第27話「真相、国の未来を脅かす存在②」

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ネイラ

「大丈夫かい!?」


星母

「お願いします・・・我が子を―――――」


その女性はそう言って背中に大きな星の痣がある赤子を託し、亡くなった。


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それからというものの、子育てはやった事ないから大変だった。彼、スタヴを引き取った後から。


それからかなりの月日が経った。

もう40も老いた己の体に鞭を打つような感覚でスタヴや他の孤児達の世話をし続けた。


それからだっただろうか、10年が経って遠方の国の停戦状態にとどまったと言う話を元の冒険者も兼業していた仲間から聞いた。


仲間の一人が言うにはセントティクスと言う古の伝承を持つ特殊な国らしく、その国から輩出された英雄たち――――星帝と呼ばれる職業を持つ者達が私の住むこの国に拠点を移した。


元のセントティクス大国の伝承がこの国にも浸透し、まるで我が子の様に残って行った。


いつの間にかこの国の古くからの伝承という扱いになっていた。


勝手に他国の伝承を奪う形で浸透していったのは悔やまれる。

それに、私の本能が仲間と共に警告を出すように囁いた。


"絶対に彼を彼の国に送り返しては駄目だ"と。


それからだろうか、一人の男が厚手の外套を深々と身に纏い、正体を明かさずに私にこう言った。

"彼を暫くの間に頼みます"と。


そんな彼の表情は見えなかった。

ただ・・・わかる。

また停戦の話が解かれて結局戦争になるんだと。


そんな彼はスタヴを見ながら私にそうお願いしてきた。


"きっと、その場で付き返して追い出したら出戻り先で命を落とすのかも"しれないと。

そう気づいた私は何も言わずに頷いて育てる決意をした。


それ以降、スタヴにさみしい思いをさせないと、何人かの孤児を集めて孤児院を切り盛りし始めたのはその後だ。


そして彼らは立派になって冒険者もやり始めたと聞いた。

本当の家族を知らず育ってきた彼は何かを悟り、達観して数々の任務をこなし・・・

やっと私たちの手元から羽搏いて行った。


彼らが有名になって活動も積極的になってから私は息子や孫たちにお願いして孤児院を降りた。


私の代わりに私の家族が少しずつ支えて行っていた。


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「"最後に言えなかったけど、この手紙を読んでいる今のキミに送らせて欲しい"」

「・・・・」


皆が黙って聞いていた。


「"遅れながらの誕生日おめでとう。そして、立派に成長した君達には・・・将来長生きしながら自由を謳歌する為に――――ガンバレ"・・・・これで最後だ」

「・・・・」


周囲のメンバーは全員が黙っていた。

皆の言いたい事は分っている。


「・・・・日記、ありがとう。返すよ」

「こちらこそ。飲み物が冷めてしまったようだ。改めてみんなの分を入れ直させてくれ」


自分の曾祖母の日記の中身を見た彼は口に出さずとも表情に出ていた。


「しかし・・・この日記は若い頃の日記だ。って事はその前の歳から今にまで戦争をあの国は続いているのか」

「・・・・ギルマス」


僕は天井に顔を向けて背凭れに寄り掛かる。


「帰宅後に特別依頼を」

「判った。この後、帰宅してから俺は会議に入る。それまでに少し待っててくれ」


その場のメンバー全員が頷いた。


用を終えて帰宅し―――――


「直ぐに会議に入る!重鎮達を招集してくれ!」

「畏まりました!!!」


ギルドでの会議が終わるまでの間、僕やメンバー三人はクランハウスに戻って準備を始めた。


「ナル、ナヴァ達を呼んでくれ」

「判りました。」


数分後、ナヴァンス、ゴールド、エリデリアの三人が集まって来た。


「ある程度、ナルから聞いていると思うが・・・念の為にもう一度伝えておく」


僕はそう言ってソファーに座る。


「例の件、どうやらあの国の一部の貴族か王族が内部戦争を起こしている。俺とあいつ等がその対応で暫く留守にする。その為に俺やあいつらが運用している権限を暫くはお前等に預ける」

「判りました。後の事は我々に任せて下さい」


僕は頷き


「頼んだぞ」

「「「了解!」」」


三人は息を揃える。


数時間後―――――


「さて、お前等。準備は良いな?」

「勿論だよ。さっさと行こうぜ」

「あぁ、随分と待たせてるしな」


ギルドのギルドマスターの執務室に四人揃い、早速、特別依頼を請け負う事になった。


「先程、会議を終わらせて国のお偉いさんから正式に許可が下りた。件の国の戦争終結を任せるとの事だ。お前等ならいとも容易く熟すと信じて・・・任せたい」

「了解しました。早速行動に移させて頂きます」

「報酬は国にお願いしてくださいね、ギルマス☆」


早速、動き始めた。


「あそこは確か新しく導入された魔導機関車ってのがあったな?」

「あぁ、そう聞いている」


昔は馬車が主流だった。

でも今は動物に無理を強いる事は出来ない時代。


故に馬車に代わって新たに乗り物が何度も開発し続けた。

そんな歴史が現在の魔導車両とされている―――魔導機関車である。


「切符買うぞ~」

「ほい、ほい」

「有難う御座います」

「ありがと☆」


魔導機関車に乗った後、弁当を買って席に座る。


「―――で、今はどんな状況になってるか判るか?」

「ん~・・・判んねぇな。あっ、駅員さーん」


声を掛けられた駅員は立ち止まり、戻って来た。


「お呼びでしょうか?」

「あの遠方の国について聞きたいんだけど、今どんな状態なのか判る?」


早く動く魔導機関車によってあと数分程度着く予定となった。

それまでに聞きたい事をその場で聞く事にした。


「あの御国ですか、今は確か・・・国民の殆どが一部の王族に守られている状況です」

「一部の王族・・・もしかして」


もう少し深く聞いてみた。


「国民の為に動いているお方ですか?あぁ~、それでしたらナイトメア様ですね。かたやもう一人はギルス皇子ですね。ギルス皇子は国民へ重税を課すお方でして。ナイトメア様が負けてしまった場合は深刻な状態になるかと」

「マジか~・・・」


さっさと助けに行かねば。

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