ガチャ614回目:共有システム

 いつもの真っ白な部屋。いつもの操作パネル。いつもの帰還用のゲート。そこは見慣れたいつものダンジョンコアの部屋であったが、1つだけ変化があった。


「えへへー、お兄様と2人っきり☆」


 イズミが甘えてくる。この子はアイラと似たようなところがあって、皆の前だと中々甘えてこないんだよな。たまに我慢できなくなる時もあるみたいだけど。

 ダンジョンコアから聞いた、他者が支配するダンジョンから鍵を得る方法だが、3つの内2つは戦って奪うものだった。残り1つの譲渡については、どんな風にやるのかと思っていたが……。まさか、他の管理者をこの場に招待できるようになるなんてな。


「ねえねえお兄様、ちゅーしよっ☆」

「それは……まあいっか」


 お預けにしようかとも思ったが、鍵を手にしたのは他ならぬイズミなのだ。多少は良いだろう。


「えへ。幸せ☆」


 うっとりするイズミを撫でつつ、反対の手で操作パネルをタッチしてみる。ここの管理者じゃなきゃダメかとも思ったが、『ダンジョンコア』はゆっくりと姿を現した。


『ようこそ、管理者様』

「ああ。……今回はアルマジロか」


 まーた統一感のない。


「実はね、『ダンジョンボス』もアルマジロだったの。今まで聞いてた話だと、無秩序に選ばれた全然違う形状のコアが出るって話だったから、ビックリしちゃった」

「そうなのか」


 ボスがアルマジロ。めっちゃ気になるなー……。


「ふふ、あとで見せてあげるね☆」

「ああ、楽しみにしてる」

「にひ。……ダンジョンコア、早速だけど、管理者の鍵の譲渡について教えなさい」

『……許可。条件を満たしました。システムの一部を解除します』


 やっぱ、その状況下にならないと許可されないシステムがあったか。なら、他にも今になって追加で聴けるようになった情報もあるんじゃないか?


「ダンジョンコア。その前に、俺から確認したいことがある」

『……新規管理者様の権限レベル5を確認。情報開示内容を追加します』

「よし。管理者同士でと、何かメリットはあるか?」

『許可。多数存在』

「お。なら、内容によっては今後もイズミには鍵を持ち続けてもらった方が便利かもな」

「流石お兄様ね……。あたし、譲渡することしか考えていなかったわ」


 イズミがより一層情熱的な目で見てくる。くすぐったいなぁ。


「ダンジョンコア、そのメリット、現在の権限レベルで知れること、全て教えてくれ」

『許可』


 そうして教えてくれたメリットは以下の物だった。


 ・支配権の共有。これにより、互いの支配領域を相手の『楔システム』に登録し、連結することが可能となる。

 ・管理者同士の管理レベルに応じて、協力ポイントが発生する。使用する協力ポイントに応じて、互いのスキルや装備の一部をコピーして利用することが可能。ただし『幻想ファンタズマ』はコピー不可。


