ガチャ537回目:スキルセット
さて、ガチャの結果には気になる点がまだある。
『スキル圧縮』がⅣになったこと。そしてオプションと思しきアルファとベータが出たことだ。
これには見覚えしかないし、前回通りの流れならそれらを全て得て圧縮するまではオプションを使うことすらできないだろう。
しばらくはBRは、圧縮のオプションで埋め尽くされるかな。でもその分見返りは大きいはず。なんて言ったって、超万能チートスキルの『アトラスの縮図』も、このオプションを幾つも積み重ねて得たスキルなんだからな。
……あれ? そういえば『アトラスの縮図』って、作り上げた時LRって表示されてなかったか? 圧縮でしか得られない『万象の刻印』や『破魔の叡智』はEXRという特殊枠だと判断しても、もしかしたらこの先、『アトラスの縮図』もⅡとかに進化していったりするんだろうか……?
「まあそれはさておき、次にこれだな。名前からしてツッコミどころしかない『神秘の果実【忍者パッシブスキルセット】』」
「スキルセットというくらいだし、複数種類のスキルがまとめて手に入るのかしら?」
「それならお得なアイテムではありますけど、ショウタさんならすでに手にしている可能性がありますね」
「だね。まずは詳細から確認するか」
名称:神秘の果実【忍者パッシブスキルセット】
品格:≪伝説≫レジェンダリー
種類:スキルの実
説明:一口で飲み込むことで忍者関連のパッシブスキルが取得できる神の果実。
★セット内容:知覚強化、二刀流、体術Lv1、狩人の極意Lv1、暗殺の極意Lv1、姿勢制御Lv1、摩擦抵抗、重力抵抗Lv1、空間把握Lv1、曲芸Lv1
「うっわ、多いなぁ……」
なんだこのラインナップ。SSRから出て良い量と質じゃないだろう。
幸い(?)にもスキルレベルは無印とLv1の組み合わせだから強すぎることはないんだけど、内包されてるスキルの希少さから弱すぎることもないという絶妙なバランスだった。
ほんとにコレ、SSRで良いのか?
「すっごいですわー!」
「ヤバイわね!」
「ん。問題は誰にでも使えてしまうところ」
「そうだね。高性能な『知覚強化』と『二刀流』があるだけで、ドル換算でも数千万はしそうだ」
「いつもならショウタさんが使うべきところではあるのですが、ラインナップ的にショウタさんが使うのは、ちょっと勿体無いですね」
「そうですね。齧る場所で得られるスキルが異なるならまだしも、一飲みで一括取得ですからね」
「まあ、ほとんどのスキルは重ねがけすらできずに無に還りそうだ」
かろうじて効果があるのは、レベル制の中でもMAXに到達していない『重力抵抗Lv1』『空間把握Lv1』『曲芸Lv1』の3つだけだ。
他のレアで希少なスキルを放り捨てて、それほど優先順位の高くないこれらのスキルを取るのはなかなかに悩ましい。
しかもレベル1じゃあなあ……。
「アイラ」
「そうですね。お金にはさほど困っていませんし、なんならこのダンジョンのクリア報酬に金銭を要求しても罰は当たらないでしょう。ですので、無理に出所不明のコレを市場に流さなくても良いかと」
「なるほど」
チームの財布持ちであるアイラがそう言うなら納得だ。相変わらずの有能っぷりに、俺は満足気に頷くことしかできなかった。
「ん。今ので会話成立してるの、何度見ても不思議」
「そうだね。ただ問題は、兄さんの活躍は今の時点でも十分、高額な報酬を支払うに値する貢献度合いだということだ。最終的な成果を金銭のみでの支払いとなったら、いったいどれほどの天文学的数値になるのか、想像もつかないよ」
エスが若干顔を青ざめながら言った。
まあ言わんとすることはわかるが、ダンジョンクリアしたのに街や協会のお金を全部吸い上げて今後が立ち行かなくなる事態は避けたいし、アイラもそこまではしないだろう。
「お任せくださいご主人様。ほどほどに頂戴しますので」
「ああ、程々にね」
「よろしくお願いするよ」
さて、結局扱いに関しては振り出しに戻ったわけだが……。
「俺の次に一番忍者っぽく動くことがあるのもやっぱりアイラだけど、アイラも割と勿体ない事になるよね」
「そうですね。ご主人様に恩恵があるスキルが3つだけのように、私も4つだけです」
4つかぁ。アイラには先日『知覚強化Ⅲ』を渡したし、『二刀流』も何だかんだでⅡあるんだよな。
「エスはどうする? つっても、俺エスのスキル構成知らんけども」
「そういえば兄さん、まだ僕たちの事直接視てはいなかったよね」
「ん。ショウタ、気になってるくせに今まで一度も見てこようとはしなかった。皆もそう」
「こっちの国では誰もが隙あらば見てこようとするからね。特に僕達Sランクには、遠慮がないというか。これも有名税ってやつなのかな」
民度の話か?
つっても、日本にだって勝手に視てくる奴はそれなりにいるけどな。ミキ義母さんはまあ職務上仕方ないというか、除外してあげるとしてもだ。
特に旅行中とか、関西圏でのデートの際中とかは特に多い。うちの彼女達に目が行ったあと、連れ添ってる俺がどんな強さなのか気になって視られるとか、結構あったし。
「ん。でも、勝手に視られるのも、その人の気性によるかも」
「まあね。ある程度の強さがあれば、視られているかどうかはわかるようになる。そして大半の人は防ぐスキルがあるからそういった視線もどうでもよくなるんだけど、征服王みたいな暴力沙汰の多い奴は、そんな視線も看過できず、キレる恐れがある。何されるかわかったもんじゃない」
「ほーん」
しかし考えてみれば、日本のダンジョン内だと勝手に視られるって経験はしたことなかったな。そしてこのダンジョンでも、そういった事は初日以降ほとんどない。
それは多分、第一層のスタンピードリセットが利いてるのかもな。余計な事をして怒らせたらマズイとか、そんな感じで。
「まあ、2人のステータスを勝手に見る気はないよ。親しき中にも礼儀ありだ。それに、一応それもここのダンジョンのクリア報酬ってことになってるからな。だから見せなくても構わんぞ」
つーか、『銃器マスタリーLvEX』と『風』の情報こそが本来の報酬だったはずなんだがな。この2人は早い段階でポロッと喋っちゃったんだよな。
俺の事を信頼してくれてるのは嬉しいけど、おかげで報酬の価値がほぼ吹き飛んじまった。
「そうか、わかったよ。話は戻すけど、そのスキルセットは僕も必要ないかな。ほとんど手持ちのスキルと被ってしまう」
「ん。私も『銃器マスタリーLvEX』がカバーしてくれるから、必要ない」
「了解。……んじゃ、このスキルセットは残念ながら倉庫行きだな」
「畏まりました」
出現するタイミングによっては最強のアイテムだったかもしれないが、極まりつつあるこの状況だとどうしてもな。
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