ガチャ577回目:6つめの島
皆の到着を待っている間、せっかくなので出現したワープゲートを視てみたが、目ぼしい情報どころか覗き見ることすら不可能だった。まあ、通常のワープゲートとは仕様が違うのかもなぁ。
そう思っていると、この島でキャンプをしていた冒険者たちが集まってきた。そういや、ここは別に俺達のチームだけがいる場所じゃなかったな。あまりに出会わないから忘れてた。
全員が未知のワープゲートの存在に目を疑い、パニックになりそうになるも、すぐ目の前で平然とする俺を見つけては鎮静化していく。流石はこの階層に挑む猛者達だな。
そうしてリーダー格っぽい男が前に出てきた。
「やあ、アンタは日本からの友軍であってるよな?」
「ああ、あってるよ」
「ソレについて、何か知ってるのか?」
「ああ。簡潔に言えば攻略してたら出てきた。だから、第一層から第三層までと同様、スタンピードを止めるための何かが待ってるんだろうな」
問題は強敵かどうかだが……。大精霊のような特殊型がくるか、通常の中ボス系が来るかは未知数だよな。
「……なるほど。アンタはこれから挑むんだな?」
「そのつもりだ。アンタらも来るか?」
「……いや、遠慮しておこう。ただ、アンタはこの国になくてはならない存在であり恩人だ。失った場合の損失は計り知れない。だからもし、半日経っても戻ってこなかった場合は、念の為協会に報告に戻ろうと思う」
「助かるよ。つっても、そんな長時間いるつもりはないが……アイラ、一応拠点片付けといて」
「畏まりました」
「まあいい報告が来るよう期待して待っててくれ」
「ああ。アンタに幸運を」
そうして全員集まったところで、彼らから声援を受けつつ皆でワープゲートに乗り込む。すると目の前には、緑と青が不自然に混在する島が広がっていた。
なぜ島だと断言できたかと言うと、遙か上空には俺たちが今までいたであろう第四層の、5つの島が見えたからだ。マップにもちゃっかり反映されてる。橋を渡っている時に下を覗き込んだ時は何も見えなかったのにな。
今までこの島は存在していなかったのか、ずっと隠れていたのかは謎だが……。とはいえ、今まで未発見だったエリアだ。慎重に探索しないとな。
「ん。ショウタ、ワクワクが止まらないって顔してる」
「ミスティこそ、目が輝いてるぞ」
「んふ」
「にしても変な島ね。地面も木々も青と緑の2色で、両方の絵の具を互いが好き勝手にぶちまけたみたい」
「不思議な光景ですが、あまり気持ちのいいものではないですね」
「良いところがあるとすれば、暑くもなく寒くもないところでしょうか」
「過ごしやすいのはありがたいですわ。景色は最悪ですけど」
「だな」
さて、付近にモンスターの気配もなければ、マップに赤点も存在しない。背後には中央島に戻るためなのか、別のワープゲートも存在している。直感的に時間制限なんてなく、いつでも行き来はできてしまいそうだな。んじゃ、帰り道も確認できたところで、このままもう少し進んでみるか。
そうして慎重に進み続けること数分。ようやく最初のモンスターとエンカウントした。
*****
名前:アルターイグニス
レベル:140
腕力:0
器用:0
頑丈:2000
俊敏:300
魔力:99999
知力:3000
運:なし
【
【
装備:なし
ドロップ:ハイブリッド精霊のコア
魔石:大
*****
「おお、2種類の精霊の合体版か」
半透明なボディには緑と赤の2色が混じり合い、結晶のような何かがコアを覆い隠している。
強さとしては中々のモンスターだが、どうやらこいつはレアモンスターではないらしい。マップでは赤点だし、視界をよそに向ければ同じ姿の連中がちらほらと見える。
このクラスのモンスターがこの島にはそこらじゅうにいるのか。そう思うとかなりヤバイな。
「にしてもアグニ、危なかったな。もう少しで名前被りしてたぞ」
『キュイ?』
「それで、どうされますかご主人様」
「ひとまず当たってみるさ」
俺は抜刀して駆け寄り、相手の目の前で剣を振るう。
『ガインッ!』
「もう一発!」
一撃でコアまで切り裂くことは叶わなかったが、剣を振るった勢いを利用してその場で一回転。回転の力で威力の増した剣が、結晶の身体ごと奴のコアを切り裂いた。
【レベルアップ】
【レベルが101から108に上昇しました】
本来このレベルのレアモンスターなら、『大魔石』なんかじゃなく『特大魔石』や『極大魔石』持ちだったりするもんだが、やっぱりその辺は通常モンスターなんだな。魔石のサイズが小さすぎる。だから、想定していたよりも全然レベルが上がらなかった。
魔石サイズによる経験値の差は、知識としても知っていたし、経験もしてきたはずだが、相手のレベルを超えられなかったのは初めての経験だった。
低レベル補正の超絶レベルアップは、レベル差だけじゃなくて相手の魔石サイズも本当に大事だったんだなぁ。
「こいつらは近接攻撃ができないから、素早い反撃はできない。だから速攻で二撃を入れれば確殺ができるから、割と楽に倒せるな」
「ん。普通の冒険者はこんな耐性ガチガチの相手に、そこまで攻撃力を発揮できない。だから、真似できない」
「順調にショウタ君の扱える膂力が増してるわね。今で6000くらい?」
「実際に数値で見れる訳じゃないからわかんないけど、まあ最低でもそれくらいは出せてるかな?」
頑丈2000と各種耐性を持ってる相手に、武器の性能を加味しても体感7000は行ってくれてるとは思うが……。てか6000とかだと、アキやアイラの『腕力』ステータスよりも低いって事になるんだよな。彼女達も急激なレベルアップで急成長してるから、その分扱えてないステータスが結構あるみたいだけど。
……うん、今度はそういうステータス系統の数値が見れるようなスキルが欲しいところだなぁ。正直俺のステータス、よくわからん事になってるもん。
「それで、この後はどうされますか? スキルなしであれば、1体ずつ処理して行けるので、安全ではありますが」
「そうだな……。確かにそれが一番楽な方法ではあるけど、高レベルの魔法を使用できる連中との乱戦は、代えがたい経験になるはずだ。それに、炎と風の2属性が飛んでくるんだ。相乗効果も考えて本来以上の威力にもなるだろうし、こいつらが10体集まっただけでもどうなるか予想がつかない。せっかくの機会だから、ここでもっと経験を積むことにするよ」
「畏まりました」
「こいつらも精霊石を出したら本気を出すと仮定して、まずはスキルを使って普通に釣り出す。反応した奴らがLvMAX魔法をバンバン使ってくるようなら俺でもヤバイから、その時は皆の援護を期待してるよ」
「ん。わかった」
「わたくし達はいつでもいけますわっ」
「アヤネがキメラ戦で使用したプロミネンスフレアが方々から飛んできたら、とんでもないことになりそうね」
「ん。ハルマゲドンの始まり」
「ショウタさん、例え魔法合戦が始まらなくても、怪我をしたら回復はしますからねっ」
「ああ、わかってる。エンキ達も期待してるぞ」
『ゴゴ!』
さーて、どんな魔法が飛んで来るやら。風属性は問題ないが、炎属性は前回も経験したように『超防壁Ⅴ』があろうとも熱いものは熱い。なるべく喰らわないようにしないとな。
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