ガチャ573回目:成長限界
噴水のギミックに気付いてくれた2人を、まとめて撫でる。
「2人とも、お手柄だ!」
『プルプル!』
『~~♪』
念の為、夏側と冬側には窪みがないことを確認していると、皆も集まってきた。俺はそこで見つけたものを詳細に伝える。
「ん、すごい発見。けど、おかしい。こんな安全地帯での隠し要素。来るのが難しいとはいえ、見つかってないのは不自然」
「そうですね。もしかすると、発見するための条件があるのかもしれません」
「直接触れること以外にですの?」
「ありえるわねー。例えば、精霊石を手にしたことのある人物が近くにいる間でないと、出現しないとか」
「ショウタさんが撃破した、大精霊討伐が条件の可能性もあるのでしょうか?」
「それだとシビアすぎるし、あれは本筋には関係なさそうだから、アキの言ってる内容が濃厚かなぁ」
まあ、何にせよ見つけてしまった以上は、見つける条件なんて調べようがないし、これからどうするかを考えよう。
「では問題は、対となる精霊石はどの属性か、ということですね」
「そうなるな」
「まず正反対の秋島は違いますわよね?」
「そのはずよねー。となると、隣り合うどちらかってことなんだけど……」
「ん。結局全部倒すなら、なんでも良いような気がする」
「ふふ、それはそうですけど、過程を楽しみましょう?」
「ん。分かった。考える」
『元素魔法』に含まれる属性は、炎、風、土、水。春島の風、それの対にあるのは秋島の土。属性相性的に喧嘩するものというか、良くないものが対になってるんだろうけど、風と親和性の高い物が炎と水、どちらにあるかと考えれば……。
「となると、炎かなぁ」
炎は風の力で大きくはなるが、水は風の力を受けてもただ流すだけで何か変化を与えるとは思えない。逆に土も水は吸うが、炎は土をかけたら消えちゃうからな。
うん。なんかそんな感じの考え方で良い気がしてきた。
「では、春島の後は夏島を攻めますの?」
「そうしたいところだけど、今日は色々あって疲れたし、休もうか」
「はいっ、賛成ですっ!」
「んふ。良い感じに休み癖がついてきたわねー」
「ん。お休み、大事」
「ではダンジョンを出ますか? それともこのまま拠点ハウスで休みますか?」
「ここで寝泊まりしよう。明日は集中的に狩りたいし、外の空気を吸って、良い感じに昂ったこの感覚を中断したくない」
「畏まりました。ではアイテムの整理も明日に回してしまいましょうか」
「そうだな」
どうせ明日も同じ数以上のアイテムが出るんだし、今整理したところでだもんな。
「ホテルの料理も悪くはありませんでしたが、久々にご主人様のために腕を振るうと思うと、燃えますね」
「はいっ。ショウタさんが元気になるもの、いっぱい作りますね!」
「ん。精がつくもの?」
「……ほどほどにな?」
せっかく明日のために英気を養うのに、消耗させられてはかなわんからな……。
◇◇◇◇◇◇◇◇
食事によって元気を有り余らされ、ソファーで休んでいる俺のところに、アヤネがモル君を抱えてやってきた。
「旦那様、お伝え漏れがございましたわ」
「んー? ……あ、モル君のことすっかり忘れてた」
『キュッ!?』
モル君がショックを受けたような顔をするが、存在を忘れてたわけじゃないぞ?
「旦那様の実験内容は聞いてませんでしたが、多分成功だと思いますわ」
「というと、つまり……」
「はいですわ。モル君もレベルが上がりましたの!」
*****
名前:スモールスピアモール(テイム済)
レベル:300
腕力:3200
器用:3200
頑丈:2800
俊敏:2400
魔力:3000
知力:2200
運:なし
【
【
装備:なし
魔石:中
*****
「おおー」
俺がそのステータスに驚いていると、他のメンバーも集まってきた。
「すっごく成長したじゃない!」
『キュキュー!』
「ん。元々雑魚モンスターだったとは思えない」
『キュ!?』
「ネックレスの力で大精霊もアヤネが倒した扱いになるから、主人が倒した判定でペットにも経験値が振り分けられる。うん、想定はしていたけど、ちゃんと機能してくれて安心したよ」
「よかったですわー」
「けど、レベル300か。大精霊のレベルを考えればこの成長率は低すぎるが、キリよく止まってるとこから見て、これ以上モル君は成長できないかもしれないな」
『キュキュゥ……』
イリスの時もそうだったように、魔石に応じて引き出せる限界のステータスがあるのかもしれない。
……限界か。あれ、待てよ? それじゃあもしかして、強化体の『限界突破』って、そういうことなのか!?
ああくそ、今すぐにでも日本に帰って強化体をテイムしたくなってきたぞ……。俺は自分の考えを皆に伝えつつ、念の為モル君に確認を取ることにした。
「モル君。『大魔石』を取り込むことはできるか?」
『キュウ? キュキュゥ……』
「無理だそうですわ」
「うん、そんな感じだったな。てかアヤネ、言葉がわかるのか」
「テイムの効果みたいですわね。モル君のステータスは、モル君自身に教えてもらったんですの!」
「そうなのかー」
そういや、今のところ『鑑定』のレベルの関係で、ステータスの詳細が見れないのはアヤネだけだもんなぁ。
「じゃあやっぱり、モル君はステータス、これで打ち止めか」
『キュゥ』
「けど念の為だ。これからちょくちょく『大魔石』を食ってくれないか? もしもの可能性はあるからな」
『キュゥー!』
「はいですわ。ゆっくり与えていきますわね」
取り込むのはダメでも、食べるのはアリらしい。違いがわからんが、まあそこはモル君の飼い主であるアヤネに任せよう。
そうして、俺達はモル君の話題で盛り上がりつつ、拠点で一夜を明かすのだった。
……今日は大怪我しちゃったからなぁ。皆の熱が上がってヒートアップしそうだけど、明日の体力が残っていますように……!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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