ガチャ605回目:制圧報酬
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「2人のステータスには驚かされたが、もう1つどうしても気になる点があったんだよな」
ちらりとエスに向けると、俺が何を言いたいのかミスティは察してくれた。
「ん。ショウタが疑問に思うのも分かる」
「えっと、どれのことだい?」
「『運』のないエスがこれほどまでに立派な装備と大量のスキルを手に入れられたのが不思議でな」
「あー……。はは」
ほぼ全ての耐性系はMAXだし、ステータス上昇系などの非レベル性のスキルは俺の上を行く状態になっている。俺以外に圧縮持ちがいるとは思えないし、純粋に素ドロップか重ね合わせしかできないはずだ。
なのにエスは、これほど完成度の高い構成を実現できている。それが本当に不思議でならない。
「ん。そこは唯一エスが自慢できる点かも」
「はいはい! お兄さん、私に説明させて」
「てことは、シルヴィが用意したのか?」
「ううん、私が協力できたのは一部だけ。ほとんどは彼がダンジョンを通じて知り合った友人からの贈り物や貰い物ね」
「ほぉー」
「ほら、僕って瞬間火力と殲滅力だけは優秀だからさ。スタンピードや、反乱間近の殲滅処理。超強力なモンスター討伐の手伝いなんかで、他のダンジョンに呼ばれることが結構あったんだ。この暴風王シリーズの防具も、スキルのラインナップも、ほとんどがそれらを経由して受け取った報酬って感じだね」
「なるほどな」
エスは見た目通りというか、やっぱりそれなりに友人は多いみたいで安心だな。逆にミスティは、そういう話を一切聞かないけど。
「ん。私はショウタがいればそれでいい」
「まあミスティがそれでいいなら良いけどね」
さて、彼らのステータスやスキルの成り立ちは知れたわけだし、次の話に移るか。
俺は今まで静かに話を聞いていたベンおじさんに視線を向ける。
「それじゃベンおじさん、ダンジョンの変化についてお伝えしても良いですか?」
「ああ、お願いしたい。ダンジョンはあの通知以外にも変化があったと言う話だが、具体的に何が変わったのかね」
そうして俺は順番に説明していくことにした。
まず端的に言うと、第一層から第三層までのモンスターは、入口から奥に行くほどにレベルが上がるようになった。スタンピードリセット直後が手前で、奥には暴発寸前のレベル帯がいるといった分布図だ。けどレッドはいなくて、全部グリーンだが。
そして第三層のプライドコンドルだが、存在高度を下げ、敵対行動をされた際の集合性能を格段に下げておいた。これで低空を飛んでるプライドコンドルを遠距離攻撃で釣っても、やってくるのはせいぜい1体から4体といったところだろうし、今後一般冒険者達の狩りの対象になってくれるはずだ。
続いて第四層だが、こっちは特に変化は無かった。元から狩りをする上で完成された階層だったし、夏や冬は気温がエグいけど、あれを弄るのはナンセンスだろう。そもそも俺の権限じゃ、モンスターの出現設定や、関連アイテムを弄るのが限界で、環境そのものは弄れないようだしな。
最後に第五層は、モンスターのいない完全に平和な階層へと生まれ変わった。そしてその中央には例の低木が生え、そこから取れる多様な味わいのキャンディと、その効果について説明した。
「エス」
俺は彼に向けて、キャンディの1つを放り投げた。適当に選んだが、あれはメロン味かな。受け取ったエスは、何も言わずにそれを口に放り込み、想い人へと変身した。
その頭部には星型のマークがくるくると動いているが、その姿はシルヴィに瓜二つだった。
「おお……!?」
「さすがエスー。前回よりも完成度が上がっているわね!」
シルヴィは嬉しそうだ。
たぶん、最初は出来が酷かったのかもしれない。
「効果はこれを見てください。『鑑定Lv1』でも詳細が見れるようになってるはずです」
「……なるほど。これも流通させれば良いのだな」
「まあパーティーグッズですし、第五層に辿り着ければ誰でもゲットできるようになってますから、それなりに安価でして頂けるとありがたいですね」
「承知した。至急日本のお二方とも協議して、設定をさせてもらおう」
ベンおじさんはすっと立ち上がると、その場で頭を下げた。
「この度は、本当にありがとう。君のおかげで、この街、そしてこの国が救われた」
「どういたしまして」
「しかし、報酬は本当にあれだけで良いのかね? 街の者たちも、君の希望を聞いて、それだけでは感謝し足りないと言っているのだぞ」
「そう言われても、これ以上何もいらないんですよね」
報酬について、俺の希望を踏まえて義母さん達が纏めてくれたのを、アイラが以前説明してくれたのだが、内容としては以下の通りだ。
・テイムや食材を含めた、俺が発見・増加させたアイテム類は、全て格安で日本に流通させる。
・俺がこのダンジョンで得たアイテム・スキルの販売権を696支部は放棄する。
・エス、ミスティの両名に行動の自由を。ついでにシルヴィも自由に。
最後の項目の最後の一文については、ベンおじさんが一瞬戸惑ったが、苦虫を噛み砕いた顔で頷いてくれたのだった。
でもこれ以上望むことなんてないんだよなー……。
ああ、でもアレがあったか。
「じゃあ1個追加します」
「おお、何かね」
「征服王派閥に対して、このダンジョンで得られる全てのものを対象に、今後一切の取引及び、ダンジョンへの侵入を禁じると明記しておいてください。俺の希望ということも書いてOKです」
「君が巻き込まれた第一層の件もあって、私達としてもそのつもりだった。だが、君の名で宣言してしまうと……」
「どうせ敵対化は確定してるんで別に良いですよ。ただまあ、一度日本に帰る予定ですし、すぐに連中のところに乗り込んでドンパチする気もないですけど」
「……わかった。我々が目をつけられないよう対処してくれたのだな。希望を聞いたつもりが、またお礼が増えてしまうとは。アマチ君、今後困ったことがあればなんでも言ってくれ。君に対してなら、我々は何度でも協力を惜しまないと約束しよう」
「どうもです」
……あ、じゃあアレも言っちゃうか。
「じゃあ更にお願いがあるんですけど」
「何でも言ってくれ」
「エスやミスティが食い止めた、西海岸沖にある海底ダンジョン。あそこの攻略権限と、支配後の占有権ください」
「あそこか……。あのダンジョンは協会を新設するか、すでにある協会が手を出すかで揉めていた所なのだ。では私が担当権を手にして君に差し上げよう」
「助かります」
これで、『696ダンジョン』を楔システムで巻き込む下準備はできたかな。
「よし、これでここでできることは、全部終わったかな。皆、改めてお疲れ様」
「「「「「「お疲れ様!」」」」」」
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