ガチャ525回目:トカゲの大戦士
『シャアアッ!』
「よっと」
リザードマン達の槍捌きをギリギリで回避しつつ、隙間を縫うようにして剣を通す。こいつらの攻撃、回避系統の修行にはもってこいだとは思うんだが、いかんせんここに来るまでが大変だし、その上群れても4体までなのになぜか同時攻撃は2体までしかしてこないんだよな。
攻撃人数が増えないのは、味方との連携を考えてなのかもしれないが、俺としては3体までなら許容範囲だと思うんだけどなぁ。
そんなことを考えていると、別働隊として動いていたエスチームとエンキチームも戻って来た。そろそろ片付けるか。
「ふんっ!」
『シャアッ!?』
囲んできていた2体を同時に斬り捨てる。これで100体のはずだ。
そして煙が集まり、その場で膨れ上がる。どうやら、その場湧きしてくれるようだな。
『ギシャアア!』
*****
名前:リザードマングレートウォーリア
レベル:150
腕力:1800
器用:1300
頑丈:1250
俊敏:1100
魔力:500
知力:100
運:なし
【
【
【
【
★【
装備:リザードマンの霊銀剣、リザードマンの霊銀盾
ドロップ:リザードマンの斑革、リザードマンの上胸肉
魔石:特大
*****
「おお、直訳で大戦士か。良い感じに強い戦士型が来たな!」
「そうか、ここにはレアもいたのか」
「ん? それって……」
『ギシャアアッ!』
「っと」
エスの気になる言葉に耳を傾けようとすると、大戦士が盾を構えながら突撃して来た。『統率』は持っていても、肝心の『知力』が100しかないんじゃなぁ。突撃しか能が無さそうだ。周囲には俺達が殲滅したせいで味方がいないし、眷属召喚系のエクススキルも持ってない。
人望の無さそうな大戦士の攻撃を適当にいなしつつ、俺は会話を続けた。
「エス、今の言葉から察するに、ここには他の条件で出現するレアもいるのか?」
「ああ。今は丁度倒されていないみたいだけど、時間で出現するレアがいるんだ。」
さっきマップを全解放した時には赤丸は無かったな。地上も地中も上空もだ。空の奴は普通の冒険者じゃ手が出せないだろうし、エスは俺が来ることは百も承知のはずだから倒すとは思えない。地中は誰も入れないはずなのに反応は無かった。となると……。
「そのレアは、リザードマン系だけか?」
「いや、空にもそれらしい相手はいる。ただ、隠れるのが上手い奴でね。僕が来ると大抵姿を隠すんだ。マップにも映っていないところからして、その手のスキルは持ってるみたいだね」
「エスも『真鑑定』は持ってるんだよな? そんなお前ですらスキルの詳細を知らないって事は、ずっと逃げおおせてるってことだろ。となると、相当勘が鋭い奴なんだな」
「たぶんね。まあでも、そいつを目撃したのは後にも先にも僕だけだから、協会もそれ以上の事は把握していないんだ」
「なら、地中にもマップに映らない能力持ちの時間型レアがいる可能性はある訳だ」
「そうなるんじゃないかな」
『ギシャッ! ギシャッ!!』
一昔前ならこの手のレアには苦戦したかもしれないが、今は雑談ついでに戦う事ができてしまっている。ステータスの急成長の成果でもあるけど、彼女達が考えてくれる修行と、『運』によって出会える多種多様なモンスターとのおかげもあって、俺もかなり強くなったな。
「そろそろ終わりにしようか。伸びろ、蛇腹剣」
先日宝箱から得た『双貌血牙の蛇腹剣』。こいつはどこかに剣と鞭形態を入れ替えるスイッチ式の機構が備わっている訳ではなく、所有者の意識でその姿を変えるようだった。なので剣の時に鞭になるよう強く念じたり、言葉にする事で簡単に形状を変えてくれるのだ。
まあ、鞭から剣に戻す際は掃除機のコードを巻き取るときみたいにギュンッと戻るんだが、剣から鞭に変化させる時はその場にじゃらりと地面に向かって垂れるんだよなぁ。こっちが剣を盾に見立てて防御に回していようとお構いなしに変化するから、突然の変化に相手も困惑するだろう。まあ、心構えしとかないと俺もビビる事になるんだが。
「フンッ!」
蛇腹剣がしなり、相手の武器や防具もろとも巻き込んで、最終的には大戦士の首に纏わりついた。
『ギギッ!?』
「っせい!」
そしてそれを引っ張れば、相手の首から血しぶきが上がり、武器も防具も粉々に砕け散った。
【レベルアップ】
【レベルが142から156に上昇しました】
この攻撃の仕方は伸縮自在の蛇腹剣だからこその芸当であり、本来の鞭攻撃とはあまりにも方向性が違い過ぎていた。
まあそれもこれも、スキルを得たとはいえ、俺自身まだまだ鞭の扱いには慣れていないせいなんだが。でも、蛇腹剣の性能的にはこの引きちぎる攻撃が正しい使い方のような気もするんだよなぁ。血しぶきをあげさせないと血煙なんて使えないし。まあでも、鞭本来の使い方で連続攻撃をすれば、血煙くらいどうとでもなるか……?
そんな感じで鞭の扱いはまだまだだし、練度の上達には時間が必要な俺だが、うちにはセレンとイリスという自分の身体を鞭に見立てて攻撃するプロがいるのだ。今後とも教えてもらうとしよう。
「今のどうだった?」
『~~♪』
『プルプル』
「お、そうか。良かった」
彼らとしても、蛇腹剣の性能や形状からして、今の攻撃方法は割とありだったらしい。普通の武器だとあんな乱暴な使い方をしたらその内欠損が起きそうではあるけど、蛇腹剣は頑丈な『
ちょっとやそっとじゃ破損しないってのも大きいよな。そう思っていると、大戦士の身体から溢れ出した煙が、その場で肥大化を始めた。どうやら、そのままレアⅡが出てくれるようだな。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
この作品が面白いと感じたら、ブックマークと★★★評価していただけると励みになります!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます