ガチャ579回目:途中経過

 中央島へと戻ってくると、冒険者達は滅茶苦茶喜んでくれた。全員怪我もなくピンピンしている様子に心から安堵してくれている様子だった。その様子が嬉しかったので、俺はその場で彼らにこの先の島にいる精霊の情報をプレゼントしてあげた。滅茶苦茶遠慮されたが、どうせ明日か明後日に帰還したら協会に全公開するのだ。数日程度の鮮度しかないと諭すと、彼らは諦めたようで受け取ってくれた。

 その後彼らは相談し、軽く挑んでみるそうだ。まあ彼らのオーラや戦意からみて、同時に数体と戦うくらいなら問題なさそうだし、そもそも彼らの主戦場はこの階層なのだ。注意点なんて、俺達以上に把握しているだろう。彼らを見送った俺達は、ようやく拠点へと戻ってきたのだった。


「じゃあさっそく、例の映像を皆でみようか」


 そうして始まった、俺と精霊達とのガチンコバトル鑑賞会。当然視点は、後ろで控えていたマキの視点がメインだ。

 いくつもの太陽と龍が俺に向かって飛んで行く様は、下手な映画以上に迫力があって、面白かった。一通り見て思った事だが、この映像、割と価値の高い代物なんじゃないか? こんなに高レベルの魔法が飛び交う映像なんて、そうそう撮れないだろうし。……まあ、映像には時折、大興奮したアキの声が混じっていたので、そこだけはアレかもしれないが。

 そんなアキは、皆から生暖かい目が送られた。


「姉さん……」

「だ、だって凄かったもん……」


 しょんぼりむくれるアキが可愛らしい。


「これを公開したら、アキの可愛さが知れ渡っちゃうなー」

「も、もう。ショウタ君までー!」

「まずは日本の支部長達にお見せしましょうか」

「微笑ましく見られる未来が見えますわ!」

「あうぅ……! って、何も未編集データを見せる必要はないでしょ。私の声だけ編集で消せばいいのよ!」

「まあそうなんだがな」


 それはそれで一般用に作っておいて、支部長会議ではちゃっかり元データを流すのも面白いよな。

 ……うん。誰も口にしないけど、皆思ってそうだ。知らないのは名案を閃いたことでドヤってるアキくらいのものだった。


「まあそれはそれとして、あの宝箱を開けようか。それと戦利品の確認だな」

「はい、こちらに」


 アイラが宝箱を取り出し、俺の前に置いたので、俺もさっそく宝箱を開ける。

 特に選択肢もなく、中に入っていたのは銀製のネックレスだった。


 名称:未完の紋章【Ⅳ】

 品格:≪伝説≫レジェンダリー

 種類:アーティファクト

 説明:未完成の紋章。組み合わせると効果を発揮する。


 そのネックレスには見覚えのある2つの石が飾られていた。それは緑と赤のもので、先程も使用した精霊石にそっくりだった。

 でもそれは見た目だけのようで、これらの石に特別な力は何も感じなかった。


「ふぅん、なるほどね」

「では秋島と冬島を攻略して、そのままもう1つのハイブリッド島を攻略すれば、第四層はクリアなんでしょうか?」

「レアモンスターと戦わずに解放できるなんて、初めてのケースじゃない?」

「最後に一回出てくる可能性もまだあるが、そういうパターンもあるんだな」

「ん。レアはいないけど、魔法に晒され続けるショウタは大変」

「そうですわね。旦那様、いつも以上に疲弊してますわ」

「あー……」


 それはまあ、確かにそうだな。

 第四層での戦いは、今までみたいな直接殴り合う戦いじゃなくて、一部のレアモンスターくらいしか使ってこなかった魔法がメインでの戦いだもんな。大魔法のラッシュは、危険の度合いが今までと別ベクトルだから、楽しくはあるけどその分精神的に疲労もするんだよなぁ。


「ご主人様の疲労は、同じモンスターばかりで、100体討伐をしてもレアモンスターが出ないせいでモチベーションが保てないせいだと解釈しておりましたが……。どうやら、単純に疲れも相応にあるようですね」

