ガチャ631回目:パーティ紹介

「あー、そうだサクタロウさん」


 カスミ達に猛烈アタックをする他の支部長達を眺める、『機械ダンジョン』の支部長こと、サクタロウさんに声をかける。


「なにかね?」

「以前教えてもらったゴーレムコアなんですけど、現状コアⅥを手に入れてしまった関係で、ちょっと優先度落ちちゃいますね」

「むむ、そうか……。残念だが仕方がない」

「ただまあ、機械系のモンスターってのは今まで出会ったことないので、心惹かれているのは確かですけどね」

「ははは、なら巡り合わせ次第か。気長に待つとしよう」


 それに、俺の『運』無しでコアⅣやⅤとかの情報が入ってきてるんだ。それなら、俺が突入すれば、Ⅵとかそれ以上のコアが発見できるかもしれないというのもあって、何だかんだで優先度はそこまで低くない。

 逆に、高レベルとは聞いているけど『四季ダンジョン』に関しては、ネタバレってほどでもないけど『696幻想ダンジョン』の第四層で似たようなのを体験しちゃってるんだよな。あんな感じかと考えると、どうにも食指が動かないというか、そそられないんだよな。

 あと残るは『上級ダンジョン』だけど、ここを最初にクリアしちゃったらもう何もかも物足りなくなりそうだ。現状スタンピードが起きるような心配もないし、今まで通り後回しだな。後ろ髪、めっちゃ引かれるけど。


「では、ありがたく参加させていただきますね☆」


 などと考えていたら、カスミ達へのお誘いラッシュも終わったようだ。どうやら最終的にイズミが音頭を取り、支部長会議に参加する許可も取り付けたらしい。まあ、今後アキやマキとも一緒に住むわけだしな。通信面でのトラブルは起きないだろう。


「イズミ、どうだった?」

「ええ、色々と破格の条件を提示してもらっちゃった。第二エリアと違って、こっちの支部長は太っ腹ね☆」

「そりゃあ良かった」

「けどこれも、お兄様の実績ありきだから、ちゃんと活躍して成果を見せないと。皆、失望されないようしっかり結果を出すわよ!」

「「「「「おー!」」」」」


 うん、気合い十分みたいだな。でもまあ、1ヶ月くらいはカスミ達も休ませるんだけど。


「今後の話だけど、今回の件を機に、多分イズミ達にも第二や第三、第四からもアプローチがくると思う。攻略するかは任せるけど、あんまり難しいところには行かないようにな」

「大丈夫よ、お兄様。受付嬢時代に、国内のダンジョン情報は全てこの頭にインプットしてあるわ!」


 うーん、優秀。

 そう思っているとマキもそわそわし始めた。多分マキも全部覚えてるんだろうな。なのでここは、2人まとめて撫でることにした。


「マキもイズミもすごいなー」

「あ、ショウタさん……」

「にへへー」

「そんじゃ、次は冒険者陣地に挨拶に行くか。ところで、何組か物凄いオーラを持ってるけど、あれってもしかしなくとも……」

「はい、一部はこの国のSランク冒険者さん達です」

「この屋敷に、国内最強が集まってるわねー」

「Sランクが一堂に会するなど初めてのことです。それだけ、ご主人様の存在と影響力は凄まじいと言うことですね」

「流石旦那様ですわ!」


 いつものように彼女達に持ち上げられていると、注意を促すトーンでエスが遮った。


「でも、それだけじゃないよ」

「ん。見たことあるのがちらほらいる」


 エスに賛同するようにミスティも同意する。……てか、パーティー会場に入ってからミスティとイリスの姿が見えないなと思ってたんだが、彼女を見れば何をしていたか一目瞭然だった。

 ミスティは料理の盛り付けられたお皿を大事そうに抱えつつ、空いた手でもぐもぐしていた。背後にいるイリスは、まるで人間のように縦に伸びて、触手を使って器用に複数の皿を持ち上げつつ、料理を1つずつ体内に運んで、ゆっくり味わうように消化していた。

 パーティーを堪能してるなぁ、2人とも。


「イリスがゆっくり食べてるのは、食い尽くさないよう自重してる感じか?」

『プル!』

「そっか。まあ味わって食べな」

『プルプル』


 イリスがプルプルするたびに持ち上げられたお皿がグラグラと揺れる。危なっかしいが、イリスは食べ物を粗末にはしない。落とすことはまずないだろう。


「んで、エスどころかミスティでも見たことある連中ってのは?」

「ん。日本所属ではない。多分ほとんどの連中は、過去の私達と同じ目的だと思うけど」


 ミスティがあえて『私達』と言ったということは、そういうことなのだろう。以前、というか思い出すだけでもだいぶ昔のことのように思えるが、サクヤお義母さんから忠告を受けたことがあったっけ。俺と婚姻関係を結びたい国外のSランクが複数いるって。

 多分あの中にもいるんだろうな。イリーナみたいに移住してこっちで育った人がいるかもしれないが、明らかに日本人じゃない顔付きの男女がちらほらといる。

 誰から話に行くべきかと視線を動かしていると、一際機嫌の悪そうな男が俺を見ていた。知らない顔だし、睨まれる筋合いもないが……。

 そういや、最初から感じる敵意もアイツからだな。てか見た目的に考えて、この中でもめちゃくちゃ若いよな? 多分16とか17とか、その辺じゃないか?

 だけど、オーラ的にSランクはありそうなんだよなー。


「なあエス。あのガキンチョ、知ってる?」

「ああ、知っているとも。兄さんには以前話しただろう? 反りが合わない『』の使い手がいるって」

「え? それってもしかして」

「ああ。彼が『炎』の持ち主さ。彼の性格的にこんな所にいるのはちょっと理解でき……いや、もしかすると魔女に唆されたかな」


 そう言ってエスがくすりと笑う。

 にしても属性持ちで、エスに嫌われる子供、ねぇ。多分俺とも馬が合わないのは確かだな。そしてサクヤお義母さんはそんなこと百も承知で呼んだのは間違いない。

 さて、何を言ってくるかね。

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