第14話「復活せし不死の者」

数日後―――――とある神殿にて。


教皇ロイヤレス

「全く、のんびりしたいってのにオレを呼び出すとはな」


「いーじゃんいーじゃん、じー様の本気見て見たいもん」


齢1万歳程の年寄イケメンのダークエルフ、教皇ロイヤレス。

蘇生魔法を含む多岐の禁忌指定の魔法を昔に一通りやらかした神殿の王様である。


「ったく、容姿のお前がここまで夢中になるアイツの身にもなれっての」

「大丈夫!多少の説教程度で許してくれる!・・・筈!」


なんとも心許ない発言である


「そんなんだから星帝の坊主に飽きられるんだっての・・・全く」

「えへへへへ~」


依頼によって手に入った蘇生魔法の為の儀式に用いられる素材が魔法陣の円陣の中に置かれていた。


「さっさと始めんぞアホ娘」

「よっしゃ~!やったるぞ~!」


二人の聖職者が魔力を注ぎ込み、魔法陣は発動する。


そしてその発動された魔法陣に向かって二人は詠唱を唱え始めた。


「――――――」

「―――――」


すると―――――魔法陣は青色の輝きから黄金のような輝きに変化した。


「・・・おいおいおい、今までこんなに煌めく蘇生魔法初めてだぞ?!」

「・・・これ、私も初見かもしれない」


本来の蘇生魔法は禁忌指定ながら赤色から金色に変化する事はあり得ないのである。そういった事が出来てしまうのは特殊で――――本来の蘇生魔法より正しく認識された証となっている。


ただ、今までにこの事実を知るものは誰一人もいないのである。


「―――――」


魔法陣に置いてあった様々な素材はやがて人の形をして――――見覚えのある男に変貌した。


「・・・全く、間違えずに正しく成功するとは思わなんだ。取り敢えず衣類を取ってこい。目が覚めた時に俺が説明しておく」

「はーい」


時間が経ち――――


「それで俺が復活と・・・」

「あぁ、悪いな。オレのアホ娘の我儘で復活させちまって」


彼らが優雅に茶会を嗜んでいる間――――


「おーい!服持って来たぞ~!」

「おう、助かるよ。この着てる服は俺は好きじゃないからな」


患者服を脱いだ彼は持って来て貰っていた服に着替えた。


「―――って女性物じゃねーか!」

「えー、昔からゼクターは女性モノを着て女性陣から人気を集めてたよ?」

「あ~、ノリにノッてそんな事もしたな」


そして更に彼は上着を羽織り、準備が整った。


「んじゃ、アイツの所に行きたい。一緒に行こうぜ」

「うんっ!」


――――そして、数時間後。


「――――で、漸く復活したと・・・、因みにその魔法陣の変化ってのは教皇以外に知ってるのは居たのか?」

「んにゃ、折角だからって事でロイヤレス母さんがそのルーツを探しに行ったんだ」


成程ね~


「全てを知っている訳じゃないからまたイチから調べ直しって訳か」

「んだね~」


そして、大量に用意されていたサンドイッチを完食したゼクターは皮長椅子に凭れ掛かった。


「で、体の調子はどう?」

「あぁ、すぐに慣れたよ。元の種族のままだし」


そして、ゼクターの心臓部周囲には花の根が張り巡らしていた。


「血管?」

「の代わりだな。元の体は普通だけど」


相棒は大地の不死者ガイアイモータルと言う種族になったそうだ。


「後は感覚を戻す為にまた四人で行くか?」

「そいやぁ~お前、まだ現役なんだな?」


二人で笑い合いながら珈琲を嗜む。


「―――と、そうだ。お前の気に入ってた弟子なんだが――――」

「アイツ?」


ゼクターの死後にあった出来事を話す。


「――――成程な、アイツがそれで・・・」

「あんまり理解し難いが・・・、現実なんだよなぁ~」


溜息を吐くと―――ナルがスーミラを連れて来た。


「アタシもそれ初めて聞いたんだけどさ~、アイツ何でそんな事をしでかしたの?」

「ゼクターの信者であるが故に禁忌を犯したのよ。リーダーがそれで激怒してね」


メガネポジを直してナルはそう言う。


「禁忌の魔法――――【永遠なる魂エターナル・ソウル】、ゼクターの肉体を乗っ取ろうとした魔法らしい」

「マジか・・・」


その事もあって僕は当時の彼女を追放した。

死体を漁って再利用してまでそんな事をするとは思わなかった。

だからキレた。


「僕にとってのゼクターは信頼のある仲間であり、親友で相棒であり、そして僕の命の恩人だからね」

「なんか、そう言われると恥ずかしいな」


因みに追い出されたソイツはギルドでも冒険者としての資格を剥奪されている。

国が許可出来ないモンをやらかした罰だからである。


「国を追放されたのか?」

「あぁ、国の怒りを彼女は買ったからね」


しかしまぁ~・・・


「初めてコンビ組んだ時もそうだけど・・・似合うね?」

「マジ?」


ゼクターの隣に座っているスーミラが「エッヘン!」と態度で威張っていた。


「アタシのお古なんだ!」

「えっ、意外な格好だな?」


僕のその一言でスーミラが涙目で撃沈した。


「確かに、この様な美しさを魅せる服装・・・可愛さとカッコ良さを兼ね備えているスーミラには無理ですね」

「ゴフッ」


あっ、一撃必殺の言葉がクリーンヒットした


「でもまぁ~、俺が着る物はどれもいいチョイスだよ。スーミラ」

「そうかな?エヘヘ・・・」


ゼクターの言葉にスーミラは復活してデレデレになる。


「ホント・・・この二人は相思相愛だよねぇ~」

「ですね~」


ナルはいつも通り涼しげな表情で珈琲を一口程、飲んでいた。

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