ガチャ528回目:献上品
「おい、頭を上げろ。……つって、言葉が通じるとも――」
『シャシャ!』
『シャシャア!』
俺の言葉が通じたのか、それとも雰囲気で察してくれたのか、リザードマン達が頭を上げて何かを差し出して来た。
それは、何らかの織物のようで……。
「なんだこれ? 『真鑑定』『真理の眼』」
名称:リザードマンの祈祷布
品格:≪最高≫エピック
種類:素材
説明:リザードマンの祈祷師達が儀式に用いる特殊な織物。これを素材にする事で、魔法攻撃に対する耐性を持つ防具が出来上がる。
「おお。ドロップリストにないアイテムか!」
俺が満足そうに受け取ったのを見届けると、リザードマン達が煙となって消えた。そこにはドロップなど何もなく、まるで成仏して消えていったような不思議な感覚だけが残った。
「この結果は想定外だな。俺はてっきり、ドロップリストにあるアイテムや、下手するとスキルオーブなんかが差し出されるものだとばかり思ってた」
「そうですね。それにこの織物自体、初めて見る物です。説明文からするに、リザードマン系のモンスターが出現するダンジョンなら知られた素材かもしれませんが……」
「アイラさん的にはどう? リザードマンって、数は少ないけど日本のダンジョンでも出現した気がするけど」
「はい。『上級ダンジョン』でなら遭遇経験があります。そこでリザードマンのシャーマンとも遭遇したことはありますが、このアイテムは知りませんね」
「そっか。まあでも、これがあるって事は、そこでも何かしらの手段でドロップするのかもね」
「はい。ですが私の記憶はあまりにも古いものですから、今現在もそうだとは限りません。参考までに留めておいた方がよいかと」
まあ確かに、アイラの記憶はアヤネと出会う前の部隊にいた頃のものだしな、参考にはできるけど今現在もそうとは限らないもんな。
「だな。そんじゃ、ちょっと寄り道しつつ他のリザードマン達にもちょっかいを掛けに行くか」
そうして俺達は、いくつものリザードマン達の集団に突撃しては証を突きつけ、献上品を貰いまくる事にした。
結果、わかった事がある。まず、当然かもしれないがこの方法で100体以上のリザードマンを煙に変えても、レアモンスターは出ない事。
そしてもう1つは、リザードマンは2~4体で行動しているが、2体よりも4体で行動している奴らの方が、献上品の質が高くなるという法則だった。
2体で動くリザードマンからは以下の物が手に入った。
・食料
・武具の素材になりそうなモンスターの革や骨
3体で動くリザードマンからは以下の物が手に入った。
・1層や2層などで入手可能な緑色が出す高級食材
・特殊な効果を持つ織物やインゴットなどの素材
4体で動くリザードマンからは以下の物が手に入った。
・1層のキングバナナ
・リザードマンが身に着けている武器や防具
・リザードマンが取得しているスキルオーブ
合計150体。グループ総数50組ほどを煙に変えた俺達は、ようやく目的の時間制レアモンスターの出現地点に到着していた。
「ほんと、連中は色々なアイテムをくれたわねー」
「なんだか、カツアゲしてるような気分でしたわ」
「普段は戦う相手ですし、それを屈服させてアイテムを奪うとなると、余計変な感じがしましたね」
「ご主人様も、途中から気が落ちてましたね」
「まあね。それに、4匹の集団は本当なら美味しい相手なのかもしれないけど、俺的には一番しょぼかったから余計にな」
キングバナナは房付きではなく1本だったし、武器や防具は連中が装備してるのと同様の物だったし、スキルオーブに至っては連中が持ってる『怪力Ⅱ』や『迅速Ⅱ』だったのだ。そんなの、倒せばいくらでも手に入るから、正直大外れだった。
「兄さん以外なら大当たりで喜ぶべきところなんだろうけど、兄さんは普通に戦うだけで何でも確定ドロップさせちゃうからね……」
「ん。一般の冒険者の最高『運』は10。そんな人達でも、リザードマン達が持つスキルのドロップ率は0.1だとか、0.05くらいとされてる。だから本来なら当たり枠。ショウタならハズレ枠。ちょっと面白い」
「謎の逆転現象だな」
まあ、とりあえずある程度の数は検証できたし良しとしよう。
「そんじゃ、例の相手が出てくるまでにガチャを回しますかね」
『シャアッ!?』
「ん?」
俺はどっかりとその場に座ると、いつの間にか目の前にはヘンテコな格好のリザードマンがいた。まるで路地裏とかにたむろしているチンピラみたいな、ファンキーな衣服を身に纏っていた。
さっきまでここには何もいなかったはず。……ってことは、今湧いたのか!?
「『真鑑定』『真理の眼』」
*****
名前:リザードマン オッドボール
レベル:100
腕力:1000
器用:1000
頑丈:1000
俊敏:1000
魔力:1000
知力:1000
運:なし
★【
装備:リザードマンの呪術杖、リザードマンの呪術衣
ドロップ:魔石のポーチ
魔石:特大
*****
なんだこのステータスは。スキルも特殊なものが1つだけだし、ドロップも知らないものだ。こんな特殊なモンスターは見た事がない。
俺は興奮を隠し切れずにいた。
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