第4話 凸凹なんだけど……(あたしらの同居生活)

 うみ「お前相変わらずちっちゃいな~、ある意味うらやましい」

 瑞穂「『ある意味』ってなんですか、ちゃんと憧れてください」

 うみ「ごめん、正直どっちでもいい」

 瑞穂「はぁっ?! どうせ適当に言ってみただけですよね?!」

 うみ「うん、まぁそうだな」

 瑞穂「はぁ……ところでうみさん、自転車でこれからどこに行くんですか?」

 うみ「買い物だよ。ついてくるか?」

 瑞穂「はい、こけないか心配なのでそうします」

 うみ「おいおい、あたしそこまでドジじゃないだろ?」

 瑞穂「わからないじゃないですか。この前こけそうでしたし」


 そういえばそんなことあったような……よく憶えてるな。


 うみ「今度は大丈夫だ! 行くぞ!」

 瑞穂「ちょっ、待ってください! わたしまだ着替えてないです!」

 うみ「40秒で支度しろ!」

 瑞穂「そんなに早くできないです~!」


 自転車で買い物に行こうとしたとき、わたしはあることに引っかかりました。


 瑞穂「うみさんって片足で地面を蹴りながら自転車に乗るんですね」

 うみ「おう、それがどうかした?」

 瑞穂「わたし、そうやって乗れないんです」

 うみ「そうか、あたしらの違いだなっ」

 瑞穂「勝ち誇った表情が妙にムカつきます……はぁ……」


 なんでこれで一緒に過ごしてるのかわかりません……提案にのったせいですけど。


 瑞穂「うみさんはなんでわたしを受け入れたんですか?」

 うみ「さみしかったって言っただろ、それだけだよ」

 瑞穂「なんだか腑に落ちません……わたしをどうしようと?」

 うみ「別に、なんもしないよ」

 瑞穂「あやしいです……」


 スーパーに到着。瑞穂が欲しいものを聞いてから買い物をした。


 うみ「お菓子多いな……けっこうするんじゃないか……」

 瑞穂「これくらいないと一日持ちません。よろしくお願いします」

 うみ「お前もちょっとくらい出せって。これじゃあたしばっかり苦しいだろ!」

 瑞穂「わかりました、出しますよ……」


 こちらも腑に落ちないといった感じで、しぶしぶ財布から現金を出した。


 うみ「あんがと、んじゃチャージしてくるわ」

 瑞穂「出さないつもりでいましたが仕方ありませんね……今回はいいでしょう」


 なかなかヒモ根性すわってるというか……あたしが試してみた結果だけど。


 うみ(しばらくしたら同居キャンセルするか……持ちそうにないぞ……)


 けっきょく半年もしないうちにあたしたちは別々になった(言い方が……)。


 瑞穂「なかなかいい思いができました。これからはまた自分でですね」

 うみ「ま、ちょっと楽しかったからいっか……」


 頼られるって悪くない、そんな気がしたから。

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