「それなら、普通に考えてメリットしかなくね?」

「ダンジョンコア。譲渡を受け直接支配する場合に比べて、協力関係で相手のダンジョンにできる権限に違いはあるかしら」

『確認。知恵の実所有者が設定変更できるのは、あくまで直接支配した場合にのみ可能』

「やっぱりね。……けど、うーん。このダンジョンで、お兄様に直接弄ってもらう必要のある階層なんて、特にないかも」

「フィーバータイムとかは?」

「あたしの知る限りは無かったわ」

「なら、普通に協力関係を結んだほうがいいよな。あ、でも一応確認しておくか。ダンジョンコア、もし譲渡した場合、相手に返すことは可能か?」

『不可』

「マジかよ。じゃあ、再度手にするには、直接相手を殺すか、挑戦権を手にして挑むしかないのか?」

『肯定』

「うひー」


 そりゃもうほとんど後戻りのできない一方通行じゃないか。

 共有化に気付かず譲渡を済ませずに本当に良かった。


「さすがお兄様」

「ありがと」

「ではダンジョンコア、あたし達で協力関係を結ぶわ、許可しなさい」

『許可。このコンソールに、互いの手を重ねて置いてください』


 俺たちは言われるままに操作パネルに手を置いた。


『登録完了。現在の利用可能ポイントは11です。コピーするスキルを選択してください』


 俺たちの正面に、互いのスキルが表示された。そのリストもまたお互いに見れるようで、やっぱり『レベルガチャ』は使用可能対象には含まれていないようだった。

 まあそりゃそうか。残念だが仕方ない。


「うわー、流石お兄様。いっぱいあるわね……」

「ダンジョンコア。確認だが、ポイントが許す限りいくつでもスキルはコピー可能なのか?」

『許可。可能です。スキルの着脱はいつでも可能ですが、コアルームでのみ行えます。また、協力ポイントは共用のため、片方が11ポイント全て使用すると、もう片方は利用できません』

「ほほう」


 11ポイントか。なんというか半端な数字だな。何から導き出された数字だ?

 ……管理者レベル1と5だろ? 2つの数字を足した数字と、掛け算した数字を足したらそうなるが……。この辺は、今後の鍵の増加に合わせて確認するしかないな。


「……何をコピーしてもいいというのは悩ましく思えて、そうでもないよな。現状イズミのスキルは俺があげたものがほとんどみたいだし。このダンジョンで得られた俺の知らないスキルもあるみたいだけど、わざわざコピーせずとも取得してしまえば済む話だよな……」

「そうね。……ダンジョンコア。このポイントはどのスキルでも一律1ポイントかしら?」

『否定。スキルのランクに応じて変化します。『通常ノーマル』は1ポイント。以降1ランク上昇ごとに1ポイント上昇し、『高位伝説ハイ・レジェンダリー』で7ポイント必要です』

「なら……。お兄様、あたしが使わせてもらっても良いかしら」

「おう」

「お兄様ありがとっ☆」


 そうしてイズミは真っ先に『アトラスの縮図Ⅱ』をコピーした。どうやらアトラスは、現在『高位伝説ハイ・レジェンダリー』扱いのようで7ポイント要求されたのだが、まあ納得の性能ではあるよな。

 残り4ポイントか……。


「これでダンジョン攻略が滅茶苦茶楽になるわ!」

「そりゃ良かった」

「でも、いつの間にかⅡになっていたのね」

「ああ。色々と進化したが、その説明はまた後で、皆がいるところでしようか」

「そうね! あとは、何がいいかしら……」

「そうだなぁ。あっても困らないスキルは数あれど、必要になるとしたら……あっ」


 そうだ、なんで忘れてたんだ。


「お兄様?」

「イズミ、悪いが俺もポイントを使ってもいいか?」

「もちろんよ! けど、主要なスキルって、全部お兄様も持ってるスキルよね?」

「ああ。けど、俺の考えが正しければ……!」


 俺はとあるスキルを選択する。そして逸る気持ちを抑えきれず、俺は慌てて自分のスキル一覧を見て……思わずガッツポーズを取った。


「よし!」

「え、お兄様。これって……!」

「ああ。2倍だ!」


ユニークスキル】レベルガチャⅡ、真鑑定LvMAX、鑑定偽装LvMAX、気配偽装LvMAX、アトラスの縮図Ⅱ、鷹の目Ⅲ、魔石操作Ⅲ、弱体化Ⅲ、スキル圧縮Ⅳ(2/3)、スキル圧縮α、スキル圧縮β、スキル圧縮χ、スキル圧縮Δ、スキル圧縮ε、スキル圧縮Φ、スキル圧縮γ、スキル圧縮η、スキル圧縮ι、スキル圧縮κ、スキル圧縮λ、スキル圧縮μ、スキル圧縮ν、スキル圧縮ο、スキル圧縮π、スキル圧縮Θ、スキル圧縮ρ、スキル圧縮σ、スキル圧縮τ、スキル圧縮υ、スキル圧縮ω、スキル圧縮ξ、充電Ⅲ、天罰の剣

ブーストスキル】金剛外装Ⅳ、超防壁Ⅴ、剛力Ⅶ、怪力Ⅶ、阿修羅Ⅴ、怪力乱神Ⅲ、金剛力Ⅱ、俊足Ⅶ、迅速Ⅵ、瞬迅Ⅴ、迅雷Ⅱ、鉄壁Ⅵ、城壁Ⅵ、金剛体Ⅴ、難攻不落Ⅲ、金剛壁Ⅱ、力溜めⅢ

