ガチャ571回目:特大の吸収

「とりあえず『真鑑定』がMAXになったから1つは宣言通りアイラに。もう1つはマキにお願いしようかな」

「畏まりました」

「はいっ。ありがとうございます、ショウタさんっ」

「ショウタ君。偽装の方はどうするー?」

「そっちもそのままアイラに渡そう。アイラは前回偽装のLv2を渡してるから、これでMAXだろ」

「これでアイラさんから情報が盗まれる心配はありませんねっ」

「ですわね!」


 うーん。こんなに欲しいものがポンポン出るとなると、『真鑑定』と『鑑定偽装』のためだけに大精霊とやり合うのも悪くはないかなとか思っちゃうな。

 でも、他の属性は情報がなさすぎて手が出せそうにないんだよなぁ。特にグングニルは疲労もそうだが、いつまで経っても戻って……あれ?


「いつの間にかグングニル、武器庫に戻ってきてるな」

「ほんと!? 良かったー。あのまま空の下に落ちたままになったかと思ったわよ」

「結局あの穴、底まで突き抜けてたのか?」

「はいですわっ。わたくし達では底が見えませんでしたが、アイラが確認してくれましたわ」

「ご主人様がお眠りになられた後、私とお嬢様とマキ様の3人で池の様子を直接確認しに行ったのです」

「マジで? 危なくなかったか?」

「はい。そもそも精霊はスキルを使わなければ無害な存在ですからね。マップがなくとも、草原地帯なら連中を避けて歩くことくらい造作もありません」


 まあ、視界の悪い木々の間を縫って歩いてるときに正面衝突さえしなければ、攻撃される心配はないよな。


「それで、池の様子はどうだった? 俺が直接見ていないからか、変形したあとの情報がマップの方に反映がされてないんだよな」

「はい。まず数時間程度では穴が塞がっておらず、精霊は1体たりともいませんでした。穴も塞がる様子はないようで、『知覚強化』でギリギリ穴の底にポッカリと空が広がっているのが見えました」

「じゃあこいつは、ひとしきり落ちた後に戻ってきた感じか」


 もしかして、俺の体調がずっと優れなかったのは、からか?

 それで目が覚める頃にはグングニルが戻ってきていて、それで問題なかったとか、そういう……?

 俺はその仮説を皆に説明する。


「じゃあ、次使う時は地面を突き抜けるように垂直に使うんじゃなくて、斜めに射出させるべきなのかしら?」

「この階層ではそうなるでしょうね。ただ、本来破壊の困難なダンジョンの地面を貫通してしまうほどの破壊力を前に、その程度の悪足掻きで貫通させずに済むかどうか……」

「ん。手加減大事。けど、手加減を覚えるには完全に扱い切れるくらいの慣れが必要」

「今でも、フルブーストをしても落下の勢いに任せて投げることで、なんとかまっすぐに投げることができているくらいですからね」

「いっぱい修行ですわー!」

「だよなぁ。ちゃんと扱えるようになったら、改めて大精霊にリベンジするか」


 結局今挑んだところで、ちゃんと振り回せずにグングニルのパワーに振り回されて、なんとか辛勝する。そんな展開になりそうだ。


「大賛成ですわっ」

「あんなに危険な相手は、もっと強くなってからにしましょうっ」

「ん。でも良いの? 攻略から遠のくけど。私としてはそっちよりショウタの方が大事だから、優先度は低くて良いと思ってる」


 ミスティをわしゃわしゃする。そう言ってくれるのはありがたいが、完全攻略を諦めたつもりはないぞ。


「攻略という点だが、多分大丈夫だと思う」

「んん?」

「あの大精霊は確かに現役の『風』なんかの『幻想ファンタズマ』持ちの冒険者達のコピーが出てくるんだろうし、ダンジョン側が用意した強力なギミックではあると思う。けど、多分あれは最初から用意されていたものじゃないはずだ。だから完全攻略には必要ない相手だと思う」

「……ああー、確かにそうね!」

「私もそう思います」

「ん。どゆこと?」

「まずさっきの大精霊はエスの力の一部をコピーして戦ってきた。なら、エスがあのスキルの力を得た直後だったら、あの大精霊はどうなってたと思う?」

「……ん。たぶん、滅茶苦茶弱かった」


 あの大精霊の強さは、奴が持っていた『エクススキル』に依存していると言える。アレがあるだけで大精霊は怪物になれるが、アレが無ければステータスが高いだけのポンコツに成り下がるだろう。


