ガチャ621回目:変質

 グングニルの説明を聞いたカスミ達が、グングニルを囲んで楽しそうにキャッキャとしている。そんな様子を眺めながら、俺はドロップしたアイテムの前に座り込んでいた。


「おおー。やっぱりコアが増えてくれたか。流石、信頼と実績の倍化だな。これならあと最低1戦、最大でも2戦すればコアが揃うな」

『キュイキュイ』

『ポポ』

「それじゃさっそく、エンリルとアグニは、一足先に強化しちゃうか」

『キュイー!』

『ポポー!』


 俺は2人にコアを手渡すと、各々がコアを体内に取り込み、今まで心臓代わりになっていたコアを取り出した。エンリルはコアⅤ、アグニはコアⅣだ。


「よし、これでエンリルは4つ、アグニも4つのスキルを取得できるようになったわけだが、そうだなぁ……。よし、コレを覚えてくれ」


 そうして2人にスキルを新たに取得させたり換装させたりして、成長した2人を視る。


*****


 名前:エンリル

 品格:『伝説レジェンダリー

 コア:ゴーレムコアⅥ、大精霊の真核

 材質:風雷魔装体

 魔力:6400

 スキル(12/12):金剛外装Ⅲ、★超防壁Ⅲ、★物理耐性Ⅵ、摩擦抵抗Ⅲ、自動回復Ⅴ、瞬迅Ⅳ、迅雷Ⅱ、魔導の叡智Ⅲ、反響定位Ⅲ、暗視Ⅲ、★神通力Ⅱ、★無形流転Ⅲ

 スキル(12/12):風の聖印Ⅲ、魔法耐性Ⅲ、風耐性LvMAX、天鼓雷撃Ⅲ、★元素魔法LvMAX、泡魔法LvMAX、風雷操作LvMAX、★雷鳴魔法LvMAX、混沌魔法LvMAX、★風の鎧Ⅶ、★魔力超回復LvMAX、風

 武技スキル:真空斬り

 魔技スキル[攻]:ブレイクアロー

 魔技スキル[補]:エアプレッシャー、風纏い


*****


 名前:アグニ

 品格:『固有ユニーク

 コア:ゴーレムコアⅥ

 材質:蒼炎魔装体

 魔力:6400

 スキル(12/12):金剛外装Ⅲ、★超防壁Ⅲ、★炎耐性LvMAX、★物理耐性Ⅵ、★魔法耐性Ⅵ、破壊の叡智Ⅴ、★魔導の叡智Ⅲ、★元素魔法LvMAX、蒼炎操作LvMAX、★炎の鎧Ⅶ、★溶岩人形Ⅴ、★魔力超回復LvMAX

 武技スキル:なし


*****


「うん、めちゃくちゃ強くなったな。これならどんな敵だろうと……いや、パンドラは例外だな。あれみたいなのが出たらまた支援に回ってもらうことになりそうだが、そんなことになるのはほぼないだろ」

『ポー。ポポー』

『キュイ?』


 エンリルがフラグはやめようと忠告してくる。

 まあコレもフラグか。でも俺としては、そのフラグは立ってて欲しくもあるんだがな。シェイプシフター戦も、パンドラ戦も、過去最大級の強敵だったからな。

 そんなレベルの相手とは、出会いたくないという気持ちはもちろんある。だが、それと同じくらい、強敵とひりつく戦いがしたいという想いがあった。


「とりあえず、もう1戦やるか。アグニは属性相性的にお留守番な」

『キュイー』

「行くぞ、エンリル」

『ポポー!』



◇◇◇◇◇◇◇◇



 そうしてもう1度100体からのレア、レアⅡと連戦した結果、ちゃっかりコアだけが狙い澄ましたかのようにして倍加してくれた。さすが俺の『運』。期待を裏切らないな。


「お兄ちゃん。用事はこれで終了?」

『キュイ? キュイキュイ」


 一緒にお留守番している間、可愛がられまくったアグニが飛びついてくる。エンキ達の中で、順番的にも末っ子のアグニは、一番甘えん坊なんだよな。うちの彼女達に可愛がられるのはもちろん好きだが、俺に撫でられるのは別腹だと思ってそうだ。


「まあ本来はコレで終了ではあったんだがな。もう1つ試してみたいことができたから、悪いがもう1戦付き合ってくれ」


 彼女達は嫌な顔せず頷いてくれる。


「ふふ。やはり兄上は、どんな時でも活力に満ちておいでですね」

「お兄様、援護が必要であればいつでも申し出てくださいね」

「お兄様、お疲れではございませんか? いつでもこの胸に飛び込んできてくださいね」


 イリーナが両手を広げ、聖母のような慈しみを見せる。正直めちゃくちゃ覚悟が揺さぶられるが、コレばっかりはやめられない。


「……終わったら頼むよ」

「「「「「おおー」」」」」

「なんだよ?」

「イリーナの魅力と暴力を前に、正面から断れるなんて、やっぱりお兄さんはすごいや」


 他の子達もうんうんと頷いている。まあこの暴力的なまでのサキュバスボディーに抗うのは至難の業だよな。というか、断り切れても無いんだが。

 しかし、今頷いた5人は、全員が既に1度はその魅力を前に意志が折れた経験がありそうだ。


「とりあえず湧かしてくるから、ちょっと待っててな」


 そうして俺は3度目の100体討伐を行い、レアモンスターである『ハードラヴァゴーレム』を呼び出した。


『ボォォォ!』

「皆、こいつに水をぶっかけてやってくれ」

「「「「「「ビッグウォーターボール!」」」」」」

『ポポ!』

『キュイ!』


 イリスを除いた8人が一斉に魔法を発射した。そしてそれぞれが合図も無しに、的確に燃え盛る各部位や、広がろうとして地面に落ちたマグマを冷やしていく。


『プル~ン』


 イリスは食べ物じゃないからやる気が出ないらしい。相変わらずである。


『ボォ!? ボオオオ!!?』


 ダメージはないが、かなり苦しんでいるような悲鳴を上げる。アイデンティティが奪われつつあるもんな。

 そうして続いて第二斉射が行われると、奴の全身を覆っていたマグマは鳴りを潜め、熱気すら感じられなくなった。一応見ておくか。


*****

名前:ハードラヴァゴーレム(変異種・強化型・変質)

レベル:90

腕力:1500

器用:100

頑丈:1800

俊敏:100

魔力:100

知力:100

運:なし


マジックスキル】火炎操作Lv7、風塵操作Lv5、溶岩人形Ⅲ、魔力回復Lv5

スペシャルスキル】無形流転Ⅱ


装備:なし

ドロップ:ゴーレムコアⅣ

魔石:特大

*****


「ほぉん」


 『腕力』と『頑丈』が跳ね上がったが、他のステータスが軒並み低下したな。コレは文字通り、マグマが冷えて固まったせいでおきた変化と言ったところか。


『ボ……オォ………』


 動きも正確性もないその動き。めちゃくちゃ弱体化してしまったその攻撃を難なく躱し、そのコアを剣で貫く。

 奴は全身から力を失い、ガラガラと音を立てて崩れ落ちて行った。ステータスと違ってスキルはそのままだったが、多分あれ、炎系のスキルも全封じのような気がしないでもない。


「イズミ、ちゃんと撮ったか?」

「撮ったよー☆」


 さて、問題はこの次だな。

 『コラプショングリフォン』のように変化が起きるか、否かだ!

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