第26話「真相、国の未来を脅かす存在①」
とある資料を取り出して見せる。
「その国は――――」
「出自不明だった僕の――――故郷らしき国だそうで」
僕はゼクターの後にそう言う。
「えっ、お前孤児じゃなかったのか?」
「あ~、なんて言えばいいか・・・」
僕は頭を掻き、自分の胸ポケットから紙を取り出す。
「実は一昨日前、この手紙をクランハウス宛に来ましてね」
「どれどれ・・・セントティクス大国!?」
セントティクス大国――――古くから最初に作られた最古参の大国。
実は――――
「僕の持つ
「!?」
何故その国の名前が出たのかと言うと――――
「詳しく調べた所―――この国はまだ戦争中ですね。スタヴ様がまだ生まれて間もない頃から起きていたかと」
「そうなのか」
オヤツの休憩後に国の歴史に詳しい人を連れて来て貰った。
「相棒がこの国に孤児として孤児院に居た理由は?」
「当時のシスターに聞かねばなりませんが・・・如何せん既に故人ですし」
そう、僕は彼らと共に長年の歳月を得て今を生きている。
僕が世話になった孤児院の医院長であるシスターは年を召していた。
「・・・いや、チャンスはある。あの人のひ孫に会おう」
「だな」
魔物達の暴走も集結して暫くは落ち着ける。
「さてと・・・折角ですし、ギルマスを呼んでくれないか?」
「わかりました。私は仕事に戻りますね」
あの国の歴史に詳しい歴史家でさえも分からない。
となると・・・現地に行くしかない。
「確か、お前が孤児院から卒業した後にギルドに入ったんだったな?」
「あぁ、鑑定検査の時に【星帝】だってのを聞いて確認させて貰ったんだ」
ゼクター達三人に出会ったのはギルドで暫く経った後だった。
「待たせてスマン!早速行こうか!」
「行きましょうか」
ギルドマスターのギリアムさんと四人で孤児院に足を運ぶ。
「・・・・相変わらずの古風な建築だな~」
「ここが拾われた場所か」
僕を拾ってくれた孤児院の医院長は日記をつけるのが趣味な人だった。
だから保存魔法が永久に続けている筈だと思い、来てみたのだ。
「あの人の家系が代々永久的期間な保存魔法の使い手でな。もしかしたらひ孫にまでその魔法が扱えるかもしれんな」
「だったら文筆もまんまって事か」
僕が前に出てドアをノックする。
・・・が、反応がなかった。
「・・・誰も居ないのか?」
「おかしいな・・・もっかい」
僕はそう言ってまたノックする。
すると――――
「おや、ギルドの人かい?」
「どうも、実はこちらに用事がありましてね」
孤児院を運営していた人のひ孫に会いに来ていた事を偶然通りかかった平民に話した。
「あ~、だったら留守だな。今はこの孤児院の真反対の道なりの真っ直ぐにある一軒家に一人で暮らしてると思うぞ」
「教えて頂き、ありがとうございます」
お礼を言った後に教えて貰った所へ行く。
数分後、見えた先に――――聞いた通りの一軒家があった。
「ここか」
「みたい・・・ですね」
僕は再び全員揃ってからもう一度、その一軒家の扉にノックする。
???
『は~い。少々お待ちを』
「おっ、居たみたいだな」
玄関の扉が開き――――
「どうも」
「ど、どうも?」
女性が一人出迎えてくれた。
話をする為に中に入れて貰った。
「あ~、あの孤児院ですか。今は知り合いが務めている教会に渡してますね」
「そうなんですか」
どうやら孤児院の医院長のひ孫さんが売ってしまったそうだ。
「夫は母方にしつこい位に甘やかされて育てられて来たので、今でも生真面目に働く立派な方なんです」
「成程・・・因みに――――」
孤児院を辞めてしまった理由を聞いてみた。
「あ~、当時は酒癖の悪い雇われ神父も居た事から、夫は直ぐに売却する決意をしたんです」
「そうなんですね」
因みに孤児院の医院長のひ孫だった旦那さんは今は宣教師に切り替えて己の神に応えるべく云々な話をしながら各地を歩いて説いている。
「成程な」
「それならこっちに戻ってくるはずだな」
暫く経って――――目的の人物が帰って来た。
アンネ
「お帰りなさい。グエンにお客様よ」
グエン
「私にかい?」
双方共に挨拶を交わし、事情を説明する。
「あぁ~・・・そうなんですか、曽祖父母の」
「えぇ、良ければ口伝でも良いので。教えてくれますか?」
グエンと言うその男性は「お話します」と言い、彼自身の書斎に足を運んだ。
彼は机の引き出しから一冊の本?を手に持って戻って来た。
「これが母が病気で亡くなる前に私に渡してきたノートです。本人曰くこれは母方の曽祖父母の代から永久保存魔法によって新品同様に長年保ってきたモノです。中身は皆さんがお聞きしたい事が書かれているかと」
「ご拝見を」
グエンさんの奥さんであるアンネさんが暖かいお茶を人数分用意している間に確認した。
そこに書いてあるのは――――衝撃的だった。
「・・・本当に俺の出自について書いてある」
「マジか?!」
そのノートにはとある事が書かれていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
この書物は見て頂きたい我が子の為に書き記す。
・・・・
私はエンブルス孤児院を親しい仲間と共に副業を兼業し経営しながら身を粉にして働いて来た。
勿論、世の中には副業を持つ人間に対して毛嫌いする人だっている。
ただ、そんな人たちにも理解して貰いたい。
そんな私に―――――一人の女性が・・・・私と同い年か上か。
そんな女性に出会った。
・・・・赤子を抱きながら、血だらけのままで――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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