ガチャ644回目:彼女達に紹介
とりあえず、これで全員かな?
「エス、ここに来てる知り合いは以上で良いのか?」
「ああ」
「つーかエス、お前の知り合いって女子しかいないわけ?」
「兄さん、それは違うよ! ちゃんと男の友人だっているさ」
「ふーん……? あ、それ俺とあのガキンチョは除いてだよな?」
「……ああ、いるとも」
「怪しいな……。シルヴィにチクるか」
「に、兄さん!」
「はは、冗談だって。お前はシルヴィしか眼中にない事くらいわかってるからさ」
「でも、男友達がいるのは本当だからね?」
「わかったわかった」
そういうことにしておこう。
「さて、せっかくだしうちの彼女達にも紹介するか」
「お願いしますわ、勇者様」
「うん。マリーは良いとして、他の3人は……」
「あ、ショウタ君。それはもう終わってるよー」
アキの方を向けば、彼女達の輪の中に先ほどの3人が混ざっているのが見えた。
どうやら、俺が話し終えた子から順番に彼女達も顔合わせをしていたらしい。さすがうちの彼女達だ。手際が良い。
「アマチ様の婚約者達は、気の良い方達ばかりですね。わたくしの身体に触れても気味悪がったりしませんし、なによりとても心が温かくなりました」
「そうだねぇ。あたしもこんなに大勢の同性から、普通の女性として扱われるのは久しぶりだよ。ああ、でも決して悪い意味じゃないよ。ただ、どうしてもSランクの冒険者として距離を置かれるって言うか。国内のSランクもお互いわだかまりがあるし、こういう関係にちょっと憧れてたんだ」
「使徒様……ああいえ、アマチ様が見初められた女性達ですし、彼女達もまたアマチ様に導かれた存在なのでしょう。であればこそ、彼女達はアマチ様に相応しい存在であることは間違いありません」
まあ、俺の『運』で引き寄せたような子達だもんな。そういう意味ではテレサの言うことも一理ある。
「じゃあ残るはマリーだね」
「はい、ご挨拶してきます」
「けど聖女ムーブは無しで行こうか。彼女達は俺の大切な存在だ。だからこそ、今後関係を結ぶのなら本音で語り合ってくれた方が良いはずだ」
「勇者様……」
「じゃ、そういうことでこのワインを飲むか?」
「い、いえ。お酒の力に頼らず、頑張ってきます!」
「おー、いってらっしゃい」
そうして4人はうちの彼女達に囲まれて、友誼を結ぶのだった。結局、俺に近付く場合彼女達に認められないと意味が無いんだよなー。俺が迷っても、彼女達が俺に必要と判断するなら、それに従うし。
しばらく様子を見ていたが、特にこれといって問題はなさそうだし、俺としても今後あの4人の誰かを迎え入れる事になったとしても、特に違和感を感じるような子はいなかったかな?
「エス、ちょっと付き合ってくれ」
「ああ、いいとも」
そうして俺は、女性陣の会話に混ざるわけにもいかないので、エスを連れて、国内の冒険者達と雑談をするのだった。
そうしているうちにアイラとイズミが戻ってきて、例の話はつつがなく進行しているとの報告を受けた。これでパーティーに参加した最初の目標は達成できたかな。そうして戻って来た2人もそのまま彼女達に合流をして、4人との交流を深めるのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「ふぅー。今日は色々あったなぁ……」
家へと帰って来た俺は、リビングのソファーで伸びをする。夕食まではもうしばらくあるし、しばらくはここでのんびりするかな……。
「兄さん。良いのかな、僕達も夕食いただいちゃって」
「別にいいだろ。うちの彼女達がそう判断したんだし、12人が14人になったところで大差ないって」
「はは、大家族だもんね」
「何言ってんだ。お前もシルヴィも俺の家族だろ」
「……うん。ありがとう兄さん」
少し気恥ずかしくなったのか、エスは思い出したかのように話を切り替えた。
「それにしても、まさか全員OKが出るなんてね」
その話か。
確かに4人とも、俺が軽く話した限りでは、有りか無しかで言えば有りの部類だった。けど、うちの彼女達は4人に対して、「一次面接は合格」と言い出すとは思わなかったんだよな。思惑はどうであれ、あの4人は悪い意味で染まってないし、裏もなさそうだったから許しが出たんだろうけど。
「つーかあの4人、実はお前がサクヤさんに推薦したんだろ? じゃなきゃピンポイントで、お前と仲の良い4人が揃うとは思えない」
「あはは、やっぱり兄さんにはバレちゃってたか。まあこれに関しては、僕なりのお礼だと思ってくれ。うちのダンジョンをクリアした以上、兄さんには今まで以上に各国からのアプローチがあると思ったからね。だから先手を打って、兄さんと釣り合って、なおかつまともな性格を持ち、かつ兄さんが興味を持ってくれそうな人材を紹介させてもらったんだ」
流石エス。俺の趣向をよくわかってるじゃないか。
「……なるほど。出遅れた国は、せめてあの4人と同等、もしくはそれ以上の女性を用意しなきゃいけなくなったわけだ」
「どの国もメンツがあるからね。あとは勝手にお互いが牽制し合って、しばらくはまともなアクションを起こせなくなると思うよ」
「んで、それすら通り抜けて声かけてくるような肝の座った連中は、基本的にサクヤさんがカットしてくれるわけだ」
そしてその中で一握りはいるであろう『
「まあ、そういうことだね。ただ、彼らのやっている事はほとんど無意味であるというのは悲しい現実だよね。兄さんには
「どんな情報通でも、俺の嗜好までは読み解けないって話さ。サクヤさんは何度か直接会ってるから別だろうけどな。……んで、エスの知る限り、探索重視のSランクってのはいないのか?」
「いないことはないけど、ほんの一握りさ」
それは残念。話が合う奴が欲しかったのに。
あと、その人があの場に呼ばれなかったという事は、そいつ自身特殊な問題児か、はたまたトラブルを抱えているかと言ったところかな。……まあ、今回出会えなかったという事は、縁が無かったという事で、諦めるしかないな。
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