ガチャ627回目:宝箱の開封

 スキルの確認も終わったし、次は宝箱だな。一応スキル配布は大々的に行うほどの量では無かったが、先程の分も含め自分用に以下のスキルだけ取得した。

 新種と上書きは『剣王LvMAX』1個。『神盾術Lv2』1個。『溶岩人形Ⅴ』1個。『重力操作Lv3』2個。『灼熱の鎧』1個。『憎しみの波動』1個の6種。

 重ね掛けは『鉄壁Ⅳ』8個。『鉄壁Ⅴ』2個。『鉄壁Ⅵ』2個を使って『鉄壁Ⅶ』。『城壁Ⅵ』3個で『城壁Ⅶ』だ。


「それじゃ、俺の宝箱から開けるか」


 そういうと、アイラが俺の前に紫色に輝く『アメジストの宝箱』を持ってきてくれたので、それに手を伸ばす。するといつも通り選択肢が現れた。


【防具一式】

【アイテム】


「うわ……。実に悩ましいな」

「普通に考えればアイテムはハズレっぽいのに、不思議よね」

「ショウタさんですからね」

「防具一式に並び立つレベルのアイテムを引き寄せている可能性があります」

「ですが、ハイレベルなアイテムの場合、『神器』になると思いますわ」

「『神器』? なにそれすごそう」

「ん。グングニルのこと」

「あ、それかー」

「でも色々と共有してもらいたいことが山ほどあるわね」

「それがし達が攻略したのは全体から見れば優しめのダンジョンだったようですし、その辺りの違いは仕方ないかもしれません」

「『幻想ファンタズマ』スキルや武器が出現したダンジョンと、最初期に出現しただけの何の変哲もないダンジョンの違いだもんねー☆」


 そうしてカスミ達が盛り上がる中、俺は悩みに悩み抜いて、防具一式を選択した。中から出てきたのは――。


 『黒銀の兜』

 『黒銀の鎧』

 『黒銀の籠手』

 『黒銀のレギンス』

 『黒銀のグリーブ』


 黒騎士をモチーフとした漆黒を身に纏ったかのようなシックでダークな厨二心を刺激される装備一式だった。


 名前:黒銀の鎧

 品格:≪遺産≫レガシー

 種別:防具

 防具レベル:50

 説明:黒銀シリーズの鎧。純度の高い漆黒玉鋼を使って熟練の鍛治師の手により完成された逸品。強靭な防御力を誇り、他者を護る時に真価を発揮する。シリーズ装備の着用数に応じてボーナス。

 ★2つ:防御力上昇

 ★3つ:攻撃力/防御力上昇

 ★4つ:攻撃力/防御力/敵愾心上昇

 ★5つ:攻撃力/防御力/敵愾心/スタミナ回復量上昇

 特殊効果:一式装備時、炎と闇に対する耐性上昇


「つっっっっよ」


 なんだコレ。天翼シリーズほどではないにしろ、優秀なんてレベルじゃないぞ。


「すごいすごーい!!」

「カッコいいですわー!」

「お兄ちゃん、着てみてよ!」

「うわー、そそられちゃうなぁ」

「ん。絶対似合う」

「んー……。着るのは良いけど、俺としてはこの装備をハルにあげたいんだが、どう?」

「ええっ!?」


 ハルはとんでもなく驚愕したが、他のメンバーは驚きこそしたものの、すぐに納得しているような雰囲気だった。


「ハル、この装備で皆を守ってやってくれ」

「っはい! 必ず守ってみせます!」

「そこにはハルの身の安全も入ってるからな。無茶はするなよ」

「……はいっ!」


 そんなに嬉しかったのか、ハルは涙を流しながら頷いた。ほんと涙もろいんだから。


「まあそれはそれとして、皆の要望があるから着替えてみるか。皆手伝ってー」


 着替えが終わり、鏡の前に立つと、そこには黒い騎士……のように見えなくもない姿の俺が立っていた。今まで白を基調とした装備が多かったからか、全身真っ黒な装備は違和感がすごいな。

 いやまあ、カッコいいっちゃカッコいいが。


『わぁ……』


 鏡の向こうでは、俺の格好を見て皆が目を輝かせている。まあ、喜んでくれてるならいいか。あとで個別に、壁ドンでもしてあげればいいかな?

