忘れて走り始めました。
その瞬間、私は人生で1番速く走っていたと思います。
「あ、イーファちゃ...って、ちょっと待って〜〜!!」
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