ガチャ588回目:スキル山脈part2

 キャンディーを舐め終えると、全身が輝きに包まれ、視界が晴れると元の姿へと戻っていた。


「おおー。完全に元通りね」

「わたくしが旦那様に戻りましたわ!」

「ん。もうちょっと堪能していたかった」

「はぁー。普段揉みくちゃにされているアヤネの気持ちがよくわかったよ」


 ぴょんぴょんするアヤネを撫でる。やっぱいつもの視点は落ち着くな。アヤネの身長から見る世界は何もかもが大きすぎた。特にアイラなんかは、目の前に立たれたら胸しか見えないからな。


「ショウタさん、次は私にも変身して欲しいですっ」

「あ、その次あたしね!」

「ん。私も立候補する」

「マジで?」

「マジです。変身の完成度は理解度次第とあったではないですか。それはつまり、ご主人様が普段私達を、どれだけ詳細に把握しているかというのが分かるというもの。『心のバングル』とは別に、つながりの深さを感じたいのです。勿論、最後には私にも変身してもらいますが」


 この流れは、いつもの拒否権が無い感じだな。


「……清算が終わってからな」


 4つのキャンディ―を使って4人分の理解度テストか。別の意味で疲れそうだな……。


「むむ。わたくしの番は終わってしまいましたけど、ちょっと楽しみですわ」

「ちなみにショウタ君。この確認は、服の中もチェックするからね」

「はぁ!?」

「さっきは下着までしか見れなかったけど、それだけじゃ足りないわ。ほら、やっぱり理解度を調べるなら全身くまなく見ておかないと」


 アキが興奮したかのように何か言いだしたぞ。もしかして酔ってらっしゃる?


「そ、そうだね姉さん。恥ずかしいけどちゃんと調べなきゃ」

「いやそれ、一番恥ずかしいの俺だからね!?」

「ん。いつもは脱がされるのは私達。今日は逆転の日」

「それなら、もう1度わたくしの番が来そうですわね!」

「お前ら……マジでやるのか?」

「ご主人様、諦めてください」

「良い笑顔で言いやがって。……ああ、マジでやるのか」


 ……よし、これならもういっそのこと割り切って、普段やらないようなポージングを堂々と決めたりして、脱いでない本人にダメージを与えてやる。


「いいなー。楽しそう」

「ははは、兄さん。頑張って」

「よーし、そこの自分は安全地帯にいると思っている義弟には、余った残り2つのキャンディを進呈しよう」

「えぇっ!?」

「存分に点数を付けて貰え」

「そんな、兄さんっ!?」

「お兄さん最高ー!」

「では、皆様今夜が待ち遠しく感じておられるようですし、成果発表はさっさと済ませてしまいましょう」


 そうしてアイラは、スキルをテーブルに並べようとして……やめた。


「ん?」

「ご主人様、今回は沢山倒されましたよね」

「……そうだな?」

「いつもなら100体討伐してはレアと戦い区切りとする事で、ご主人様は満足されて次の戦いに赴いておりました。ですが第四層は、今までのようなレアモンスターの存在しない地。ご主人様の闘争心を満足させるには、大量のモンスターを倒す必要がありました」

「……そうかもな」

「その結果、ご主人様が討伐したモンスターは……ウィンドエレメンタル、ファイアエレメンタル、アースエレメンタル、ウォーターエレメンタル、アルターイグニス、ディファレントリキッドの計6種。討伐数がそれぞれ770体、348体、875体、816体、113体、240体」


 嫌な予感がして来た。


「そして第四層での清算は、大精霊をのぞけばまともにしておりませんでした。その結果、スキルオーブの量がとんでもないことになっています。この部屋に出しきることは止めた方が良いレベルで」

「お、おう……」

「ですので、ひとまず紙に書いて読み上げさせていただきます。少々お待ちください」


 そうしてアイラは『魔法の鞄』に手を突っ込んでは紙に書き写す作業を開始した。

 思えば、こんなに連戦に連戦を重ねても、俺のレベルは180には到達できなかったんだよな。

 通常精霊はレベルが80しかなく、魔石も中サイズだ。そして特殊精霊はレベルが140はあるが、こっちも魔石サイズは大。そんな相手を、えっと……2809体と、353体も倒したわけだけど、経験値が知れてる分180には到達できず、172でストップしているのだ。

 やっぱ、レアモンスターは偉大だよなぁ。たぶんだけど、魔石サイズが同じ大でも、もっとレベルの低いレアの方が経験値は多い気がする。

 次のガチャは、第五層でのレア後かなぁ。……シェイプシフターのレアとか、考えたくもないが。


「お待たせしました、ご主人様。それでは読み上げますので、覚悟して聞いてください」

「おー……」


 『炎耐性LvMAX』460個。

 『風耐性LvMAX』883個。

 『土耐性LvMAX』1115個。

 『水耐性LvMAX』1056個。

 『物理耐性Ⅱ』2809個。

 『物理耐性Ⅳ』496個。

 『魔法耐性Ⅱ』2809個。

 『魔法耐性Ⅳ』563個。

 『斬撃耐性Lv2』3265個。

 『斬撃耐性Lv5』353個。

 『貫通耐性Lv2』3265個。

 『貫通耐性Lv5』353個。

 『打撃耐性Lv2』3265個。

 『打撃耐性Lv5』353個。

 『炎魔法Lv5』348個。

 『炎魔法LvMAX』113個。

 『風魔法Lv5』770個。

 『風魔法LvMAX』113個。

 『土魔法Lv5』875個。

 『土魔法LvMAX』240個。

 『水魔法Lv5』816個。

 『水魔法LvMAX』240個。

 『雷鳴魔法Lv2』88個。

 『氷結魔法Lv2』240個。

 『火炎操作Lv5』308個。

 『蒼炎操作Lv2』113個。

 『風塵操作Lv5』770個。

 『風雷操作Lv2』113個。

 『砂塵操作Lv5』875個。

 『砂鉄操作Lv2』240個。

 『水流操作Lv5』816個。

 『濁流操作Lv2』240個。

 『炎の鎧Ⅲ』3個。

 『炎の鎧Ⅳ』114個。

 『炎の鎧Ⅴ』5個。

 『風の鎧Ⅱ』770個。

 『風の鎧Ⅳ』113個。

 『土の鎧Ⅱ』875個。

 『土の鎧Ⅳ』240個。

 『水の鎧Ⅱ』816個。

 『水の鎧Ⅳ』240個。

 『魔力回復Lv5』4250個。

 『魔力超回復Lv2』353個。


「はぁ……。こんなん、頭がおかしくなるって」

「ショウタさんが自重しなかったらこうなるんですね」

「圧縮、成長して良かったわね……」

「しみじみですわぁ」

「これは確かに、部屋に出せない数だね。流石兄さんだ」

「お兄さんすっごい……」

「ん。ショウタ、すごいなんて言葉じゃ言い表せないくらいすごい」

「ご主人様。流石に全部を圧縮するのは骨が折れますので、重要なスキルだけまとめてしまいましょう。それ以外のスキルは、まとめずにバラ売りする形で資金にしてしまいましょう」

「……だな」


 アイラは暗に、結婚用の資金にしようと言ってきているのだ。そう言われちゃ、頑張るしかないよなー。

 けどこんな数、どうやって捌くんだ?

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