 せっかくならそのタイミングで求婚を申し込むべきか……? いや、それだと風情がないか。個別デートの時に伝えるとしよう。うん、そうしよう。でも流石にこの格好で街中を歩き回りたくはないぞ……?


「おほん。盛り上がっているところ悪いが、次はカスミ達のチームが集めた『金の宝箱』の開封をしてくぞ。なあイズミ、結局コレは1個も開けてないのか?」

「ええ、そうよ」

「中身の見当はついてない感じ?」

「あ、実は知ってるの。あっちでは割と知られたモンスターだったからね。ただ、中身が中身だけに、あたしが開けるよりもお兄様に開けてもらった方がもっと良いものを出せるんじゃないかと思って☆」

「そう信じてくれるのは嬉しいが、当たりとしては何が出るんだ」

「ステータス成長アイテムだよ☆」

「ほぉ」


 成長アイテムか。ガチャを回す前にテレビやネットなんかで、オークションに出品されてるのを見かけたことがあったが、出土は『大阪城前ダンジョン』だったのか。まあ探せば他にもあるんだろうけど……。

 でもまあ、最初期からあるんだし、出回るのもやっぱそこからだよな。


「ちなみに、出てくる数値としては?」

「ほとんどが1で、最大は5だよー」

「俺なら?」

「20は行っちゃうかも!」

「期待されまくりだな。……んん?」


 そういや、あのスキルはどこが産地なんだろうか。あれが安定して取れなければ、協会がまともに機能しなくなるはずだ。けど、問題なく機能している以上何かしらの入手手段があるはずなのに、俺は一度も拝んでいない。カスミ達のスキルも変化していない以上、『大阪城前ダンジョン』でも出現しないことは確かだ。

 今まではネタバレ回避のために聞かなかったけど、ここまで出会えないのが逆に不思議な感じなんだよな……。


「アキ、マキ」

「んー?」

「はい、ショウタさん」

「『鑑定』って、どこで手に入るんだ?」

「お、いきなりねー。でも、やっと聞いてくれたわね」

「ネタバレよりも、気になって仕方がない方が勝っちゃったみたいですね」


 ちらりと周りを見てみれば、皆訳知ったる顔だ。アヤネですら知っていると言うことは、知らないのは俺だけなんだろう。


「ショウタ君、ヒントが欲しい? それとも答え行っちゃう?」

「んー、じゃあヒントで」

「ショウタ君が知ってるダンジョンだよー」

「それなりに古いダンジョンでもありますね」


 俺が知ってて、それなりに古くて、あとはスキルをそれなりに協会に卸せているところ。となると、そこの支部長の発言力も大きくなりそうだよな?

 なら答えは決まったようなものじゃないか?


「『中級ダンジョン』だな?」

「せいかーい!」

「流石ショウタさんです」


 皆からも拍手が送られる。少し気恥ずかしい。


「あのダンジョンって、No.はいくつだっけ?」

「もう、そこは分かってないまま導き出しちゃったのね」

「ふふ、サクヤさんの管理するあのダンジョンは319ですね」

「319かー。なるほど、3年目か。なら納得だ」


 色々と腑に落ちたな。そりゃ誰も逆らえないわ。

 あと流石に398では無かったか。流石にな?


「さて、ちょっと話は逸れたが、宝箱を開けるか」

「増強数値、皆は幾つになると思うー?」

「僕もやっぱり20くらいは期待しちゃうなー」

「それがしは30と予想します」

「30かぁ。お兄様なら出せない数字じゃないわね」

「わたくしもハヅキ様の意見に賛同しますわ」

「うーん。お兄ちゃんなら40……ううん、50はいってくれるかも!」

「カスミちゃんったら大胆ー☆」


 ああ、これは放っておくと期待値が膨れ上がってしまいそうだな。こういう時はさっさと開けちまおう。

 宝箱に触れると、選択肢が出てきたのだが――。


【変身具】

【ステータスブースト】


『!?』


 その表示に誰もが驚いていた。

 変身アイテムとか、そんなのステータス成長アイテム以上に価値があるぞ!!


「イズミ、これを落としたモンスターの種族は?」

「ピューマだよ!」

「ピューマっつーと、ネコ科のアレか」


 となると、変身具は猫……?? つまり、彼女達全員に猫耳と肉球と尻尾が生えるという事か……!?

 それは一大事だな!!

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