ガチャ526回目:結界ブレイク

 煙の中から新たに現れたのは、筋肉隆々マッチョマンなリザードマンだった。


「……こりゃ強そうだ」


*****

名前:リザードマンヒーロー・アドロン

レベル:225

腕力:2500

器用:2400

頑丈:2600

俊敏:1600

魔力:1000

知力:800

運:なし


ブーストスキル】超防壁Ⅴ、剛力Ⅴ、怪力Ⅴ、阿修羅Ⅳ、怪力乱神Ⅲ、俊足Ⅴ、迅速Ⅴ、瞬迅Ⅳ、鉄壁Ⅴ、城壁Ⅴ、金剛体Ⅳ、難攻不落Ⅲ、力溜め

パッシブスキル】身体超強化Lv5、体術LvMAX、剣聖Lv4、神盾術Lv1、痛覚耐性Lv3、苦痛耐性Lv3

PBパッシブブーストスキル】統率Ⅲ、破壊の叡智Ⅲ

アーツスキル】毒抗体Ⅱ、跳躍LvMAX、衝撃Ⅲ、鎧通しⅢ、急所突き、ウェポンブレイク、アーマーブレイク、チャージアタックⅢ

スペシャルスキル】決闘Ⅲ

★【エクススキル】熱感知


装備:リザードマンの英霊剣、リザードマンの英霊盾

ドロップ:リザードマンの斑革、リザードマンの強靭な心臓、ランダムな装備、英雄の証

魔石:極大

*****


 アドロンは、俺に向かって剣を突きつけ、口を開いた。


『……貴様ガソノ群ノ長カ』

「……そうだ」


 『決闘』持ちならばあるいはと考えたが、予想通りではあったな。やっぱりコイツも喋ったか。『決闘』持ちなら『裏決闘』とぶつけたらどうなるか挙動確認をしたいと思ってはいたが……。コイツのスキルレベルはⅢなんだよなぁ。『裏決闘』はⅡだし、説明文的にレベルが下だと受け付けてはくれないかもな。


『我ハ貴様ニ、決闘ヲ申シ込ム!』

「ならば俺はお前に、裏決闘を申し込む」


【スキルレベルが不足しています】

【効果の一部しか無効化に成功しませんでした】


「おっ?」


 メッセージが流れた後、視点は移動し『統率』が途切れる感覚が襲いかかったが、想像していたような弱体負荷が掛かる感覚は襲って来なかった。

 ……いや、弱体のデバフは入って来てるんだが、どうにも全部が乗ってるのとは違う感じだな。

 確認してみるか。


*****


名前:天地 翔太

年齢:21

レベル:156

腕力:16537(+20512)(-4134)

器用:20550(+20391)

頑丈:16260(+20165)(-4064)

俊敏:20474(+20315)

魔力:16231(+20131)(-4057)

知力:20209(+20052)

運:26414


*****


 ふむ。『腕力』『頑丈』『魔力』の3種だけ弱体化されてる。でも残りの3つはそれを免れてるみたいだな。これがメッセージに出ていた一部無効化か。


『グッ! 貴様、神聖ナ決闘ニ水ヲ差ストハ、不敬者メ!』

「いや、神聖も何もお前がただ有利になるだけのスキルじゃんか」


 ゴブリンの方もそうだったけど、コイツらどっかズレてんだよなー。一応、こいつのステータスも見ておくか。


*****

名前:リザードマンヒーロー・アドロン

レベル:225

腕力:3000(+500)

器用:2400

頑丈:3120(+520)

俊敏:1600

魔力:1200(+200)

知力:800

運:なし

*****


 おっ。こっちも同じステータスが増強されてるな。相手のスキルが格上でも同時使用する事で一部の無効化は可能ということか。これは良いことが知れたな。まあでも、一部を無効化したとはいえ『決闘』そのものの効果に影響があるわけでもなく、相変わらず俺の周囲を半透明な結界が覆っているし、外にいる彼女達の声は、俺には届かない。

 だけど外の彼女達の表情を見る限り、そこには心配なんてまるでなく、それどころか楽し気に応援しているようだった。まあ俺自身、今更このくらいの相手に遅れを取るとは思わないがな。彼女達から信頼されてるのは素直に嬉しかった。


「……あ、そうだ」


 せっかくだし、あれを試しておくか。

 俺は武器庫に剣を収納し、代わりにクピドの弓を取り出す。


『ム……貴様、何ノツモリダ』

「ま、ちょっとした遊びだな」

『遊ビダト!?』


 この英雄様は、さっきの『決闘』を破った事でどうにも俺のやる事なすことが気に食わんらしいな。英雄を名乗るんなら、もう少し寛容な心を身につけるべきだろう。

 ガダガやガドガダを少しは見習え。そう思いながら俺は弓を引き絞り、天へと向けた。


「『破魔の矢』!」


 それなりの魔力がスキルに持っていかれ、魔力の全ては鏃へと集約された。確かクピドの時も、これくらいの圧が矢から放たれていたな。

 『解析の魔眼』を使って鏃を見てみると、以下のような表記があった。


 1000/1000(900)


 これは多分、本来発動には1000も持っていかれるスキルだが、『魔力の叡智』のおかげで900で済んではいるけど、元の威力が下がっているわけではない……。みたいな感じかな?

 まあこの900も、意識して見なければ消えるようだし、今後は気にしないようにしよう。情報量が増えると処理能力が落ちたり、頭が疲れたりするからな。


『貴様、何ヲスルツモリダッ!』

「だから遊びだって」


 俺は矢を放つと、『破魔の矢』は勢いよく飛び出し世界を覆っていた結界へと激突する。


『ガシャアアン!』


 ガラスが盛大に割れるような音が世界に鳴り響き、『決闘』で作られた専用フィールドが砕け散った。その瞬間全身に掛かっていた負荷は消え去り、『統率』によるバフが包み込んでくれるのを感じた。

 そして――。


『グアアアア!!』

「えっ?」


 アドロンは全身から血を吹き出しながら倒れ伏した。まだ生きてはいるようだが、息も絶え絶えで立ち上がることさえままならない様子だった。

 もしかしなくても、これって『決闘』が無理やり破られた弊害ってことだよな? つまり、今回思いついたことをその辺の雑魚モンスターに『決闘』を使ってから、自分で破ったりしてたら、こんなしっぺ返しを喰らっていたということか……!?

 や、やらなくてよかったー!

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