第16話「来訪!滅びし亡国のグリムゾル」

調査の日の一日目。

目的地に着いた僕は他メンバー三人と共に調査を始める。


「ふむ、軍人がそこらに居るな」

「彼らは翠帽子か・・・下級兵だな。しかもそこまで強くない連中」


ゼクターが言うには貴族には専属の暗殺部隊、平民は軍人と言うのが当たり前らしい。

平民による軍人は軍帽と言われている帽子に取り付けてある紐の色によって階級が異なるそうだ。


「・・・おかしい」

「ん?どうした?」


宿屋らしき建物に四人で入り、部屋を一室借りる。

その中で四人で休憩に入った。


「スーミラ」

「おっけぃ!」


スーミラが無詠唱で遮断の魔法を全体に掛けた。


「で、話して良いか?」

「あぁ、頼む。何か気付いたのか?」


僕がそう聞くと、彼は頷いて話し始めた。


「本来、軍人と暗殺部隊ってのはどちらかと言えばバランスの取れた人数で構成されているんだ」

「集団行動ってやつ?」


ただ今回は軍人が一組6人、暗殺部隊が9人とバランスの悪い部隊になっていると気付いたそうだ。


「基本的に5対5の割合での行動が本来、この国でのルールなんだよ」

「・・・もしや、王族に変化が?」


ナルがそう指摘する。


「確かに。この国では常に死角だらけだから俺と弟は常に死と隣り合わせの生活を送ってたんだ」

「そ~なのか」


王族にも従わない相手には刺客を送り、送られ命を狙われる生活が当たり前のこの国はやはり外からくる旅人にはお勧め出来ない国だな


「今夜はここでメシ食うか」

「私が用意しているので人数分の食器をお願いします」

「ここぞとばかりに収納の魔法って便利だなマジで。流石異空間」

「じゃ、私は物理と魔法関連の魔法と建物の補強の魔法使うね」


それぞれが準備に取り掛かる。


「煙たいのを避けたいから窓開けるぞ」

「それで・・・リーダー、ゼクター、どうですか?」


僕とゼクターは窓と扉の周囲を確認する。


「気配はないな。そっちはどうだ?」

「怪しいのが二人。多分どっかに襲撃して金目の物を盗るかもな」

「スーミラ」

「まっかせてぇ~☆」


因みに、スーミラの扱う状態異常の魔法やステータスを変化させるような魔法の類が一番得意としている。


「――――おっけ!これで外をうろついている軍人と暗殺部隊の人らのみにデバフかかったよ~」

「ご苦労さ~ん。そんじゃ、メシ済ませるか」


食事をした後にメンバーそれぞれすぐに眠りに着いた。


一方で―――――


とある国の国王

「何?ワシの用意した手練れが全員全滅だと?」


調査隊隊員

「他にも同様に雇っている貴族達の暗殺部隊や刺客の殆どが地面に伏せているとの情報が」


調査員の話を聞いた亡国グリムゾルの王は頭を抱え込んだ。


「・・・嘘じゃろ?我が国が誇る最強の連中じゃぞ?!」

「実際に調べたことで・・・朝や昼は問題なく活動していました」


そしてその隊員はとある報告書を出す。


「それと、こちらをご拝見下さい」

「む?入国者か?」


手渡された国王は名前を確認する。


「なんじゃ、ただの冒険者じゃろ。いつも通り身包み剥がして殺せば良い―――」

「相手がの冒険者であればの話ですね。ですが――――」


隊員は一呼吸置き、しゃべり始めた。


「彼らは大陸の半数のダンジョンを難なく攻略する程の手練れとの噂も」

「何ぃ・・・?」


国王は少し考え


「であれば、こ奴らへの監視を強化せよ!何か動きがあれば殺しても構わん」

「畏まりました」


報告を終えた隊員がその場を離れた。


国王はねやに行き、扉を閉める。


「――――」

「クックックック・・・ワシの大事な玩具を取られる訳にはイカンからなぁ~」


場所は戻り――――――――――


「さてと、とりあえず幾つか依頼を見繕って調査も同時進行で動くか」

「だな」


僕らは直ぐに朝食を済ませてメンバー全員でギルドに足を運ぶ。


「―――って事で幾つか依頼を貰いたい」

「畏まりました」


ギルドは国の管理下。

多分、僕や仲間の情報は常に伝わってる筈


「さて、行くか」

「俺らに最適なクエストばっかでどれも良いよな!」

「なんならたったの数分程度で終わるよね?」

「ですね。我々は強いので」


国を出て近くのダンジョンに足を運ぶ。

さて――――


「職員に扮してるみたいだな。着いて来てるか?」

「えぇ、気配がまる分かりです」


多分昨日の夜に何かしら動きはあったな


「・・・・・」


監視をしているギルドの職員は遠くから見ていた。


「(そろそろ入る頃合いですね)」


職員は門番をしている人達に耳打ちする。


「・・・」コクリ


ギルドの職員はそのままダンジョン内に入っていった。

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