「まあ腐っても『風』と『結界破壊Ⅲ』、更には無限の『魔力』持ちだ。必殺技がなくてもあのステータスを武器にそれなりに戦えていたとは思う。だがそれだけだ。まあ、指向性のない魔法全てに『結界破壊Ⅲ』の効果が乗ってると思うと、それはそれで脅威のように思えてきたが……。それでも、あれほど苦戦することはなかっただろう。技として確立されてない魔法なんて、ただの自然現象みたいなもんだしな」

「ん。確かにそう」

「それに、ステータスの暴力なら俺も得意だしな」

「扱いきれてないじゃない」


 皆とひとしきり笑い合った後、俺は結論を出す。


「つまり俺の仮説が正しければ、あのレアモンスターは無視しても攻略を進行するのには問題ないはずだ。だからあの4つの季節島、もしくはこの中央島のどこかに、なんらかのギミックが隠されてると踏んでる」

「あの大精霊、倒した後は煙もすぐに霧散しちゃったみたいだし、次に繋がるドロップもなかったもんね」

「ではまずは、この島の探検からですわね!」

「ん。この中央島は何もないと思ってたけど、あると思って探せば何か見つけられるかも」

「探し物なら『真鑑定』が役に立つかもしれません。頑張って探しますね!」

「では今日は、この島の探索にとどめますか?」

「……そうだな。ひとまずはそうしよう」


 そうしてマップを開いて、それなりの広さを持つ公園島をどう回っていくか。議論を進めていた時だった。


『プルプル!』

「おっ?」


 どうやら、先にイリスの方が魔石の吸収を終えたらしい。さっきまでじっと動かなかったのに、今はゴム毬のようにぴょんぴょん飛び跳ねている。

 さて、どう変化したかなっと。


*****

名前:イリス

存在位格:『伝説レジェンダリー

コア:特大魔煌石


レベル:400

腕力:6400

器用:6400

頑丈:6400

俊敏:6400

魔力:6400

知力:6400

運:なし


ブーストスキル】金剛外装Ⅲ、鉄壁Ⅵ、城壁Ⅵ、金剛体Ⅳ、難攻不落Ⅱ

パッシブスキル】身体超強化LvMAX、硬化Ⅴ、風耐性LvMAX、土耐性LvMAX、水耐性LvMAX、物理耐性Ⅴ、魔法耐性Ⅲ、貫通耐性LvMAX、自動回復Ⅴ、弁天術Lv2、狩人の極意LvMAX、暗殺の極意LvMAX、水泳LvMAX、摩擦抵抗Ⅲ

PBパッシブブーストスキル】破魔の叡智

アーツスキル】隠形Ⅲ、気配断絶Ⅲ、毒生成Ⅵ、麻痺毒生成Ⅵ、毒抗体Ⅵ、衝撃Ⅲ、鎧通しⅢ、粘液生成Ⅲ、ウェポンブレイク、アーマーブレイク、チャージアタックⅥ、悪食LvMAX

マジックスキル】水魔法LvMAX、極光魔法LvMAX、宵闇魔法LvMAX、濁流操作Lv4、砂鉄操作LvMAX、風の鎧Ⅲ、土の鎧Ⅳ

スペシャルスキル】無形流転Ⅱ、巨人の腕

*****


 久々の成長だが、ちゃんと今まで通りステータスが倍になってくれたか。……いや、というのが正しいか?

 一般的な成長方法ではないとはいえ、こんなにお手軽に強くなってたら最強すぎるよなぁ。

 それもこれも、イリスが『レベルガチャ』を持ち合わせていた器であり、大人しく無害な存在だったというのが大きいのかもしれないな。

 つーか、俺の扱える力より上って事は、実質俺より強いんじゃないか?


『プル?』

「ああ、すごく強くなったな。これからも活躍を期待してるぞ」

『プル!』


 イリスは無邪気に喜んでいる。

 まあ、スキルの差でトントンかな? そう思う事にしよう。

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