第3話
「俺、復活!!」
気持ちのいい朝だ!!
背中のキズも完全快復、寝不足なことを除けば最高の気分!
「よかったぁ〜!元気になりましたね!」
「イーファちゃんがそばにいてくれたおかげだよ!ありがとう!」
イーファちゃんはえへへ、と笑顔を見せると、少し頬が赤くなった。
「あっ、そうだ!イツキさん、まだスキルについて視たことないんですよね?スキル鑑定に行きましょう!」
そうだ、自分のスキル鑑定だな。
スキルか……転生したばっかの俺にスキルなんてあるのだろうか?
まあ、なくても何かしらの武器を練習すれば大丈夫かな。
「そうだね、行ってくるよ。えーと…どこに行けばいいかな?」
「ギルドが近くにあるんです!案内します!」
ありがとう、そう言いながらコップに注がれた水を飲んだ。
う、冷てっ。
この水って常温だったよな…………?
*
ここは街というより、ちょっとした村のようなところらしい。
今は昼だからか、人で賑わっている。
「結構人いるんだね〜。」
出店のようなところで食べ物を売る人、武器や道具を売る鍛冶屋、鬼ごっこをする子供……。
平和だなあ…、心が癒やされる…。
「あ、あそこです!」
イーファちゃんが指を指したのは、地方の役所のような建物だった。
ギルドというともっと大きいものを想像していたが、なんとなく意外だ…。
「こっちです!行きましょ!」
*
ギルドに入ると、ポツポツと人が固まっていた。
掲示板には、" 仲間募集! " といった張り紙や、討伐求ムなどそんなことが書いてあるのではないだろうか。
なんで推定気味なんだって?
この世界に来てから文字が読めないんだよ……。
普通こういうのって勝手に読めるようになってるんじゃないの?
本でも読んで勉強するか…いや、イーファちゃんに教えてもらう…いや、それは流石に恥ずかしいな。
「あ、そこの受付です!」
「いらっしゃいません。コノート村のギルドへようこそ。」
髪の長い茶髪の女性が、優しい声で挨拶をしてくれる。
「あ、えっと、ど、どうも…。」
ぐっ…まさかこんなに若い女性が受付だとは…女性に慣れてないのがバレバレだ……。
「あ、え〜っと…スキル鑑定をしてもらいたくて」
「スキル鑑定ですね、ライセンスカードはお持ちですか?」
「ライセンスカード?」
それは聞いてなかったな、ぽっと出の俺が身分を証明できるものなんてないぞ…?
「ライセンスカードとは、生活をするに当たって身分を証明したり、経験値などを目で見えるようにしたりするカードです。お作りいたしましょうか?」
「え、そんな簡単に作れるんですか?」
「はい、用紙にプロフィールなどを書いてもらえれば、すぐにお作りできます。」
結構簡単だな…。
車の免許みたいなものかと思ってたから、以外だ…。
数分後…。
「じゃあ、ここに記入をお願いします。」
よし、何を書けばいいん…………。
「………。」
「……あの、これって代筆でも大丈夫ですかね………。」
受付のお姉さんは一瞬驚いたあと、苦笑いしながら
「は、はい。隣の方でも大丈夫ですよ…」
20歳大学生、異世界の字が書けない。
そして、15歳の少女に代筆を求める、不甲斐ない男。
「だ、大丈夫ですよ!字が書けなくたって、あなたは優しい人ですから!」
年下の少女に慰められているのは、なかなかに酷い絵面だろう。
正直、ここから早く出たい。
「えーと、身長と体重、年齢ですね…」
167cm、52kg、20歳…
イーファちゃんはためらいなく用紙に書き込む。
そしてペンをカチッと鳴らすと、すぐに記入は完了した。
受付のお姉さんは用紙をすっと確認すると、
「はい、大丈夫です。」
「では、スキル鑑定に入りますね。この水晶に手を当ててください。」
いかにも鑑定をしそうな水晶だ。
そっと手を乗せると、お姉さんは説明を始めた。
「適正スキル、氷…氷系の魔法が使えそうですね。魔力量は…少し低めです。安定してスキルを扱うには、特訓が必要だと思われます。」
スキルについての説明をされる。
どうやら素っ裸で転生させられたと思ったら、多少は魔力だとかがあるらしい。
「こちらがライセンスカードになります。経験値は、ここに表示されます。」
右下のバーのようなものを指さし、お姉さんは言った。
経験値ってことは、敵を倒せば得れるわけだな。
「ありがとうございます。」
「どういたしまして。健闘を祈りますね。」
よし、これで身分証明は完璧だな。
あとは何をするか…冒険に行くか?
それとも、仲間でも増やすか?
いやあ、異世界転生って結構ワクワクするんだなあ。
「おーい!そこの兄ちゃん!」
ギルドを出ようとすると、誰かに声をかけられた。
これは…イベント的なやつか!?
振り向くと、少し先に声の主であろうおじさんがいた。
いかにも何かありそうな人だな!
「よっ。お前、駆け出しのヤツだろ?」
あるおじさんが話しかけてきた。
彼はコルム ・ バークと名乗った。
気さくそうな人で、いかにも人柄の良いオーラと香りかけの加齢臭を漂わせていた。
「てことは…武器とか装備が必要だろ?お前、適正は?」
「氷ですね。」
コルムさんはほぉ、と目を大きく開けると、物珍しそうに頷く。
どうやら、この世界では氷適性を持つ者は多くないらしい。
「魔力はそこまで多くないみたいだな。はじめは剣使い、つまり剣士の装備をするといい。」
剣使いか、RPGでは定番の職業だな。
しかし、竹刀すら持ったことのない俺が、そんな本物の剣を扱えるのだろうか?
「クク、剣を扱えるのか。そんな心配をしているだろう?」
うわ、このおじさんいきなり地下でチンチロリンやってそうな人みたいな喋り方し始めたぞ。
でも、たしかに心配っちゃ心配だな…。
「確かに、扱えるか不安ですね…。」
「大丈夫だ。剣は持ち方を手に覚えさせれば、軽く戦えるくらいの適正スキルが付くんだ。いわゆる、パッシブスキルというやつだ。」
パッシブスキルか、便利なスキルだな。
未経験の俺でも扱える希望があるのはかなーり嬉しい。
「よし、装備の選び方を教えてやる!」
ガタッと音を鳴らして立ち上がると、コルムさんは走って " ついて来い " と手を動かした。
*
「教えていただきありがとうございます!」
コルムさんは鍛冶屋をやっているらしく、その筋の知識で最適な装備を選んで奢ってくれた。
とりあえず初心者用の装備として、剣と冒険者っぽい服を見繕ってもらい装備してみる。
イーファちゃんもコルムさんも、似合っていると口を揃えて言ってくる。
おじさんは、若い頃の俺にそっくりだ、なんてことを言っているが…。
まだ35歳と言っていたのに、何を浸っているんだと思う。
でも、この装備があれば心強いな。
剣は思ったより重いけど……。
「よし、準備完了記念で飲みにでも………!?」
「う、うわああああ!!」
コルムさんが立ち止まると、前から子供が走ってきた。
「お、おおオークがぁ!!たくさん!!」
「なんだと!?…こりゃまずいな。」
オークだって?
あのオークが、たくさんだと…?
「戦える人は…!?いないんですか!?」
「俺らで戦うしかねえ…。傭兵団はさっき旅行にでかけちまったからな…」
え、なんで村守る人が旅行行ってるの?
さっき予定があるって言ってたの、そういうことか。
いや絶望的じゃん。
「剣を構えろ!戦うぞ!」
…やるしかないか…!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます