ガチャ612回目:現状確認

『キュイキュイ』

『ポポー』

『プルプル』


 アグニと一緒に、エンリルとイリスも女性陣+@におもちゃにされている間、俺はイズミから情報をまとめることにした。


「それでイズミ、改めて今の状況を聞きたい」

「はーい、お兄様☆」


 そうして聞き出せた情報としては、まず『疾風迅雷』はチームでも個人でも、ちゃんとSクラス扱いになる可能性は高いと言う話だ。

 なんせ、俺のところの第二パーティっていう意味でもそうだし、実際に俺の力はほぼ抜きでダンジョンボスを討伐して、ダンジョンを1つ平定してしまっているからな。

 現状日本には他に幾つかのSランクチームはいるが、それらのチームはダンジョンの平定までは行えていない。難易度の高い深層で狩りをして、貴重なアイテムや装備品であったり、深層で狩りをすることでスタンピードを遅らせることができているというを元に評価され、Sランクに到達した人たちなのだ。

 彼らの今までの行いを否定するつもりも、馬鹿にするつもりもないし、彼らのおかげで今のこの平和な国が維持できていると言っても過言ではない。だが、今更になって彼らに『運』を伸ばしてもらうことは難しいし、新人をキャリーして『運』特化に仕立て上げるのも難しいだろう。俺が協力してもいいけど、イズミみたいなは珍しいのだ。けれど、彼女のような素養がある子がいなければ、これからの時代の流れについてくるのは至難の業だ。

 どうにかできればいいんだけど……。


「おーい、お兄様ー?」

「あぁ、ごめん。考え事しちゃってた」

「んふ、いいよー。考え事するお兄様も素敵だから☆」


 イズミはニッコリ微笑んだ。

 しっかしイズミは可愛いなぁ。『086ダンジョン協会支部』で一番人気を自称するだけのことはある。こんなん誰でも堕ちるって。


「ねえねえお兄様。昨日の記者会見では聞かれなかったけど、今のレベルっていくつあるの? さっきからすーっごい強いオーラを感じるんだけど☆」

「ああ、あの時はなんか、空気読んで聞かれなかったっぽいんだよな」

「秘密にしてる人多いもんねー。あたしらの場合は、はそれなりにオープンだけど☆」

「まあ俺も秘密にするつもりはないぞ。悪意を持って拡散されなければ」

「んもう、そんな野暮なことはしないわっ」


 ダイちゃんこと、ダイゴロウ支部長がくねくねしながら答えた。……この人が正面にいなくてよかった。居たら精神ダメージを受けていたかもしれない。


「まあいいか。今の俺のレベルは654あるぞ」

「わー、すご〜い!!」

「え、お兄ちゃんそんなにレベルが上がってたの!?」

「流石ですね、お兄様」

「どうりで、兄上から感じる気迫が膨れ上がっていた訳です」

「まさか、この後光もレベルによるものでしょうか……?」

「えー? やっぱりそれ、イリーナの錯覚じゃない? ボク達見えてないよ?」

「あー、後光についてはタネも仕掛けもあるから、それはまたあとでな。ちなみにここにいるエスは、618な」

「「「「「「おおー」」」」」」


 エスは拍手されてくすぐったそうにしていた。


「それでお兄様。話は戻るけど、Sランクになる上で、1つ大きな障害があったのよ」

「おう、聞こう」

「証拠よ」

「証拠かー」


 鍵は他の人からの『鑑定』じゃ見えないし、エス曰く俺がオープンにしている状態で『真鑑定』をしても、まるで視えなかったらしいんだよな。称号とかは見えたらしいけど。


「他人に示すには、滅茶苦茶難しいな。俺も『楔システム』を起動することでようやくちゃんとした形で示せたわけだし」

「あ、そこはそうでもないのよ」

「ん? というと?」

「あたし達、『086ダンジョン』で戦ったすべてのレアモンスターとボスとの戦闘の記録、全部カメラに残しておいたから」

「おお、そうなのか!?」


 ちょっと見てみたいな。特にボス。


「ただ、ダンジョンコアのいる部屋では電子機器が作動しなかったから、証拠にはできなかったんだけど」

「ん? 俺は使えたぞ?」


 ダンジョンの位置を残すために世界地図を写真に残したしな。


「そうなの? もしかしたら、レベルの関係かも」

「だなー。もしくは写真だったから行けたとかあるかも」

「あたしは動画のつもりだったから、その可能性もあるのね」


 ふむふむ。


「あと、すぐに名乗り出なかったのも要因みたい」

「ああ、だから本当にダンジョンを制圧したのか、証拠を出せってお偉いさんに言われたわけか」

「そ。ネチネチ言われちゃった☆」

「ネチネチねぇ」


 ちらりとダイゴロウに目線を向けるとプリプリし始めた。


「ちょっとぉ、あたしじゃないわよ! 文句を言ってるのは第二エリアの協会長だからっ!」

「なんでも、お兄様の記者会見の発言で問い合わせが殺到したみたい。けど、本人は何も聞かされてなかったからお怒りみたいね」

「小物かよ。まあでもそれくらいなら、サクヤお義母さんとか第一エリアの協会長が後押ししてくれるだろ」

「うん、そうみたい。だから昨晩の段階では難色を示されてたんだけど、お2人の圧もあって、さっきようやくお許しが出た感じね」

「ん? ……ああ、それで『大きな障害があった』って言った訳か」

「そゆこと☆」

「じゃあ今障害は、何もなし?」

「ええ。けど、それもお兄様のおかげだよ☆」

「引き起こしたのも俺だけどな」

「あはは。ホントよねー」


 話は終わりということで、イズミがくっついてくる。


「それで、正式な授与は明日になるわけか」

「だから、ランチを一緒に食べたら、鍵の受け渡しをしましょ」

「おっけー。実はイリスがこっちのご飯が恋しいらしくてさー」

『プルンプルン!』

「この前はイリーナやレンカ以上に食べたんだっけ?」

「楽しい昼食になりそうですわ」

「イリス、ボクと一緒にいっぱい食べようねー」

『プルーン』

「つーわけだから、エスも一緒に来いよ」

「良いのかい?」

「いいよいいよ。お前は今正式に俺の義弟で、この子達は婚約者兼、妹&義妹達だ。仲がいいに越したことはないだろ」

「よろしくね。エスお兄さん」

「ああ、こちらこそよろしく」


 そうして俺達は、冒険者御用達のレストランへと赴き、家族での食事を堪能するのだった。

 ちなみに一部メンバーこと約3名は、俺達が食事を堪能する間、メニューの上から下まで制覇していた。そこまで高級なレストランと言うわけでもないのに、お会計の時に値段がエグいことになっていたが、時間無制限にしたらレストランの食材を全部食い尽くしてたかもしれんな。

 イリスは元々なんでも即座に消化・吸収してるけど、イリーナとレンカは食道から先が『魔法の鞄』と繋がってたりしないだろうな?

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