第9話「星帝神話~星を統べる者~」

映像が別の場面に切り替わった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「こうして・・・っ、お前とぶつかり合うのは何年ぶりだろうなっ?」

「オレガ・・・本当ニ死ンデカラ・・・ソレ位ダナ」


二人の力がぶつかり合い、少しずつ地形も変化していった。


「リーダー!!!準備は出来ましたよッ!!!」


ナヴァンスのその言葉を聞いたスタヴはゼクターに聞く。


「そろそろ終わらせよう。お前を死者の待つ場所かえしに」

「アァ、待ッテ居タゾ。・・・頼ム」


ナヴァンスが構えて魔法を発動したタイミングで―――スタヴはその場を離れる。


「行けッ!ナヴァッ!」

「分かりましたッ!!!」


ナヴァンス・ドルムの浄化魔法がゼクターに一撃を見舞う。


「生マレ変ワッタラ・・・マタ、お前と―――――」


ゼクターはそう言い残して天へ還った。


「あぁ、俺も・・・またお前と旅をしたいよ。ゼクター」


こうして、彼らの拳が交わる域の戦いは終わった――――。

を除いて。


「――――さて、後はお前だけだ」

「っ?!」


逃げようとしていた男の前に立ち塞がり――――手を天へ掲げる。


「まっ、待て!私は抑々下っ端で――――」

「例えどんな理由であれ――――死者の名誉を傷付け、冒涜した者に・・・慈悲は無い」


強大な魔力が一点に集約し、巨大な魔法陣が現れる


「まっ、待てまだ私は死にたくな――――」

「星々の―――裁きを受けよ。【星帝神話】」


辺り一帯が夜空の薄暗い明りを照らし、一転に光が強く集まって――――そこに神の手が突如、出現した。


「あぁぁぁあぁぁぁあぁああああああぁぁッ―――――!!!!」


男はその魔法で出て来た神の手により――――消滅した。

やがて、いつもの明るい空に変わり――――戦いは終結した。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


映像はここで終わった。


「父上、あの魔法は――――」

「【星帝神話】・・・星帝神の体の一部を呼び出して相手を裁く為の魔法でな。しばらくは彼の先々では地形が変化するだろうな」

「それじゃあ、先程、報告に上がっていたあの報告は・・・」


王女に対して国王は何も言わずに頷く。


「彼自身が怒りに満ちた時を条件としていてな。だから今まではその力をセーブしていたのだよ」

「とすれば・・・今のあのお方は」


国王はその室内のカーテンをすべて開き―――


「そう、国一つ・・・いや、この世界全てを滅ぼす程の力を有している。故に彼の事を知る国は知らぬ国に特徴と事細かな詳細を直ぐに渡して認知させている」

「こうして・・・私達が生かされているのも――――」


そう、彼の気紛れであり、彼の気分だったり――――様々だ。


「次に開く王族会議、次は私に出席をさせて下さい。父上」

「あぁ、覚悟を決めたのならお前に任せる」


一方で―――――


「さてと~、依頼達成したし。何か買って帰ろうか」

「ですね」


二人が話をしながら帰ろうとすると――――


スーミラ・エデルフェルト

「リーダー!帰ってきましたッ!」


「――――!」


彼らの背後に居たのは――――嘗ての伝説のパーティーメンバーの一人だった。


「スーミラ?!おまっ、今まで何処に居たんだよ?!」

「神の御声に導かれるがままに彼の蘇生方法を探していました!」


その話を聞いた二人は唖然としていた。


死者を蘇らせる事自体、禁忌にされている。

だがしかし目の前の仲間の一人は聖女。


ナヴァンスの師範で魔族である。


「~~~!お前なぁ~・・・」

「私は魔族!魔族の聖職者は禁忌の魔法使用を認められています!そして私は漸くその試練を乗り越えました!」


その話を聞いた二人は更に驚いた。


「いや、確かに聖職者でも魔族であれば国問わずで許可が下りるけどよ~」

「胃薬案件ですね、これは」


彼女はスーミラ・エデルフェルト。

魔族の中で唯一の聖職者である。

そして――――スタヴ・セントら同様に伝説のパーティーのメンバーだった人物でもある。


そんな彼女はスタヴ・セントの親友のゼクター・ハイマンを復活させようと試行錯誤していたそうだ。


「―――で、アイツの復活の為に分かった事ってのは?」

「リーダーの不死の血が必要です。元は彼は不死者イモータル不死王アンデットキング。同種の血液を流し込んで祭壇で魔法を発動し賢者の石をベースに様々な素材を祭壇においておけば復活します!」


彼女はそう言い除けた。


「・・・確か、その際に大事なモンが失うってのを聞いたんだが?」

「錬金術ですね。ナルさんなら一人は知っているんじゃないですか?」


そう、死者の復活の際に魔導師の魔法と錬金術師の錬金術がなければそう簡単に復活はしないのである。


「・・・とりあえず貴方はスタヴ様と一緒に国に申請しに行ってください」

「了解!」


そう元気に彼女は言う。


「はぁ~・・・今日が僕の命日じゃなければ良いんだけど」

「大袈裟ではありますが・・・多分大丈夫ですよ」


だがしかし、国は思っていたより別の方向に彼が予想とはしない事となった。

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