ガチャ581回目:最後の島
「ご主人様、改めてお疲れ様でした」
「ああ。ありがと」
またしても800体以上殲滅して拠点に戻ってきた俺達は、皆でお風呂で温まったあと、のんびり休んでいた。
「いまで大体16時ごろでしょうか。それなりに良い時間ですが、如何されますか?」
「そうだなぁ。残り1箇所だし、さっさと済ませちゃうか。んで、明日からまたしばらく休みを取ろう」
「賛成ですわ!」
「ん。わかった」
「でも、無茶はしないでくださいね」
「ああ。……あ、でも」
「ん? なになに?」
「2つ目の隠し島も冬島並に寒かったら、明日にしようかな……」
「あははっ。オッケーよ」
「はい。その時はゆっくり休んじゃいましょう」
「わたくしも、過ごしやすい気候の方がいいですわー」
「ん。昨日行ったハイブリッド島は、暑くもなく涼しくもなく、普通だった。だから多分大丈夫だと思う」
「ではご主人様、もう出発なさいますか?」
「ああ、行こう!」
◇◇◇◇◇◇◇◇
そうして一旦家を回収し、俺達は噴水に隠された残りの窪みに、土と水の精霊石を嵌め込んだ。そうする事で想定通り、噴水の冬島側に新たなゲートが出現。
これでこの噴水には、常時3つのワープゲートが存在するようになった訳だな。昨日話しかけてくれた冒険者チームには、もしかしたら例の通達が来るかもしれない事を伝えておく。
四層攻略完了の通達が出るということは、すなわちそのまま第五層に移動して、第四層に戻ることなく直帰することを意味するからな。
いつまでもここで待っていて貰うわけにもいかないのだ。
「それじゃ、行ってくるよ」
「幸運を祈る!」
そうして俺達は7つ目の島へと乗り込んだ。
そしてそこに着いた瞬間、女性陣は上着を脱ぎ始めた。
「至って普通の気候だったな」
「んー。気候的に、中央島と繋がってるのかもしれないわね」
「あ、確かにそうですわね!」
俺もすぐさまアグニを首から外して地面に下ろしてあげた。念の為の防寒対策だったが、不要だったみたいだな。
『キュイ?』
「アグニも、通常サイズに戻っていいぞ」
『キュイキュイ』
二足歩行状態で炎の力を取り込んだアグニは、頭がちょうど俺の胸くらいの高さまで膨れ上がる。この高さに頭があると撫でやすいな。
「よーしよーし」
『キュイ~』
『ゴ、ゴゴ』
「ん? ああ、そうだな。今回もエンキには相性が良い相手だし、盾役を頑張ってもらうか」
『ゴ!』
魔鉄のボディなら、土属性相手なら問題なく戦えることは実証済みだ。それが例え高レベルの魔法だろうとだ。水に対しても、途中から参戦させたが問題はなさそうだったしな。ただ、逆に遠距離に徹する相手である以上、エンキを攻撃役に回すのは難しい。どうしても盾役に徹してもらうことになるので、普通ならストレスを感じるはずだが……。
まあ、そこは大丈夫か。エンキは盾役だろうと純粋に楽しむことができる子だしな。
『ポポ?』
『~♪』
『プルル』
『キュイー』
「そうだな。エンリルは攻撃役に参加してくれ。セレンとアグニは、相性的に悪いから一緒にエンキのサポートだ。んで、イリスは……どうしよっか?」
『プル~ン』
イリスは気怠げな雰囲気を出している。まあ、肉体を持っていないエネルギーの結晶体みたいな相手だし、『悪食』を持っていても美味しくはなさそうだもんな。
『プル……』
ん? エネルギーの塊なんて流石に食えないって? それもそうか。
んで、食べれない相手である以上、接近戦を挑むのも気分が乗らないらしい。あと単純に、最大で300メートルも離れた砲台に転がって接近していくのも面倒だよな。移動中に魔法組の攻撃で倒されたら空しいだけだし。
