ガチャ557回目:宝箱開封作業②

「そんじゃ、まずは『金の宝箱』6つからだな」


 宝箱に触れると、いつものように選択肢が出現した。


【武器】

【アイテム】


「とりあえずは武器をっと」


 名称:モールの掘削拳

 品格:≪固有≫ユニーク

 種別:格闘

 武器レベル:37

 説明:ビッグランスモールが装着していた掘削用の格闘武器。装着者の意思に従って、ドリルを回転させることが可能。また、回転させた状態でドリルを射出する事が可能だが、発射されたドリルを呼び戻すには魔力が必要。

 ★消費魔力:50


「あの拳、着脱可能だったのかよ」


 その点は割とどうでも良い情報だが、これってつまり、誰にでもロケットパンチができるって事だよな? 割と高火力だし、ロマンもあるし良い感じの武器だな。むしろレアⅡの槍より良くないか?


「という訳で、これはアキにあげるぞ」

「ショウタ君、ありがと!」

『ゴ』

「エンキもロケットパンチがしてみたいか?」

『ゴゴ!』

「じゃあもう1個開けて、それはエンキ用の予備武器にしようか」

『ゴゴ~!』


 武器レベルもちょうどいいし、せっかくだからもう1個開けて、そっちはレンカのお土産にしようかな。


「んじゃ、アイテムの方も見ておくか」


 これでつまらないものだったら、残り全部ドリルにしてしまうのもありかもしれんが、さて……。

 宝箱を開けると、謎の小袋が入っていた。まるで中世時代の小銭入れみたいな感じだな。


「んん?」

「これは、なんですの?」

「『鑑定』しても袋としか出ませんね」

「何かの入れ物ということでしょうか」

「本当にお金が入ってたりして」

「ん。なんか熱源を感じる」

「熱源? ……うぉっ」


 袋を縛っていた紐を緩め、そーっと中を覗き込むと、なかなか悍ましい光景が蠢いていた。


「耐性が無い子は見ない方が良いかも」


 袋の紐をキュッと結んで、アイラに手渡す。彼女はなんて事のないように中を広げてみた。


「……なるほど、これはたしかに。お嬢様はやめておきましょう」

「むむ、なんですのー?」

「それ、あたし達も止めといた方が良い?」

「そうですね……。マキ様なら大丈夫かと」

「あ、はい。……これは、ミネラルスターワームがぎゅうぎゅうに詰まってますね」

「うへぇー」

「はわわ」

「ん。熱源がウゴウゴしてるから、察しはついてた」


 元々は『ビッグランスモール』がドロップするミネラルスターワームだが、こいつらは一般的なミミズのサイズと比べるとサイズがやたらとデカいんだよな。動きは遅いけど、太さも指2本分くらいはあるのに、長さは50センチくらいしかない。

 ナマコかよ。


「うーん、夢に出そう」


 それが小袋の中で十数匹が蠢いているのだ。正直あまり気持ちの良いものではない。


『キュキュ!』

「スピアモールは嬉しそうだな。てか、コイツ用のご飯だったりして」

『キュ?』

「旦那様。『テイム』したモンスターは魔石が主食となるみたいですわ。モルちゃんも、ワームだけじゃなくて何でも食べると思いますの」

『キュキュー!』


 モルちゃんと呼ばれたスピアモールが、アヤネに賛同するように両手を挙げた。


「ん、モルちゃんってのは、この子の名前か?」

「そうですわ」

『キュー』


 モルちゃんはアヤネに抱えられて嬉しそうに鳴いた。

 この子、『知力』は6種ステータスの中で一番低いけど、400はあるわけで、人語を正しく理解している節があるな。それとも、『テイム』されたモンスターはその辺の理解ができるよう矯正されるのか。多少気にはなるが、その辺の検証はまた今度だな。


「アイラ、一応このワームは『魔法の鞄』系統には入るんだよな」

「はい。生物というよりアイテム扱いのようで、問題ありません」

「で、どうする?」

「……見た目は悍ましいですが、地上栽培に欠かせない可能性がありますし、残りの2つもワームにしておきましょう」

「りょーかい」


 そうして『金の宝箱』を片付け、次は『グランドグリフォン』からドロップした『アメジストの宝箱』だ。

 全員がサングラスを装着するのを確認したので、まずは選択肢の確認だ。


【スキル】

【アイテム】


「ぐぬぅ。悩ましいラインナップ」


 わざわざこのランクの宝箱から出る以上、相当なレアもののスキルが出ることは間違いない。『遺産レガシー』クラスはあるかもな。対してアイテムというのも捨てがたい。なにせ、表のレアⅡである『グランドグリフォン』の宝箱から輩出されるくらいだ。並大抵のアイテムじゃないだろう。

 そんな風に悩む俺を、彼女達はニコニコしながら待ち続けてくれていた。そして1分間の長考を終えた俺は選択を決定した。


 名称:パニックボイスEX

 品格:≪遺産≫レガシー

 種類:エクストラスキル

 説明:魔力を込めて奇声を発すると効果発動。周囲にいる声を音として認識できる全ての生物に対し、混乱の状態異常を引き起こす。また、スキル保持者は混乱に対する完全耐性を有する。

 ★練度を挙げる事で音の方向を調節する事が可能


 はた迷惑なスキルかと思ったが、ある程度指向性を付ける事ができるのは安心ポイントだし、最後の完全耐性は滅茶苦茶ありがたいスキルだ。

 しかし、そんなことよりも……。


「エクストラスキル……!?」


 モンスター専用の『エクススキル』とはまた別ものなのか……?

 てかEXってついてるし、ミスティのと同系統のスキルだったりするのか? まったく、ダンジョンは潜れば潜るほど新しい不思議が待ち構えてるな!

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