「そうですね。明日が終わったら、またしばらく休暇をとりましょう? ね、ショウタさん」

「大精霊は、エス君が合流してからやり合いましょ。ねっ?」

「……そうだな。アイツなら、他の3属性のスキル持ちの人間のことを知ってるかもしれないし」

「ん。エスは結構顔が広い」

「コミュつよですわねっ!」

「ん……」


 ミスティはちょっとだけダメージを受けていた。自分で言っといて自爆したのか。まあでも、そこは事実でしかないので何も言わずに撫でておくか。


「んじゃ、アイラ。ハイブリッド戦の戦利品を教えてくれ。通常精霊はいい」

「畏まりました」


 『炎耐性LvMAX』113個。

 『風耐性LvMAX』113個。

 『物理耐性Ⅳ』154個。

 『魔法耐性Ⅳ』185個。

 『斬撃耐性Lv5』113個。

 『貫通耐性Lv5』113個。

 『打撃耐性Lv5』113個。

 『炎魔法LvMAX』113個。

 『風魔法LvMAX』113個。

 『雷鳴魔法Lv2』113個。

 『蒼炎操作Lv2』113個。

 『風雷操作Lv2』113個。

 『炎の鎧Ⅳ』113個。

 『風の鎧Ⅳ』113個。

 『魔力超回復Lv2』113個。


 うん、数は少ないけど質の方は通常の精霊とは比べるまでもないな。


「しっかし、『雷鳴魔法』か。新しい属性が出てきたな」


 『風雷操作』や『天鼓雷撃』で雷を操るスキルがあることは認知してたけど、そのもののスキルが出てくることになるとは。


「あのハイブリッド精霊達は、全然使ってこなかったわね。なんでかしら?」

「消費が激しいとかでしょうか?」

「あんな潤沢に『魔力』があるんだから、惜しむ必要があるとは思えないわね」

「では、強力な魔法を使うという選択肢の関係上、魔法のレベルが低いためあえて撃たなかった。とかではありませんこと?」

「ん。それが一番しっくりくる」

「ご主人様。『真理の眼』でスキルの詳細が見れませんか?」

「やってみるか。その前に5つでMAXにまで圧縮してっと……」


 名称:雷鳴魔法LvMAX

 品格:≪遺産≫レガシー

 種類:スキル

 説明:雷鳴を操るスキル。レベルに応じて扱える魔法が増えるが、その分相応の知力が求められる。

 ★Lv1:知力300

 ★Lv2:知力500

 ★Lv3:知力750

 ★Lv4:知力1000

 ★Lv5:知力1500

 ★Lv6:知力3000

 ★Lv7:知力4500

 ★Lv8:知力6000

 ★Lv9:知力8000

 ★LvMAX:知力10000


「知力1万か。レベル1の時点から300だし、結構要求ハードルが高いな。アヤネ、いけるか?」

「はいですわ。この階層に来る前でもギリギリ可能でしたが、今なら余裕をもって扱えますの!」

「そういや、大精霊で爆上がりしたんだっけ」

「大精霊前は皆レベルが348だったからねー。450のボスクラスの経験値で、みんな502に上がったわよ」

「ん。実質1.5倍。凄い成長値」

「ミスティもレベルは上がったの?」

「ん。私もそれなりに上がった。ごちそうさま」

「おそまつさま。マキの方はどうだ?」

「私も『知力』は6000を越えましたから、Lv8までなら扱えそうです」

「十分だな。明日からは土と水、それからそのハイブリッド種との戦闘だ。常識的に考えて水にはめっちゃ効きそうだけど、土には通らなさそうかな? まあでも、片方に意味があるなら全員覚えても問題はないだろ」

「他のスキルはどうなさいますの?」

「んー。ほとんど普通の精霊と同じだから、最後にまとめよう」

「畏まりました」


 そうして『雷鳴魔法』を圧縮して、全員LvMAXにするのだった。

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