第10話「追憶~親友の死の事件①~」

ゼクター事件のあった日――――彼らはいつものように任務を受けていた。

他のクランメンバーと共にとある組織の壊滅を死に向かっていったのだった。


「ゼクター、武器の手入れは大丈夫か?」

「あぁ、十分に砥石で磨いておいたさ」

「スーミラ、ポーションの買い足しは大丈夫ですか?」

「大丈夫です♪」


彼等は正しい判断も出来て冷静に対処する凄腕であるのは間違いなかった。


「今回のターゲットは・・・」

「【赤葦】って組織らしいな。殆どが転生者で構成されてるらしいけど・・・」

「チート能力を貰えなかったからって暴走して全ての国で指名手配されたらしいね~」

「普通に迷惑ですねソレ」


構成員38名、幹部7名、代表者5名の組織形成である【赤葦】はその代表者5名が転生者で神々に見捨てられて結局闇落ちをしたと言う事であった。


「で、その神様とやらはお前に何か言ってこなかったか?」

「生活魔法やその関係でもあるスキルを違う意味で捉え、結局勘違いしている彼らの目を覚まさせてくれって」


唯一、神々と直接交信出来るスーミラはその願いを承諾し、こうして国からの依頼を彼らは受けたのである。


「さてと、それじゃ~【流星】パーティー・・・ミッションスタート!」

「よっしゃ!暴れるぜ~!」

「女性相手は私とスーミラが引き受けます」

「ちゃちゃっと、やっちゃお~!」


幹部以下のメンバーは続々と彼らの手によって次々と倒されていく。


「クソッ、何なんだあの四人!!」

「逃げろ!逃げろ!俺らじゃ敵いっこない!!」


余にも常軌を逸した強さを持つ彼らに勝てる者は一人も居なかった。


「【音速連射シューティング・ソニック】ッ!!」

「【星々の煌き《スタァ・ライトレイ》】!」


男二人のコンビネーションは息がピッタリと認めてしまう程に鮮やかである。


「この剣捌きなら・・・どうだァ~!!!」

「早速、幹部の5人と遭遇したぞ」

「ひょ~、流石ァ~」


彼らは余裕のある表情で次々と華麗に避ける。


「クソッ?!」

「ゼクター、ここは俺が」

「よし、任せるぜ」


スタヴは幹部5人全員を瞬殺した。


「そんな・・・ば、かなっ・・・・!」

「さて、これで後は――――」


スタヴは気配に気付く。


「ゼクター!前方にいるッ!避けろ!」

「マジかッ?!」


二人が左右に分かれると、その瞬間に空間が削られるようにその場の柱が瞬時に消えた。


シュン・ハヤシ

「へぇ~、僕のスキルを避けるやつは初めて見たよ」


「アンタで一人目か」


シュン・ハヤシ、所持スキルは【音切ブレード】。

この世界に召喚されて以降は人為的被害を出し、すべての国で指名手配された別世界から来た転生者である。


「ったく、中々エグいもん所持してんじゃねぇか」

「武器無しでも扱えるだろうから気ィ付けるぞ!」


彼らの前にいたシュン・ハヤシは構えの姿になる。


「他の仲間はボクに逆らったから殺したけど・・・キミらはどこまでイケるかなァ~?」

「・・・!」


ゼクター・ハイマンは何かに気付き、咄嗟に動く。


「スタヴ!避けろ―――――!」

「んなっ――――」


その瞬間、二人は―――シュン・ハヤシによって体の半分を失った。


「―――っ!?」

「へぇ~、ボクの攻撃を受けても平気なんだぁ~?」


スタヴ・セントはゼクターの元へ這いずりながら近づく。


「ゼ、クター・・・ゼクター、!!」

「――――」


彼、ゼクター・ハイマンは――――息をして居なかった。


「そん、な・・・ゼクターっ!!!」

「いい気分だァ~!!!!ア~ッハッハッハッハァ~!!!!」


その光景を見て笑い転げるシュン・ハヤシは次を構える。


「嘘だろ・・・ゼクター、ゼクタァァァァァァァァァァッ!!!」


スタヴはその場で声にならない程の深い嘆きの叫びをする。


「とぉ~り~あぁ~えずぅ~死ねよォ!!!」


シュン・ハヤシはそう言ってスキルを発動する―――――


「【――――――】」


深い絶望を体験したスタヴは瞬時に――――スキルを発動する。


「・・・あ?」


シュンは何かに気付く。


「嘘だろ?なんで――――なんで何もんだ!?」


そう――――その男のスキルは―――不発に終わった。

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