まあ、こればかりは仕方ない。
「じゃ、イリスもエンキの援護を頼むな」
『プル!』
さーて、最後の精霊はっと……。
*****
名前:ディファレントリキッド
レベル:140
腕力:0
器用:0
頑丈:2000
俊敏:300
魔力:99999
知力:3000
運:なし
【
【
装備:なし
ドロップ:ハイブリッド精霊のコア
魔石:大
*****
こっちもドロップするコアは一緒か。
属性は想定通り土と水。そして新種の魔法は『氷結魔法』か。雷の次は氷かぁ……。思えば、今まで氷が扱えるスキルは『外典魔法』くらいだったな。
「皆も、氷が日常生活で気軽に扱えたら、結構便利だよね?」
「んもう、いきなりそこ?」
「ふふ、でもあれば便利なのは確かですね」
「レベル1や2でどの程度の規模の氷が出せるかはわかりませんが、ご主人様の扱う『外典魔法』よりも『雷鳴魔法』の方が強力な魔法が扱えます。ですので、覚えておいて損はないでしょう」
だよなぁ。
現時点で俺が取得している『外典魔法Lv3』は、ちょっと強い電撃とちょっと強いブリザードを手から発生させるくらいで、強みというのがよくわからないスキルになっている。攻撃に使えない事は無いが、専門の魔法が覚えられるならそっちの方が良いだろう。
「これからの季節にはぴったりですわー!」
「ん。ほどほどに涼むなら、氷はマストアイテム」
「そんじゃ、便利そうだしこいつも100で止めるのは勿体ないよな。今日で最後だし、お土産も兼ねて、多めに狩るか」
「賛成ですわ!」
『キュキュ!』
「モル君も戦いたいなら戦っても良いぞ」
『キュ!? キュキュ……キュウ』
「ふふ、遠慮しておくそうですわ」
「はは、そうか」
モル君はレベルが300あるといっても、攻撃スキルは『土魔法Lv4』しかないもんな。
……そういえば、この子がスキルを取得できるかは試してなかったな。飼い主であるアヤネもそこは気にしているだろうけど、言ってこないのは第四層の精算を完了させてないのを気にしてるからかな。全部終わったら確認してみるか。
「そんじゃ、一当てしてきますかね」
俺はおもむろに精霊の前に飛び出し、剣を振るう。
『ガンッ!』
「くっ、硬いな!」
前回同様、一撃で倒せるとは思ってはいなかったので、そのまま回転して、勢いをつけて斬りつける。
「おらっ!」
『ガィンッ!』
両断、というほどではないが、なんとか中にあるコアを破壊する事には成功したようで、精霊は魔法を放つ前に煙となって消えていった。
「流石は土と水、2種類の鎧を纏ってるだけはあるな。どっちも物理的な攻撃を炎や風以上に軽減してくる」
「ふむ……。あちらのハイブリッドが攻撃寄りだったのに対し、こちらは防御寄りなのかもしれません」
「ん。私でも弾薬は多めに入れないとダメかも。下手すると貫くのも困難かもしれない」
「銃弾との相性も悪そうですわね」
通常の土の精霊の時ですら、ミスティは苦戦してたみたいだしな。俺が作った特製の徹甲弾という最終手段はあるが、ミスティもできるだけ自分の力で頑張りたいのか、なるべく温存はしてくれてるようだけど……。
「遠近両方ともに物理への耐性が高い相手かぁ。ここではなおさら、魔法組の出番ね」
「『雷鳴魔法』がどこまで有効かわかりませんが、頑張ります!」
「頑張りますわ!」
「……ん。そろそろ二丁拳銃形態が限界なのかも」
「お。もしかして新しい銃形態の解禁か?」
「んふ。楽しみにしてて」
ドヤるミスティの頭をポンポンする。
さーて、狩りを開始しますかね。
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