ガチャ576回目:抱き枕アグニ
『キュイキュイ!』
アグニは見た目こそ青いオコジョだが、そのサイズは従来のそれとはまるで違った。2本足で立っているため、今の所、頭の位置はアヤネとそう大差はないが、彼の下半身にはウーパールーパーのように長くどっしりとした尾っぽが存在している。
全長だけで見れば2メートルはあるかもしれないな。
彼の身体も炎のエネルギーによって顕現した物のはずだから、エンキと同様に操作すれば好きに大きさを変化させられるはずだが……。ああ、そうか。まだ何もスキルを与えてなかったな。
「アグニにスキルをあげようかと思ったが、精霊のドロップを使う事になるだろうから、せっかくだし風と炎のアイテム、ここで軽く整理もしちゃうか」
「畏まりました。まず風の精霊は昨日が145、今日で625、併せて770体。炎の精霊は先ほどもお伝えしましたが348体。スキルとしては以下になります」
『炎耐性LvMAX』348個。
『風耐性LvMAX』770個。
『物理耐性Ⅱ』1118個。
『魔法耐性Ⅱ』1118個。
『斬撃耐性Lv2』1301個。
『貫通耐性Lv2』1301個。
『打撃耐性Lv2』1301個。
『炎魔法Lv5』348個。
『風魔法Lv5』770個。
『火炎操作Lv5』308個。
『風塵操作Lv5』770個。
『炎の鎧Ⅱ』348個。
『風の鎧Ⅱ』770個。
『魔力回復Lv5』1687個。
うん、頭がおかしくなりそうな数字だ。
「どうせ土と水の精霊でも似たようなことになるから、圧縮するのは『炎の鎧』だけにしておくか。他は後回しにしてっと……。アグニ、スキルを渡していくなー」
『キュイ!』
そうして『炎の鎧Ⅱ』348個は『炎の鎧Ⅲ』3個、『炎の鎧Ⅳ』1個、『炎の鎧Ⅴ』6個という結果となり、続けて在庫から使えそうなスキルを渡していったところ、彼のステータスはこうなった。
名前:アグニ
品格:『
コア:ゴーレムコアⅣ
材質:蒼炎魔装体
魔力:1600
装備:なし
スキル(8/8):★金剛外装Ⅲ、★硬化Ⅴ、★物理耐性Ⅴ、★魔法耐性Ⅲ、★破壊の叡智Ⅴ、★炎魔法LvMAX、★蒼炎操作LvMAX、★炎の鎧Ⅴ
武技スキル:なし
うん、まあこんなところだろう。
『キュイキュイ!』
スキルをもらえて嬉しいようで、アグニは短い手足を伸ばして抱きついてきた。炎の力のおかげか、彼の体温は他の子達と比べて少し高いようだが、暑苦しいってほどでもない。冬の日に抱きついたら、きっと気持ち良いだろうな。
あと、ちゃんとその身体はフワフワのモコモコで、抱き合っているだけで幸せな気分にになってくる。
『ゴゴー』
『ポポ!』
『キュイ? キュキュイ!』
『~♪』
『プルルン』
続いて似た存在であるエンキ達がやってきて、互いに引っ付きあって交流を深め合う。それが終われば、彼女達の番だ。
「旦那様、わたくし、もう我慢できませんわっ」
『キュキュー!』
「ん。お布団にしたい」
「あぁ、アグニちゃん可愛いですっ……!」
「ショウタ君、もう愛でても良いのよね!?」
「いいぞー」
『キュイ!?』
そうして揉みくちゃにされるアグニを眺めつつ、チャンスとばかりにアイラがやってきた。
「ご主人様」
「んー?」
「炎の精霊石です。確認していかれますか?」
「そだな」
名称:炎の精霊石
品格:≪固有≫ユニーク
種類:素材
説明:炎の精霊の力が濃縮された宝石。攻撃に使用する事も素材にする事も可能。
★一部精霊の大好物
「説明は特に変化なしか」
けど、この形状は間違いなく噴水の春島側にあったものと、同じものだった。
『キュイ? キュイキュイ』
「ん。ちょっと熱いけど気持ち良い」
「ふわふわですわー」
『キュキュー』
「身体は大きいのにお手手はちっちゃくて、すっごく可愛いです……!」
「この子のぬいぐるみ化もすぐになりそうねー!」
うん、アグニはまだまだ解放されそうにないな。
「……よっと」
「ご主人様、確認に行かれますか?」
立ち上がると、アイラがすぐに察してくれる。
「ああ。ついてくる?」
「お供いたします」
『ゴゴ?』
『ポポ』
『ゴ』
エンキもついてこようとしたようだったが、エンリルが空気を読んだらしく引き留めていた。そうして2人っきりと言うには少し語弊があるかもしれないが、俺とアイラは噴水の例の場所までやってきていた。
「単純に考えれば、この精霊石を嵌め込めば何かが起きるんだろうな」
「そうですね。それが4個全てか、それとも2個でも発生するのかは不明ですが」
「まあ、こんな安全地帯でいきなりモンスターが現れるとは思えんし……」
宝箱が出るか、それとも……。
うん、大丈夫な気がするし、試してやろ。
「アイラ」
「こちらに」
俺はアイラから風の精霊石も預かり、順番に嵌め込んでいく。風の精霊石だけだとなんの変化もなかったが、炎の精霊石を嵌め込んだところで変化が起きた。
緑と赤、2つの精霊石が輝きだし、共鳴するかのようにその輝きは膨れ上がっていく。危険な気配はないが、念のため離れてそれを見守っていると、結集した2つの力が交わり、俺たちの前にワープゲートとなって顕現した。
「おー」
「ボスエリアでしょうか」
「かもなー」
振り返ると、そこには遠巻きにこちらを眺めていたイリスの姿があった。公園にスライムというのは、一見して擬態性能が高そうな感じはするが、イリスの場合そのボディが虹色に輝いているため丸見えだった。
『……プル?』
あれ、バレた?
そんな感じの感情がこっちに届いたが、吹き出すのを我慢して声をかける。
「イリス、悪いが皆を連れてきてくれ。休憩は終わりだ」
『プル!』
イリスがポヨポヨ転がりながら拠点へと向かう様子を眺めていると、隣にいたアイラが腕を絡めてきた。
「短い時間でした」
「ここの攻略が終わったら、またデート期間を定めるか」
「それがよろしいかと」
例の件の準備も必要だしな。デートの裏で、その準備を進めておくのが効率が良さそうだ。といっても、俺にできることなんてないから、結局アイラや義母さん達に投げることになるんだろうけど。
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