第10話 冬を忘れられない
ベッドでにゃんにゃんする時期もすぐ過ぎ、わたしたちは結婚式を挙げた。
未咲「結婚、しちゃったね」
進「そうだね」
微笑みながら、わたしたちは口づけを交わした。
未咲「おトイレ行きたくなってきた……あとでいけるかな……」
その後パーティが組まれていて、しばらく行けそうになかった。
未咲「んっ……くぅっ……」
まだ冬が終わったわけじゃない。終わり始めたばかりだった。
未咲「だめだめだめっ……急にいっぱいしたくなってきちゃった……」
急激な尿意の高まりに動揺を隠せないわたし。我慢できるかな……。
♦
未咲「やっぱりだめ……いますぐおしっこしたい……っ」
そうはいっても写真撮影とかいろいろあって行くタイミングがつかめない。
ふと極寒の海にいるわたしのイメージが浮かんだ。そこにはかつてよく夢に見ていた妖精のきいがいた。
きい「あら? あなたは……」
見たところ少し年をとってるようだった。あの頃から時間が経ってるからそれはそうか。
きい「あのときの……女の子だよね?」
どうやら覚えてくれてたみたい。なんでいま、わたしの想像の中に……。
きい「ここは大きな海。ほら、感じて……」
うん、それができる余裕があるときだったらいいけど、いまはやめてほしい……。
きい「人生に疲れたとき、いつでも思い出して。またね……」
そう言って消えようとする。姿が見えなくなったとき、わたしの下半身に変化が。
しゅぅぅぅっ。あろうことかおもらしを始めてしまう。だけどこれが気持ちいい。
未咲「あっ、あっ……」
人生のイベントごとでこんなに恥ずかしい失敗もないのに、それすらもどうでもよくなるほど快感を覚えてしまっている。白いウェディングドレスが黄色く染まる。
未咲「おしっこ、出ちゃってる……みんなの前で……」
ステージにふたつあるうちのひとつの椅子に座りながら水たまりをつくってる。進くんはまだ気づいてないけど、騒ぎになるのも時間の問題。どうしよう……。
未咲「やっ、まだ出る……んんっ!」
どんどん音も大きくなって、ついに隣の進くんに聞かれてしまった。
進「もしかして未咲ちゃん、いまおしっこしてるんじゃ……」
未咲「えっと、これはその……」
進「いったんここから離れよう。掃除用具さがしてくるから」
未咲「うん……ありがと」
気持ちよかったことを悟られないようにしつつ、会場の外に出た。
未咲(どうしよう……この先見られるのがくせになっちゃったら……)
いろいろ複雑に思える結婚式になった。良くも悪くもわたしっぽいかな。
♦
未咲「はぁーっ、いろいろ食べちゃって幸せ……これ太らないかな……」
進「未咲ちゃんだったらすぐ痩せられるんじゃないかな」
未咲「そんなことないよ、この前もどか食いしちゃってちょっと増えたし……」
進「なんにしてもこの気候だとむしろそれでいい気もするけどね」
未咲「……この先季節ぐっと増えるらしいよ?」
進「なんかそんな話聞いたことあるような……じゃ、頑張って痩せないと」
未咲「そうだね、進くん応援しててね……あっそうだ、進くんわたしのおしっこ見る? さっきから冷えちゃってまたしたくなってきたんだ……」
進「えっ、見てほしいの……?」
未咲「うんっ、なんだかひとりでするの不安になってきちゃって……」
進「わかった、男女共用のところ探してあとで行こうよ」
けっきょくあれから替えの衣装に着替えてパーティは続行できた。だけどこの後、わたしたちには予想もつかないことが起きた。おしっこの穴がばかになってしまったみたいで、トイレにたどり着く前に再びおもらしするという事態が発生した。
未咲「進くんみてっ、わたしのおもらしじっくり見ていいからっ……」
進「意味が変わってる気がするけど大丈夫かな……今夜僕がどうなってもいい?」
未咲「それは考えさせて……とりあえずいまはいっぱい見て……」
新しいパートナーの痴態をしっかり目に焼き付けた。もちろんこの日は……。
未咲「あんっ、あぁんっ……」
あったかくなってしまった。こういう日もあるけど、円満に過ごしたいと思う。
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