ガチャ629回目:公平性とは

 用意された服に袖を通し、廊下で待っていたアイラに確認をする。


「礼服を着るのは二度目だからか、未だに慣れないな」

「今後、最低でももう1度着る機会はございますし早めに慣れてください」

「だよなぁ……。アイラのドレス、似合ってるぞ」

「ありがとうございます。では皆様がお待ちですし、リビングに行きましょうか」


 そうして2人で向かっていると、途中で真っ黒にイメチェンしたエンキが待っていた。


『ゴゴ!』

「おー。やっぱ全身黒に赤マントはカッコ良いな!」

『ゴ~』


 現在のエンキのボディは、黒騎士がドロップした漆黒玉鋼をエスとエンリルの力で粉塵にして、魔鉄と合わせて練り込む事で、攻撃力と防御力が飛躍的に向上していた。エス曰く、素材の段階で『風』で削るときでもちょっと大変だったらしいが、エンキの『砂鉄操作』で直接操作された魔力が通った結果、傷をつけるのが困難になったらしい。

 エスでそれなら、エンキの漆黒のボディは、生半可な攻撃では傷一つつかない動く要塞になっただろう。


 名前:エンキ

 品格:『固有ユニーク

 コア:ゴーレムコアⅥ

 材質:漆黒合金

 魔力:6400

 装備:神威の爪、灼熱のマント

 スキル(12/12):金剛外装Ⅲ、超防壁Ⅲ、物理耐性Ⅷ、自動回復Ⅴ、怪力乱神Ⅲ、難攻不落Ⅲ、神盾術LvMAX、武闘術Lv9、震天動地Ⅴ、砂鉄操作LvMAX、魔力超回復LvMAX、巨人の腕

 武技スキル:覇王爪、破拳、爆砕鉄拳


 名前:灼熱のマント

 品格:≪遺産≫レガシー

 種別:防具

 防具レベル:44

 説明:装着者に燃え盛る灼熱の加護を与える深紅のマント。炎属性の魔法及び自然現象に対して高い軽減率を誇る。装備者の『腕力』『頑丈』『知力』に大幅ボーナス。


 その漆黒ボディーに『プロミネンスラヴァゴーレム』が落とした灼熱のマントを装備させれば、立派な騎士様のようになっていた。あいにく、剣も盾も持ってないけど。黒騎士の漆黒のマントをあげても良かったんだが、コーディネート的にはやっぱ真っ黒よりもこっちの方がカッコイイだろう。

 一式装備+マントはハルにもあげたので、ある意味エンキとはお揃いだった。


『ゴゴ~』


 そんな騎士風の見た目になっても、甘えてくるエンキはカッコ良さよりも可愛さが勝つんだが、まあそこは良いだろう。彼を抱え上げ、俺は再びリビングを目指す。

 そして俺はそこで、この世の華を見たのだった。



◇◇◇◇◇◇◇◇



「ああ、まだ世界が眩いて見える……」


 俺はクラクラする頭に耐えきれず、両手で顔を覆った。彼女達のドレス姿は、1人1人でも十分火力というか輝きで溢れてるのに、それが11人も揃えば眩しさで両目がやられるのも仕方のないことだ。


「もう、ショウタさんったら」

「あはは。まだ言ってるー」

「このメンバーにこんな華やかなドレスが加われば、そうなるのも仕方ないかもね☆」


 俺たちは今、アイラの運転するリムジンに乗って宝条院家のパーティー会場に向けて移動中だ。俺は一番後ろの座席に座り、その右隣をアキとマキ。左隣にイズミが座っていた。

 この並びは公平性を決めるためにあみだくじで決めてみたのだが、やっぱりというか『運』の高いこの3人が俺に近い座席を確保することとなり、他の面々は『運』を比べてもどんぐりの背比べのためか、いい感じにバラけるのだった。

 やっぱり『運』が絡むものでは公平性を決められないという、俺達ならではの結果に皆苦笑することとなった。今後この手のものは、彼女たちの話し合いで決めてもらうこととして、今回は一旦この並びで行くことにした。


「で、でもお兄ちゃんもカッコいいよ!」

「そうですわ。旦那様もカッコいいですわー!」


 カスミとアヤネは以前のじゃんけんでは2位と3位だったが、今回は4位と5位に転落し、ちょっと離れた位置にいる。そして6位以降の子達は、そっちはそっちで盛り上がっていた。


「イリーナ、最高に綺麗だよー!」

「レンカも、とっても可愛らしいですわ」

「この2人も、相変わらずね……」

「兄上との関係が構築されても、元の関係性までは消えませんからね」

「みなさま、到着まであと10分程です。それまでしばしご歓談ください」


 まあ、楽しそうで何よりだ。

 ちなみにリムジンを運転するアイラと、ドレスを着てもなお眠そうにしていたミスティの2人はあみだくじに不参加だった。そんなミスティは今、助手席ですぴすぴと寝息を立てていた。ほんと、よく寝る子ですこと。


「ねえエス、昨日皆に選んでもらったんだけど、どうー? 似合ってる?」

「ああ、とっても綺麗だよシルヴィ」

「んふー」


 運転席のすぐ真後ろでは、エスとシルヴィがイチャついていた。あっちもあっちでさっきから互いを褒めあっている。

 どうやらエスは、俺の提案した通りにシルヴィを空中デートに誘い、しっかりとエスコートできたようだ。それからというもの2人は常にベッタリで、合流してからもバカップルっぷりを見せつけてきている。あの2人の仲がいいのは、関係性を進展させた俺としては嬉しいことではあるんだけど、それに当てられてうちの彼女達から期待の目が送られてきてるんだよな……。

 今回のパーティーが終わったら、じっくり全員とデートをしなきゃだな。んで、各デートで彼女達に求婚しつつ、その間に結婚式の準備を整えて、最後には締めの挙式だ。

 今後の流れとしてはそうする予定ではあるが……。なんだろうな?

 どこか途中でがする。俺の予感はほぼ確定事項というか、未来予知に片足突っ込んでる感じになりつつあるが、何が原因で止まるんだろうか?

 この手の疑問も、サクヤお義母さんなら答えを持っているだろうか?


「なんにせよ、楽しみだな。パーティー」


 何が待ち受けているか知らんが、とりあえず全力で今を楽しむとしよう。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


この作品が面白いと感じたら、ブックマークと★★★評価していただけると励みになります!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る