ガチャ558回目:宝箱開封作業③
『パニックボイスEX』と、俺が読み上げた説明文をメモした内容を囲んで、皆がこのスキルについて論議していた。
「新レアリティの発見に続いて、新カテゴリーのスキルと来たかぁ。さっすがショウタ君ね」
「内容的に、パッシブとアーツの2種類が一緒になったスキルでしょうか」
「ミスティ様の前例がありますし、EXがつくものは基本複合スキルなのかもしれませんね」
「てことはミスティ。お前のスキルって、もしかしてエクストラ枠だったりする?」
「ん。ネタバレになるから黙ってたけど、実はそう」
「そうなのか。ありがとな、黙っててくれて」
ミスティの頭をわしゃわしゃする。
「んふ」
「旦那様の『運』をもってしても今まで出会えなかったスキルですから、相応に珍しいスキルということですわね」
「一般的には認知されてないってことは、まあそういうことだろうな。もしくは、俺が通ってたレベルの低いダンジョンでは絶対に出土しないくらい希少な物だっただけなのかもしれないが」
「そうですね。可能性があるとすれば、私とご主人様で挑んだ『上級ダンジョン』くらいでしょうか」
「あそこもいつかはリベンジしたいところではあるよなー」
「その時は、今度こそご一緒しますねっ」
「ええ、楽しみにしてるわ」
「ついていきますわー!」
「そうだな」
……まあでも、『上級ダンジョン』に挑むのは、すぐにという訳にはいかないよな。
『楔システム』をちゃんとした形で『696ダンジョン』を巻き込むには、アメリカ西海岸の沖合にあるダンジョンを支配下に置く必要があるし、『上級ダンジョン』は最優先で攻略しないといけないほど、切羽詰まってる場所でもない。
なんなら、『上級ダンジョン』って『初心者ダンジョン』から協会のバスで1時間ちょっとかかる位置にあるせいか、関東第一エリアの中で見ると、割と外側にあるんだよな。だから優先して攻略できたとしても、『楔システム』で綺麗に巻き込むなら、多分最後あたりになると思う。
んで、あんまり後回しにすると、今度は彼女達のお腹が心配なんだよな。今で3か月目といったところなのに、今後時間を掛ければ目立つくらい大きくなってくるだろうし、そんな状態で連れまわしたくはない。ていうか、『696ダンジョン』が終わったら一度帰国するのも有りだよな。
「……? ショウタさん、何を考えていらっしゃるんです?」
「ふむ。私達の事を考えてはいるようですが、内容が読めませんね」
「2人が読めないんじゃ、あたしらじゃさっぱりね」
「全然わかりませんわー」
「ん。むりげー」
「ん? ……まあ内緒だ」
これはまあ、サプライズとするにはあまりにも無計画ではあるが、まだ誰にも言ってない事だからバレる心配はほぼないだろう。お腹が大きくなる前に式を挙げておきたいだなんて。
「……」
「……!?」
その一瞬、妙な気配を感じて視線を向ければ、アイラが満面の笑みを浮かべていた。その目には、何かを確信したかのような色が見てとれていた。
何も言わずにそんな顔を見せたということは、そういうことだろう。裏方は任せて欲しいと、顔に書いてある。
まあ、アイラには遅かれ早かれだとは思うから、まあ良いか。今はこれ以上確信の波が広がらないよう話を変えよう。
「とりあえず、次の箱開けるぞー。次はレア度的にガヴァナー3兄弟の『エメラルドの宝箱』だな。それも3つ分」
見た目は全く同じだが、『真鑑定』してみればどれがどのモンスターが落としたのか明白だった。まずは、三男からだな。
【アイテム】
【変身具】
「なに!?」
『変身具』だとぉ!?
滅茶苦茶久しぶりに出たな。前回は確か、ひよこの着ぐるみだったよな。んで、鳥人間みたいな感じに変身できたはずだ。見つけたときは皆大騒ぎだったし、カスミ達も楽しんでたっけ。
「わ、『変身具』!?」
「見たいですわー!」
「ショウタさん、どうされますか?」
「こんなん一択だろ」
「ん。ここで選ばないのはショウタじゃない」
名称:土竜の着ぐるみ【緑】
品格:≪遺産≫レガシー
種別:変身具
説明:魔力を500消費する事で、着用者を既定の種族に最大3時間変更する魔道具。
タイプ:土竜族
出てきたのは、やっぱり緑色のモグラの着ぐるみだった。
「うん、前回通りだな」
「可愛いですわー!」
『キュキュー!』
「んで、カラー別という事は……」
残った2つの宝箱もチェックしたら、こちらも【アイテム】と【変身具】だった。どうせアイテムを選択したらミミズになりそうな気がするので、俺は悩まず両方とも【変身具】を選択したのだった。
名称:土竜の着ぐるみ【赤】
品格:≪遺産≫レガシー
種別:変身具
説明:魔力を500消費する事で、着用者を既定の種族に最大3時間変更する魔道具。
タイプ:土竜族
名称:土竜の着ぐるみ【黄】
品格:≪遺産≫レガシー
種別:変身具
説明:魔力を500消費する事で、着用者を既定の種族に最大3時間変更する魔道具。
タイプ:土竜族
「やっぱそうなるよな」
「『変身具』がこれで4人分ですね」
「これでモルちゃんとお揃いになれますわね」
『キュ!』
三色あるなら、モグラの戦隊ヒーローごっこができるな。やらんけど。
「『変身具』が3つも同時に……。やっぱりお兄さんってすごいのね」
遠い目をしていたシルヴィがちょっと帰ってきたようだ。まあ、まだ心なしか遠くを見ている感じはするが。
「シルヴィも着てみるか?」
「え、いいの?」
「おう、いいぞ。なんなら、その写真を5層で暴れてるエスに持って行くけど」
「あは。それはちょっと反応が楽しみね」
さて、うちの彼女達はすっかり『変身具』に夢中になっちゃったし、俺は最後の宝箱でも開けるとしますかね。残りは『コラプショングリフォン』が遺した、『アダマンタイトの宝箱』だな。
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