ガチャ534回目:安心の二人

「すごい光でしたわー」

「ん。敵ごと全部吹っ飛ばした」

「あれ、倒しちゃった?」

「いや、レベルアップはしてないから、まだ生きてる。骨だけど」


 『聖魔法』による強力な光に照らされ続けた結果、アンデッドである『コラプショングリフォン』は動かなくなっていた。腐肉とかもまとめて吹き飛ばした影響か、腐敗臭は消し飛んでいたのでマスクも外せるようになっていた。普通に呼吸ができるって素晴らしい。

 けど、経験値が入ってこない以上まだ倒せてはいないようだ。煙を発してはいるけど、あれは死ぬ間際に出るものじゃなくて、単に焼けたことで出てる煙だろう。若干焦げ臭いし。

 でもこのまま動かないなら、もう一気にトドメを刺すべきかな?


「エンキ、奴の頭を叩き潰せ」

『ゴゴ!』


『ドゴンッ!』


 砂埃が起きたが、間違いなくエンキのパンチがまともに入った。これで勝負はついたはず。


『……ゴ?』

「どうしたエンキ」


 砂埃が晴れると、エンキの拳は黒いモヤに阻まれており、奴の頭部にまで到達していなかった。

 は、何だ?


『ヴォアアッ!!』


奴が叫びながら起き上がると、それに追従するように周囲から複数の影が伸び、地面から異形が這い出て来た。

 それは『コラプショングリフォン』同様、全身が骨と皮、こびりついた肉片が特徴的な肉片となったプライドコンドルであり、その全身には先程俺が祓い散らした黒い霧が纏わりついていた。


*****

名前:デスコンドル

レベル:――

腕力:1500

器用:1500

頑丈:10

俊敏:1500

魔力:500

知力:10

運:なし


アーツスキル】隠形、気配断絶、毒抗体、チャージアタック、悪食Lv1

マジックスキル】風魔法Lv4、風塵操作Lv2、風の鎧

★【エクススキル】病魔の息


装備:なし

ドロップ:なし

魔石:大

*****


 スキルはプライドコンドルそのものだが、『頑丈』が滅茶苦茶低い代わりに他ステータスが段違いに高い。レベルの表示がないことから、完全にこいつの専用配下であり、スキルドロップもない面倒なだけの相手だ。


「敵さんブチギレしてるみたいね」

「まあ腐ってもユニークボスだ。これで終わる訳ないよね」

『ゴゴ!』

「ん。第二ラウンド、開始?」


 全員が防壁を再展開し、戦いが始まるのを待っている。どうやら俺の号令を待っている様子だった。だが俺は、不用意にGOサインを出せずにいた。なぜだか無性に嫌な予感がするからだ。

 この感じ、どこかで……。

 奴の奥の手が配下を召喚する事だったとしても、この程度大した問題ではない。それに、奴らがその数を増して行くほど、俺は嫌な気配をビンビンに感じていた。


「……まさか。『真鑑定』『真理の眼』」


*****

名前:コラプショングリフォン(ユニークボス)

レベル:320

腕力:13500(+9000)

器用:13500(+9000)

頑丈:1500(+1000)

俊敏:1500(+1000)

魔力:15000(+10000)

知力:6000(+4000)

運:なし


ユニークスキル】鑑定偽装Lv2、気配偽装Lv2

パッシブスキル】身体超強化LvMAX、風耐性LvMAX、闇耐性LvMAX、再生LvMAX、自動回復Ⅴ、悪鬼羅刹Ⅴ

PBパッシブブーストスキル】破壊の叡智Ⅴ

アーツスキル】毒生成Ⅵ、麻痺毒生成Ⅵ、毒抗体Ⅵ、チャージアタックⅥ、悪食LvMAX

マジックスキル】宵闇魔法LvMAX、混沌魔法Lv5、漆黒の鎧Ⅲ、魔力超回復Lv5

スペシャルスキル】悪意のオーラ

★【エクススキル】病魔の息Ⅴ、腐敗の息Ⅴ、死者の行進Ⅲ、瘴気の檻、死の祝福


装備:なし

ドロップ:コラプショングリフォンの頭骨、ランダムボックス

魔煌石:大

*****


「おいおいおいおい!?」


 レベルが上がっている上にスキルも増えている。そして何より、この化け物みたいなステータスは紛れもなく……。


『ヴォアアア!!』

「くっ、フルブースト!!」


 『コラプショングリフォン』が雄叫びを上げ、戦闘開始を告げる。俺は誰よりも率先して前へと駆けだし、正面から奴ののしかかり攻撃を蛇腹剣で受け止めた。


『ガキィン!!』


「んぐぐっ!」


 とんでもない重さだ。フルブーストしても押し負けている気がするのは、俺が全力の力を扱いきれていないのが原因だろうけど、それにしたってこの力の差は絶望物だな。唯一の幸運は、今の一撃を防いでも『超防壁』の壁は破られなかったことくらいだが、明らかにヒビが入ってる。もう一撃貰ったら確実に割れるだろうな。

 で、現在の『デスコンドル』の数は30体。その結果がコレに起因するのなら答えは明白だ!


「全員、『デスコンドル』を集中的に落とせ! 奴らが1体存在するだけで、『統率』1個分のブーストがボスに行き渡る!!」

「そういうことなら」

「ん。任せて」


『斬ッ!!』

『パパパパパパン!!』


 俺から見て左側を一陣の風が通り過ぎ、右側では銃声が響き渡った。途端に全身に重くのしかかっていた重圧は消え去り、全力で剣を振り切れば奴を吹き飛ばすことに成功した。

 力はあれどスカスカの身体なので、なんとかなったようだな。


『ヴォアッ!?』

「ふぅー……」


 今の内にと、素早く左右に視線を送ってみれば、左側では『デスコンドル』はバラバラに斬り裂かれており、右側の『デスコンドル』は全て蜂の巣にされ煙となって消えている途中だった。


「どんなに攻撃能力が高くても、『頑丈』がたったの10ではね。チーズを裂くよりも簡単に引き裂けたよ」

「ん。脆すぎてショウタの弾を使うまでも無かった」


 流石の殲滅力だ。

 2人がいなかったら、俺は少なくとも数分は奴と力比べをさせられていただろう。


「2人がいてくれてありがたいよ」

「ここまで来たんだ。最後まで付き合うよ」

「ん。雑魚処理は任せて」

『ヴォアアア!!』


 再び奴は雑魚を召喚し、更には黒いモヤを纏った。

 できればさっきのピュリフィケーションでもろとも吹き飛ばしてやりたいところだが、なんか発動する気配が無いんだよな。奴も『瘴気の檻』を再び使う様子は見られないし、多分お互いにリキャストがあるのかもしれないな。『瘴気の檻』と『聖魔法』は互いに対となってるような感じだし、どっちもリキャストは同じ時間だと思いたい。

 まあ問題があるとすれば、奴が『瘴気の檻』を使ってから俺が『聖魔法』で吹き飛ばすまでに1分ほど差があったことだな。アレで先に回復されたらまた面倒な事になりかねないし、奴が使ってくるよりも先に倒してしまうべきだな。


「よし、ここからは総力戦だ。一気に削りに行くぞ!」

「「「はい!」」」

「「「了解!」」」


 奴の使える手札はほぼ全て見れた。あとは倒すだけだ!

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