パッシブスキル】身体超強化LvMAX、硬化Ⅶ、★炎耐性LvMAX、風耐性LvMAX、土耐性LvMAX、水耐性LvMAX、光耐性LvMAX、闇耐性LvMAX、★物理耐性Ⅷ、★魔法耐性Ⅷ、★斬撃耐性LvMAX、貫通耐性LvMAX、★打撃耐性LvMAX、状態異常耐性(2/3)、酒耐性Lv7、知覚強化Ⅲ、思考加速Ⅱ、並列処理Ⅳ、二刀流Ⅲ(1/3)、体術LvMAX、武闘術Lv1、剣聖LvMAX、盾術Lv2、神槍術Lv7、鞭術Lv8、神弓術Lv5、ガンナーLv9、狩人の極意LvMAX、暗殺の極意LvMAX、投擲の極意Lv2、射手の極意Lv2、姿勢制御LvMAX、摩擦抵抗Ⅲ、重力抵抗Lv8、空間把握Lv7、曲芸Lv7、水泳LvMAX、精力増強LvMAX、性豪Lv1、恐怖耐性Lv5、痛覚耐性Lv9、苦痛耐性Lv6、悪臭耐性Lv5、精神耐性Lv5、魔眼耐性Lv9

PBパッシブブーストスキル】統率Ⅲ、破壊の叡智Ⅴ、魔導の叡智Ⅳ、魔力の叡智、万象の刻印、魔眼適性

アーツスキル】予知Ⅳ、克己Ⅲ、看破、隠形Ⅵ、気配断絶Ⅲ、認識阻害、オーラ感知(1/3)、全感知(2/3)、毒抗体Ⅵ、跳躍LvMAX、暗視Ⅳ、衝撃Ⅳ、鎧通しⅢ、急所突きⅢ、ウェポンブレイクⅡ、アーマーブレイクⅡ、重ね撃ちLv4、連環拳、縮地Ⅱ、忍び足Ⅱ(1/3)、壁走りLvMAX、木登りⅤ、虚空歩(2/3)、水渡り、チャージアタックⅥ、ウォークライⅡ、追跡者Ⅴ、騎乗Ⅱ、天鼓雷撃Ⅲ、震天動地Ⅳ、造血術、神通力Ⅱ、弱点看破(1/3)、魔鉄加工術、魔石加工術、魔工彫金師、完全分解α

マジックスキル】狭間の理Ⅱ(1/3)、視界共有Ⅱ(1/3)、念動力Lv3、飛剣術LvMAX、元素魔法LvMAX、外典魔法Lv3、影魔法Lv2、空間魔法LvMAX、泡魔法LvMAX、★蒼炎操作LvMAX、風雷操作LvMAX、★濁流操作LvMAX、砂鉄操作LvMAX、回復魔法Lv1、★雷鳴魔法LvMAX、★氷結魔法LvMAX、極光魔法LvMAX、宵闇魔法Lv8、混沌魔法Lv2、聖魔法Lv2、時空魔法Lv4、泥人形Ⅳ、★炎の鎧Ⅶ、★風の鎧Ⅶ、★土の鎧Ⅶ、★水の鎧Ⅶ、聖光の鎧Ⅲ、漆黒の鎧Ⅲ、魔力超回復LvMAX、魔力譲渡Ⅲ

スペシャルスキル】神速(1/3)、魔導技師、魔導の御手Ⅲ、言霊支配、恐慌の魔眼、魅惑の魔眼、解析の魔眼、威圧Ⅱ、強圧、王の威圧Ⅳ、存在圧Ⅲ、決闘Ⅲ、裏決闘Ⅱ、結界破壊Ⅲ、ダブルLv3、鏡花水月、ミストミラージュ、天使の祝福、神意のオーラ、悪意のオーラ、真理の眼(1/3)

エクストラスキル】パニックボイスEX

コピースキル】★魔力超回復LvMAX


 しかも、丁度良く『魔力超回復』は『固有ユニーク』ランクで、消費も4ポイントときたもんだ。これで、今まで以上にスキルが使い放題になるぞ!

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