ガチャ619回目:強化された変異種
ハヅキとレンカの2人は左右に分かれ、ラヴァゴーレムを釣り出していた。流石にマグマの中に生身で入るわけにはいかないもんな。
実際それは俺もそうだし、各種障壁ではダメージはなくとも熱気は防げず貫通する。だけどいちいち連中をマグマの中から呼び出していては効率が悪いんだよな。だからもう、横着して直接マグマの海にいる連中を叩くことにした。
「エンリル、アイテム回収は頼むな」
『ポポー!』
「カラーウォーク」
マグマの海の上に、様々な色の半透明な板が出現した。今まで使う機会は無かったが、『空間魔法』がレベルアップを重ねる際に覚えた魔法だ。効果は単純で、他人にも見える足場を『空間魔法』のレベル×2の枚数分出現させることができる。かなり前、『1028ダンジョン』近くの浜辺で、アヤネの姉の片割れこと、ユキ義姉さんが使っていた魔法だ。あの時のユキ義姉さんは『空間魔法Lv6』だったから、色付き床を最大で12枚展開できた。
そして現在の俺の『空間魔法』レベルはMAX。なので合計20枚の足場を召喚可能なのだ。『空間魔法』は何も、レベルアップの恩恵が無色透明なエアウォークの枚数上限値と硬度が上がるだけではないということだな。
「この強度をこいつらが壊せるかは不明だが、危なそうなら飛び移るようにな」
「兄上、感謝します!」
「お兄さんありがとー!」
『オオォォ……』
『オオォ……!』
周囲を半透明な板に囲まれたラヴァゴーレム達がゆっくりと動き出す。といっても、足を踏み出すことはできないため、板を割るために攻撃するつもりなんだろう。だが、それを見守るほどこっちも暇じゃない。
「せいっ!」
『斬ッ!』
振り下ろされそうになっていた炎の腕を両断する。するとそれは、コアから引き離された影響で炎のエネルギーへと帰っていき、バラバラと空気に溶け消えていった。
『オオォォ……!』
やはりというか、痛みなどはないみたいだな。残った腕で攻撃を仕掛けつつ、吹き飛ばされた腕は周囲の熱を操って再生を始めている。
「これは確かに、レベル40はあってもおかしくないな」
そう思いつつも、一息にコアを突いてやる。するとラヴァゴーレムは全身の力が抜けたように崩れ落ち、4つのアイテムをばら撒いた。
『ポポ!』
同時にエンリルが回収をしてくれる。ドロップは、ゴーレムコアⅡが2つに、中魔石。それから『火炎操作』だ。通常のゴーレムコアは、『初心者ダンジョン』に結構な数の冒険者がなだれ込んだ影響で、結構な値崩れを起こしてるみたいだが、Ⅱは全然出回っていないからな。良い値段で捌けそうだ。
この灼熱のゴーレム地帯、どうにか維持できないかな。……あとでダンジョンコアにアクセスしてみるか?
「んじゃ、この調子でガンガン狩るぞ」
『ポポ!』
◇◇◇◇◇◇◇◇
そうして汗だくになりながらも討伐を続けること数十分。ようやく俺単独での100体のラヴァゴーレムを討伐することに成功した。
その頃には観客が集まってきていて、誰もが邪魔しないように遠くから見守ってくれている。カスミ達のチームは危なげなくラヴァゴーレムを捌けているし、いい感じに彼女達の紹介もできてるかもな。
「お兄様。煙出たよ☆」
「おう、サンキュー」
煙は案の定中央の岩山へと向かって行ったので、カラーウォークを伝って全員で渡る。膨れ上がった煙からは、溶岩と燃え盛る岩を纏った巨大なゴーレムが現れた。
*****
名前:ハードラヴァゴーレム(変異種・強化型)
レベル:90
腕力:1000
器用:400
頑丈:1300
俊敏:200
魔力:1000
知力:100
運:なし
【
【
装備:なし
ドロップ:ゴーレムコアⅣ
魔石:特大
*****
「ほぉー。レアで90台ときたか」
こりゃ、レアⅡは『カムイ』級か、それ以上のが来るんじゃないか? てかラヴァゴーレムはただの変異種だったのに、こっちは強化型ってついてるくらいだしな。やっぱり、俺のプロミネンスフレアの威力が高すぎて、能力値が引き上げられたかもしれないな。
それとも、管理者レベルのせいか……?
『ボオォォォ!』
「ふんっ!」
迫り来る燃える岩を剣で受け止めると、剣を中心として溶岩が周囲に散らばる。普通に暑いし熱いな!
しかも奴からは常に溶岩が滴り落ちており、足元に広がったソレからは無数の灼熱の手が生えてきた。あれは『溶岩人形Ⅲ』の効果だろう。放っておけば、それだけで熱気と灼熱に場が支配されるだろうな。
「「ビッグウォーターボール」」
背後から、イズミとイリーナが呼び出した魔法が飛んでくる。魔法が地面の溶岩に衝突すると、広がり始めていた溶岩は、無数の手諸共瞬時に冷却され、固まってしまった。
普通の溶岩ならそう簡単に固まりはしないだろうが、どちらも魔力によって生み出された存在だ。自然現象による変化よりも、ステータスの影響をモロに受けるようだ。
一般の冒険者なら、何発かは必要かもしれないが。
『ボォォォ……!』
そしてどうやら、水は奴の足にも当たったらしい。燃え盛っていた脚の炎は冷えて固まり、黒く硬い岩だけが剥き出しになっていた。このまま全身を冷やしたら、最悪別のモンスターに変化しそうだな。
「魔法はコレで十分だ。トドメをさす」
『ボオォォ!』
迫り来る巨腕を外側に弾き、剥き出しとなった弱点のコアへと吶喊し、思い切り突く。
『ボ、オ……』
『ハードラヴァゴーレム』は全身が溶け落ち、溶岩の岩も、何もかも煙に溶けて消えて行った。だが、煙はまだ健在で、そこに残っている。
少し前まで苦戦を強いられたであろう敵も、今となっては物足りない相手でしかなかった。正直、こいつと同じモンスター10数体くらいに囲まれるほどでないと、危険とは言えないんだよな。この程度の敵じゃ、もう満足できない体になっちまった。
「さーて、次は何が湧くかなっと」
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